HOME 学生長距離

2020.12.19

【箱根駅伝特集】東洋大・酒井俊幸監督に聞く、トップ3に返り咲くための戦略とポイント
【箱根駅伝特集】東洋大・酒井俊幸監督に聞く、トップ3に返り咲くための戦略とポイント

箱根駅伝直前Special
学生長距離Interview

酒井俊幸監督
Sakai Toshiyuki(東洋大学)

広告の下にコンテンツが続きます

「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューを毎月お届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。12月は箱根駅伝直前Specialと題し、8チームの選手・監督のインタビュー記事を掲載していく。

第2回目は東洋大を指揮する酒井俊幸監督に、箱根駅伝に向けた戦略、目標について語ってもらった。

「まずはトップ3の返り咲きを」

──改めて全日本大学駅伝(6位)の感想と評価をお願いします。

酒井監督 今季は出雲駅伝やロードレースがなく、経験値が少ない若手主体のメンバー構成で前半区間を組みました。十分に期待に応えてくれる走りをしたと思います。ただ7区西山和弥(4年)に関しては課題が残りましたね。そこをうまくまわせれば、3位以内は行けたんじゃないかなという手ごたえはあります。

──全日本は駒大が6年ぶりに勝ちましたが、上位5校をどう見ていますか?

酒井監督 駒大は1年生を2区と3区に並べましたが、中盤以降もうまくしのいで、アンカーの田澤廉君(2年)が学生代表のような走りをしました。非常にバランスのとれたチームだなと思います。一方で、青学大と東海大は取りこぼしがありました。明大、早大は力を発揮しましたし、箱根駅伝もミスのないところが上位に行くんじゃないでしょうか。

──箱根駅伝も混戦になりそうですね。

酒井監督 選手層、エース力、山の特殊性。これらを考えると、優勝の可能性があるのは限られたチームです。コロナ禍のなかでいかにベストコンディションでのメンバーメンバーを組むことができるのか。そして、どの区間で抜き出るのか。勝負の区間に「エース力」を発揮できるかがポイントになると思います。

──箱根駅伝での目標を教えてください。

酒井監督 前回は11年続いていた3位以内が途絶えてしまったので、まずはトップ3の返り咲きを目標に掲げています。トラックの平均タイムは良くありませんし、ハーフの経験がない下級生も少なくありません。そのなかで上位校に戻れる力をつけて、優勝を狙えるような土台を作っていきたいと思います。

──前回の経験者もいますが、区間戦略はどう考えていますか?

酒井監督 上位に来そうな大学は往路に主力を入れてくると思っています。往路優勝を狙っているチームが多いので、その流れに乗り遅れないように、往路からしっかり組んでいきたいです。

──前回は5区で宮下隼人選手(3年)が1時間10分25秒の区間新で区間賞を獲得しています。

酒井監督 宮下に関しては5区の起用を有力に考えています。その場合は、5区の連続区間賞が柏原竜二以来いないので、まずは山の代表格になってほしい。できれば、(山の神)4代目にも近づいてほしいなと思っています。

2年連続の5区区間賞へ準備を進める宮下隼人

──気象条件やコンディションが整えば、どれぐらいのタイムを狙わせたいですか?

酒井監督 1時間10分切りはさせたいですね。ただ「山の神」と呼ばれた選手たちは、タイムだけでなく、往路優勝もしているんですよ。最低でも往路優勝しないと「神」とは呼ばれないんじゃないでしょうか。

──3年連続で1区を担ってきた西山和弥選手(4年)の起用はどのように考えていますか?

酒井監督 日本選手権10000mに向けてスピード強化をしてきました。そのスピードを生かした区間に配置できればなと考えています。1区以外の起用も十分に頭のなかに入れています。

──2区についてはいかがでしょうか?

酒井監督 1年生の松山和希など下級生を思い切って起用して、エース候補として育成したいなという考えもありますし、吉川洋次(4年)が順調なので、最上級生にがんばってもらうという考えもあります。チーム状況を見て、決めていくことになると思います。

──2区はどれぐらいのタイムを想定しているのでしょうか?

