HOME 東京五輪、日本代表、五輪
東京五輪女子4×100mR代表が連日のタイムアタックで手応え、本番では10年ぶりの日本新に挑戦
東京五輪女子4×100mR代表が連日のタイムアタックで手応え、本番では10年ぶりの日本新に挑戦


小さくても確実な一歩を刻んだ。6月下旬の日本選手権でしのぎを削ったメンバーが、同じ競技場に再び結集。間近に迫った大舞台での飛躍を誓い、魂のバトンをつないだ。

5月の世界リレー大会で4位に入り、東京五輪の出場権を獲得した女子4×100mリレー日本代表が7月16日と17日の2日間、大阪選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)にオープン参加。この競技場で13日から行われていた五輪1次合宿を締めくくるテストレースとして出場した。

広告の下にコンテンツが続きます

初日(7月16日)の予選は世界リレーと同じオーダーを組んだ。1走から順に青山華依(甲南大)、兒玉芽生(福岡大)、齋藤愛美(大阪成蹊大)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)とつなぎ、このオーダーでは初の43秒台(43秒87)をマーク。この記録は日本歴代10位で、実に5年ぶりとなる待ち望んだ43秒台だった。

2走の兒玉は、「これまで44秒を切れそうでなかなか切れていなかったので、43秒台を出せたのは良かったです。でも、バトンパスなど課題も多いので、そこを今後の練習でしっかり修正していきたいですね」と感想を話した。

翌日も決勝レースにオープン参加。前日と同じ9レーンからの出走となった。この日はアンカーを鶴田から石川優(青学大)に変更。5月の世界リレーにも帯同しながら1度もレースに出ていなかった石川が入ったことで、全員学生というオーダーになった。

結果は風の舞う難しいコンディションのなか、混成チームの学生新記録となる44秒28をマーク。瀧谷賢司女子短距離オリンピック強化コーチは、「レース前に、選手の状態、気象コンディションなら44秒3が切れればいいなと思っていましたが、その通りの結果となりました」と振り返った。

広告の下にコンテンツが続きます

前日からタイムは落としたものの、一緒にレースを走った他の高校や大学チームもいずれも0.5秒程度遅く、瀧谷強化コーチも「コンディションを考えれば悪くないです。いずれも持ち味を出した走りをしてくれました。世界リレーを含めプロジェクトに取り組んできて、ようやくリレーに対する考えや知識、バトンパスの感覚、精度も上がってきました。オリンピックを直前に控え、気持ちの面でもその気になってきています」と合格点を与えた。

五輪本番のレースまで3週間を切った。バトンパスに関して、1走の青山は「渡すタイミングが遅くなる点」、他のメンバーは、「走り出しから加速局面の流れをスムーズにすること」と、それぞれが課題に挙げており、改善されればさらにタイム短縮が見込める。

16日のレース後、映像などを分析した結果、43秒30まで短縮可能ということがデータとして出たという。「まだ選手個々のコンディションも整っていないので、23日からの鹿児島合宿(25日まで)、30日からのNTC(ナショナルトレーニングセンター/東京)での合宿を挟み、8月5日の本番に向けて、きっちり仕上げていきたいですね」と瀧谷強化コーチは話している。

その思いは選手たちも同じだ。日本選手権100m・200m2冠の兒玉は、「このメンバーで日本記録(43秒39)を出すことが目標です。世界リレーで感じた世界の強豪との距離を少しでも縮められるよう、代表の自覚と誇りを持って臨みたいです」と力を込める。

広告の下にコンテンツが続きます

日本記録の43秒39は2011年に打ち立てられたもの。大阪でのテストレースでは確かな手応えをつかんだ。10年間止まったままの針を動かすべく、日本女子4継チームは一丸となってオリンピックに挑む。

