東京五輪女子1500mと5000mの代表に内定した田中希実(豊田自動織機TC)が7月5日、地元の兵庫県小野市でオンラインによる記者会見を行い、あと1ヵ月を切った本番に向けて意気込みを語った。
昨年12月の日本選手権5000mを制して代表に内定していた田中。1500mは参加標準記録こそ届かなかったが、世界陸連のワールドランキングでターゲットナンバーの中に入って内定した。田中は「ポイントが多い大会にたくさん出てきました。練習とレースの境目がなくなり、すっきりしなかったけど、がんばって取り組んできたことがつながっています」と振り返った。
女子1500mでは、同じくターゲットナンバーで選出された卜部蘭(積水化学)とともに五輪日本代表選手は史上初となる。「スタートラインに立てることを楽しみたいし、喜びをかみしめたいです」と語った。
この他、3種目に出場した日本選手権でのエピソードも披露。特に800m決勝と5000m決勝は35分のインターバルしかなかった。「当日の朝も怖かったけど、でも2種目とも走ろうと思っていました。800mのレース前に母が棄権届を持ってきたけど、それを無視してレースに出ました」と語り、800mの後の5000mでは福士加代子(ワコール)を思い浮かべながら「ボロボロになってもいいから福士さんのように楽しく走ろうと思っていました」と明かした。
東京五輪まで1ヵ月を切り、「緊張もあるし、まだ信じられない気持ちもあります。おそらく、選手村に入ってからスイッチが入ると思います」と胸の内を語る。大会のタイムテーブルでは、7月30日19時から5000m予選、8月2日は9時35分から1500m予選があり、その日の21時40分から5000m決勝が行われる。先日の日本選手権で800m、1500m、5000mの3種目に出場したことを踏まえ、「12時間はだいぶ余裕があります。その間に仮眠を取ったりして、時間を有効に使ってチャレンジしたいです」と話していた。
父親の健智さんから受けている指導については、「思いをぶつけ合うことがあるが、私の感覚に合った練習をできるのがメリット。ややこしい性格の私を根気強く見てもらってきた」と語り、家族や関係者のサポートにも感謝しながら「それぞれの力を結集させてオリンピックに向かいたい」と力を込めた。生活、練習の拠点としている小野市へは「小さい頃から、練習には不自由しないし、リラックスして走れる。継続して練習できるからありがたいです。また、がんばってという声の頻度も増えてきて、皆さんの思いも感じています」と地元への思いを口にした。
21歳で迎える最初のオリンピック。「周りから見たら若い選手と思われるかもしれないが、通過点として捉えるのではなく、一つひとつ全力を出しきることが今後につながると思います」と力を込めた。
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