酒井監督 前回は全体的にハイレベルでした。コンディションにもよりますが、1時間8分00秒前後です。

──今西駿介選手(現・トヨタ自動車九州)が卒業した6区はどのように考えていますか?

酒井監督 今西が抜けたのは戦力的にもムードメーカー的にも大きい。人選は決めかねている状況ですが、59分30秒くらいでカバーできるようにはしていきたいなと思っています。

──総合3位以内に入るための戦略とポイントを教えてください。

酒井監督 前回のように2区で計算できる大黒柱がいません。宮下を5区に起用するときには、5区が最大の武器になってきます。そこを有効活用するために、1~4区をどのようにつないでいくかがポイントです。5区で勢いに乗り、その流れで復路に入っていきたいです。

構成/酒井政人

箱根駅伝直前Special 学生長距離Interview 酒井俊幸監督 Sakai Toshiyuki(東洋大学) 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューを毎月お届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。12月は箱根駅伝直前Specialと題し、8チームの選手・監督のインタビュー記事を掲載していく。 第2回目は東洋大を指揮する酒井俊幸監督に、箱根駅伝に向けた戦略、目標について語ってもらった。

「まずはトップ3の返り咲きを」

──改めて全日本大学駅伝(6位)の感想と評価をお願いします。 酒井監督 今季は出雲駅伝やロードレースがなく、経験値が少ない若手主体のメンバー構成で前半区間を組みました。十分に期待に応えてくれる走りをしたと思います。ただ7区西山和弥(4年)に関しては課題が残りましたね。そこをうまくまわせれば、3位以内は行けたんじゃないかなという手ごたえはあります。 ──全日本は駒大が6年ぶりに勝ちましたが、上位5校をどう見ていますか? 酒井監督 駒大は1年生を2区と3区に並べましたが、中盤以降もうまくしのいで、アンカーの田澤廉君(2年)が学生代表のような走りをしました。非常にバランスのとれたチームだなと思います。一方で、青学大と東海大は取りこぼしがありました。明大、早大は力を発揮しましたし、箱根駅伝もミスのないところが上位に行くんじゃないでしょうか。 ──箱根駅伝も混戦になりそうですね。 酒井監督 選手層、エース力、山の特殊性。これらを考えると、優勝の可能性があるのは限られたチームです。コロナ禍のなかでいかにベストコンディションでのメンバーメンバーを組むことができるのか。そして、どの区間で抜き出るのか。勝負の区間に「エース力」を発揮できるかがポイントになると思います。 ──箱根駅伝での目標を教えてください。 酒井監督 前回は11年続いていた3位以内が途絶えてしまったので、まずはトップ3の返り咲きを目標に掲げています。トラックの平均タイムは良くありませんし、ハーフの経験がない下級生も少なくありません。そのなかで上位校に戻れる力をつけて、優勝を狙えるような土台を作っていきたいと思います。 ──前回の経験者もいますが、区間戦略はどう考えていますか? 酒井監督 上位に来そうな大学は往路に主力を入れてくると思っています。往路優勝を狙っているチームが多いので、その流れに乗り遅れないように、往路からしっかり組んでいきたいです。 ──前回は5区で宮下隼人選手(3年)が1時間10分25秒の区間新で区間賞を獲得しています。 酒井監督 宮下に関しては5区の起用を有力に考えています。その場合は、5区の連続区間賞が柏原竜二以来いないので、まずは山の代表格になってほしい。できれば、(山の神)4代目にも近づいてほしいなと思っています。 2年連続の5区区間賞へ準備を進める宮下隼人 ──気象条件やコンディションが整えば、どれぐらいのタイムを狙わせたいですか? 酒井監督 1時間10分切りはさせたいですね。ただ「山の神」と呼ばれた選手たちは、タイムだけでなく、往路優勝もしているんですよ。最低でも往路優勝しないと「神」とは呼ばれないんじゃないでしょうか。 ──3年連続で1区を担ってきた西山和弥選手(4年)の起用はどのように考えていますか? 酒井監督 日本選手権10000mに向けてスピード強化をしてきました。そのスピードを生かした区間に配置できればなと考えています。1区以外の起用も十分に頭のなかに入れています。 ──2区についてはいかがでしょうか? 酒井監督 1年生の松山和希など下級生を思い切って起用して、エース候補として育成したいなという考えもありますし、吉川洋次(4年)が順調なので、最上級生にがんばってもらうという考えもあります。チーム状況を見て、決めていくことになると思います。 ──2区はどれぐらいのタイムを想定しているのでしょうか? 酒井監督 前回は全体的にハイレベルでした。コンディションにもよりますが、1時間8分00秒前後です。 ──今西駿介選手(現・トヨタ自動車九州)が卒業した6区はどのように考えていますか? 酒井監督 今西が抜けたのは戦力的にもムードメーカー的にも大きい。人選は決めかねている状況ですが、59分30秒くらいでカバーできるようにはしていきたいなと思っています。 ──総合3位以内に入るための戦略とポイントを教えてください。 酒井監督 前回のように2区で計算できる大黒柱がいません。宮下を5区に起用するときには、5区が最大の武器になってきます。そこを有効活用するために、1~4区をどのようにつないでいくかがポイントです。5区で勢いに乗り、その流れで復路に入っていきたいです。 構成/酒井政人