写真・文/花木 雫

小さくても確実な一歩を刻んだ。6月下旬の日本選手権でしのぎを削ったメンバーが、同じ競技場に再び結集。間近に迫った大舞台での飛躍を誓い、魂のバトンをつないだ。 5月の世界リレー大会で4位に入り、東京五輪の出場権を獲得した女子4×100mリレー日本代表が7月16日と17日の2日間、大阪選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)にオープン参加。この競技場で13日から行われていた五輪1次合宿を締めくくるテストレースとして出場した。 初日(7月16日)の予選は世界リレーと同じオーダーを組んだ。1走から順に青山華依(甲南大)、兒玉芽生(福岡大)、齋藤愛美(大阪成蹊大)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)とつなぎ、このオーダーでは初の43秒台(43秒87)をマーク。この記録は日本歴代10位で、実に5年ぶりとなる待ち望んだ43秒台だった。 2走の兒玉は、「これまで44秒を切れそうでなかなか切れていなかったので、43秒台を出せたのは良かったです。でも、バトンパスなど課題も多いので、そこを今後の練習でしっかり修正していきたいですね」と感想を話した。 翌日も決勝レースにオープン参加。前日と同じ9レーンからの出走となった。この日はアンカーを鶴田から石川優(青学大)に変更。5月の世界リレーにも帯同しながら1度もレースに出ていなかった石川が入ったことで、全員学生というオーダーになった。 結果は風の舞う難しいコンディションのなか、混成チームの学生新記録となる44秒28をマーク。瀧谷賢司女子短距離オリンピック強化コーチは、「レース前に、選手の状態、気象コンディションなら44秒3が切れればいいなと思っていましたが、その通りの結果となりました」と振り返った。 前日からタイムは落としたものの、一緒にレースを走った他の高校や大学チームもいずれも0.5秒程度遅く、瀧谷強化コーチも「コンディションを考えれば悪くないです。いずれも持ち味を出した走りをしてくれました。世界リレーを含めプロジェクトに取り組んできて、ようやくリレーに対する考えや知識、バトンパスの感覚、精度も上がってきました。オリンピックを直前に控え、気持ちの面でもその気になってきています」と合格点を与えた。 五輪本番のレースまで3週間を切った。バトンパスに関して、1走の青山は「渡すタイミングが遅くなる点」、他のメンバーは、「走り出しから加速局面の流れをスムーズにすること」と、それぞれが課題に挙げており、改善されればさらにタイム短縮が見込める。 16日のレース後、映像などを分析した結果、43秒30まで短縮可能ということがデータとして出たという。「まだ選手個々のコンディションも整っていないので、23日からの鹿児島合宿(25日まで)、30日からのNTC(ナショナルトレーニングセンター/東京)での合宿を挟み、8月5日の本番に向けて、きっちり仕上げていきたいですね」と瀧谷強化コーチは話している。 その思いは選手たちも同じだ。日本選手権100m・200m2冠の兒玉は、「このメンバーで日本記録(43秒39)を出すことが目標です。世界リレーで感じた世界の強豪との距離を少しでも縮められるよう、代表の自覚と誇りを持って臨みたいです」と力を込める。 日本記録の43秒39は2011年に打ち立てられたもの。大阪でのテストレースでは確かな手応えをつかんだ。10年間止まったままの針を動かすべく、日本女子4継チームは一丸となってオリンピックに挑む。 写真・文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.08

110mH・泉谷駿介が右ハム違和感のためセイコーGGP欠場 5000m・山本有真、三段跳・森本麻里子も出場見送り

日本陸連は5月8日、セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(5月19日/東京・国立競技場)の欠場者を発表し、パリ五輪代表に内定している泉谷駿介(住友電工)が右ハムストリングスの違和感のため欠場することを発表した。 […]

NEWS 男子三段跳・テイラーが今年限りでの引退を表明! ロンドン、リオ五輪金メダリスト

2024.05.08

男子三段跳・テイラーが今年限りでの引退を表明! ロンドン、リオ五輪金メダリスト

男子三段跳五輪・世界選手権金メダリストのクリスチャン・テイラー(米国)が今季限りで引退する意向であることを発表した。米国・NBCスポーツが報じている。 テイラーは33歳。12年ロンドン五輪、16年リオ五輪で金メダルを獲得 […]

NEWS マラソン五輪王者・キプチョゲがキプトゥム氏の事故死に対する誹謗中傷を告白 IOCはAI活用し、選手への中傷を監視することを発表

2024.05.08

マラソン五輪王者・キプチョゲがキプトゥム氏の事故死に対する誹謗中傷を告白 IOCはAI活用し、選手への中傷を監視することを発表

男子マラソン前世界記録保持者で五輪2連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が、昨年10月に世界記録を塗り替えたケルビン・キプトゥム氏の事故死に関与したという憶測から、誹謗中傷をSNSで受けてきたことを明らかにした。 キプ […]

NEWS 【竹澤健介の視点】葛西潤と五島莉乃に感じた「意志」と冷静さ 太田智樹の安定感、前田和摩の潜在能力に驚き/日本選手権10000m

2024.05.07

【竹澤健介の視点】葛西潤と五島莉乃に感じた「意志」と冷静さ 太田智樹の安定感、前田和摩の潜在能力に驚き/日本選手権10000m

静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムを舞台に開催された第108回日本選手権10000m。男子は葛西潤(旭化成)が27分17秒46、女子は五島莉乃(資生堂)が30分53秒31と、ともに日本歴代6位の好タイムで初優勝を飾 […]

NEWS 【高平慎士の視点】男子4×100m、4×400m「収穫ある4位」五輪シードレーン獲得、後手に回ってメダル争いの価値/世界リレー

2024.05.06

【高平慎士の視点】男子4×100m、4×400m「収穫ある4位」五輪シードレーン獲得、後手に回ってメダル争いの価値/世界リレー

バハマ・ナッソーで開催された2024世界リレー(5月4日、5日/日本時間5日、6日)で男子の4×100mと4×400mがパリ五輪出場権を獲得した。初日の予選で、4×100mは38秒10で1着通過して五輪切符を決めると、決 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top