日本陸連は12月17日に第106回理事会を開き、「育成年代における競技会ガイドライン」を策定したことを発表した。
このガイドラインは日本陸連がかねてから示している「競技者育成指針」に基づいたもので、「育成年代における競技者の健全な成長を促し、安全で公正かつ多様な競技環境を提供する」「1人でも多くの人が陸上競技を楽しみ、関わり続ける」ことを目的としている。
ジュニア世代の競技会の在り方、競技会の過多、そして昨今の酷暑下におけるスポーツの在り方について、日本陸連は強い姿勢で変革を進めてきた。今回のガイドラインでは「競技会カレンダーの整備」と題して、「猛暑日となる可能性の高い」とされる特に7、8月の競技会を原則回避することや、暑熱環境下での開催については「健康と競技力向上の両面から慎重に判断する」ことなどが盛り込まれている。
競技機会の均等化についても「年間を通じてあらゆる競技レベルの選手達が公平に競技機会を得られるよう、過密日程を避け、試合数の適正化・均一を図る」と現在のジュニア世代の年間スケジュールについて一石を投じ、変革を進めていく構えを示す。
他にも多様な種目を設定することや、運営の負担軽減・効率化、発育発達に応じた環境整備、早期専門化の回避、指導者の質の向上、安全管理など、陸上界が抱えている問題を改めて示したかっこうだ。
日本陸連はかねてから、陸上を取り巻く環境について問題意識を持っている。暑熱下での競技会運営の対応についてもいち早く指針を示すとともに現場に対応を求め、今年は暑熱対策としてインターハイや全中のスケジュール・番組編成の変更など対策を取った。
ガイドラインはインターハイ、全中を含めて夏の全国大会についての在り方についても問うものであり、日本陸連の山崎一彦・強化委員長は「競技者育成指針と、この育成年代における競技会ガイドラインを合わせた時に、育成年代の競技会がどうあるべきか想像できる」とする。
「暑さだけではなく、強い競走意識が熱中症を引き起こしかねない」と改めて警鐘を鳴らし、「日本は海外に比べて競技会過多は間違いない。育成期においては到達度が早く国際大会で結果を出しているが、その後は海外選手が伸びて差が開く傾向にある。心理的、体力的、技術的な要素はあるが、育成期における競技会を見直していく好機」とした。
今回のガイドラインについては、草案も含めて何度も高体連の陸上競技専門部にも提示。「ガイドラインについては異論はない」と現場の理解度も一致しているという。
日本陸連の田﨑博道・専務理事はガイドラインについて「日本の環境下で屋外スポーツがどうあるべきか。議論する時に立ち戻れるもの」とした。
早急の問題点として来年の滋賀インターハイ開催については、11月、12月にも実行委員会、高体連陸上競技専門部、滋賀県高体連陸上部とも話し合いを重ねている。日本陸連はかねてからWBGT31度以下の対応ができなければ主催をしない方針を示しているが、暑熱対策の案として、5日間からの競技日程増や、競技開始を18時にするなどの原案の提示もあった。ただ、コスト面やハード面などクリアしなければいけない課題も多い。
高体連は「3年後まで7、8月開催を動かすことはできない」としており、日本陸連は「次の一手は思いついていない」とし、依然として明確な策は出ていない。日本陸連は26年の競技会について来年3月末の理事会で主催の発議を下さなければならず「間違いなくWBGT31度以下で開催できるという認識を持って主催するかどうかを決める」(田﨑専務理事)とした。
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