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.04

飯塚翔太がラオスで陸上競技指導 「飯塚翔太リレーカーニバル」も開催

東京世界選手権男子200m代表の飯塚翔大(ミズノ)が11月30日から12月3日まで、ラオスを訪問。4日にリモートで現地で行った活動について報告会見を行った。 飯塚はJICA(国際協力機構)が進める「スポーツを通じて世界平 […]

NEWS 世界クロカンU20日本代表が決定!新妻遼己、本田桜二郎、宇都宮桃奈ら男女各6名で世界に挑戦

2025.12.04

世界クロカンU20日本代表が決定!新妻遼己、本田桜二郎、宇都宮桃奈ら男女各6名で世界に挑戦

日本陸連は12月4日、米国・タラハシーで開催される世界クロスカントリー選手権(2026年1月10日)のU20日本代表を発表した。 11月30日の京都陸協記録会内で行われた選考会の上位選手を中心に選考され、男子は今季のイン […]

NEWS 世界陸連が走幅跳のルール変更を断念 「テイクオフゾーン」提案も選手からの反発強く

2025.12.04

世界陸連が走幅跳のルール変更を断念 「テイクオフゾーン」提案も選手からの反発強く

世界陸連(WA)が検討していた走幅跳のルール変更案について、選手からの反発などを受けて撤回されたことを英ガーディアン紙が報じた。 走幅跳では、20cmの踏み切り板とその先に10cmの粘土板が敷かれ、踏み切り板と粘土板の境 […]

NEWS 北口榛花、村竹ラシッド、鵜澤飛羽のJALトリオ参戦!1/2放送「木梨憲武のスポーツKING」自転車、プロ野球、バド世界王者と対決

2025.12.04

北口榛花、村竹ラシッド、鵜澤飛羽のJALトリオ参戦!1/2放送「木梨憲武のスポーツKING」自転車、プロ野球、バド世界王者と対決

2026年1月2日放送の「木梨憲武のスポーツKING!」に、JALの北口榛花、村竹ラシッド、鵜澤飛羽が参戦することがわかった。 現役トップアスリートやレジェンドが、木梨憲武らと異種競技バトルを繰り広げる正月恒例の特別番組 […]

NEWS 世界陸連主催大会での年齢制限を緩和 高校1年生相当で全種目に出場可能

2025.12.04

世界陸連主催大会での年齢制限を緩和 高校1年生相当で全種目に出場可能

世界陸連(WA)は12月2日・3日の両日に評議会を開催し、各種ルールの確認や規則改定について協議した。 その中で、WA主催大会の一部種目で設けられていた年齢制限を撤廃することが決まった。 従来は、マラソンおよび35km競 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top