◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)5日目
東京世界陸上5日目のイブニングセッションが行われ、男子やり投予選A組に出場したディーン元気(ミズノ)は77m01で組16位。自身初の決勝進出はならなかった。
試合後の感想を求められ、ディーンは「残念でした」と力なく苦笑いを浮かべた。
「思っていた準備ができないまま、今日を迎えてしまいました。まずこの舞台に立てたというところからの状態だったので、現状の精一杯でした。なかなか反復練習ができていなかったので、練習通りの結果になってしまいました」
苦戦を強いられることは覚悟していた。7月の日本選手権では13年ぶりの自己新となる84m66をマーク。その後、8月のフィンランド遠征で、ずっと痛みがあった腰を検査すると、腰の最下部にある腰椎5番の骨折が判明する。
「たぶん去年の冬から折れていた」という腰椎5番は、ディーンによれば「本来はあまり動いてほしくない関節」。日本選手権後、約2ヵ月ぶりに再開した投てき練習では、「それを動かさないようにとやっていく中で、動きもすごく良くなってきていた」という。「痛みの理由がわかってホッとした部分もあった」。
ただ、自身3大会連続3回目の世界陸上は目前に迫っていた。ケガを完治させて本番を迎える時間はなかった。「本番の全助走というところで、反復ができなかったのがそのまま出てしまった。自分的には次のレベルが見えてきている最中だったので、準備が間に合わなくて本当に悔しかったです」と話す。
それでも大観衆の期待に応えるべく臨んだ本番だった。ディーンは1投目に77m01を投げたが、それが最高記録となる。2投目は76m58、3投目は72m89と記録を伸ばせないまま、無念の予選敗退となった。
「歓声がすごくて、思い切ってやりたい気持ちもありましたが、それで外れすぎてまた違うところをケガしたらどうしようと、自分の悩み、その恐怖を超越できませんでした」。様々な経験を重ねてきたディーンでも、万全の状態で大一番を迎えることが難しかった。
それでも、「この1年は、この大会があったからこそ、こうやって必死に準備して得られるものがあった」と確信。「この大会でこういう経験ができて良かったと思えるように、今後に生かしていきたいです」と語る言葉には、これまで苦難の競技人生を歩んできた34歳の重みがあった。
文/小野哲史
【動画】やり投・ディーン元気の1投目をチェック!
【#東京世界陸上】
— TBS 陸上 (@athleteboo) September 17, 2025
✅男子やり投 予選A
🇯🇵#ディーン元気
77m01
決勝進出ならず
📺TBS系 生中継
⚡️TVerでは放送同時 & 全49種目LIVE配信⚡ pic.twitter.com/p8Hvxn0ZfR
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.19
-
2025.12.19
-
2025.12.19
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.19
箱根駅伝Stories/東海大のスピードスター・兵藤ジュダ リベンジの1区で「やっぱり区間賞がほしい」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 失意から復活、トラックで勢い 前回の箱根駅伝予選会で総合14位に終わ […]
2025.12.19
箱根駅伝Stories/前回の雪辱期する中央学大・市川大世 「区間5位以内を目指して積極的な走りを」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 全日本では4人抜きの力走 3年ぶりに11月の全日本大学駅伝に戻ってき […]
2025.12.19
箱根駅伝Stories/過去最高順位を見据える城西大 強力4年生軸に「アッと驚くような試合がしたい」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 主要区間の経験者残る 前回6位の城西大がチーム最高成績の3位以内を目 […]
2025.12.19
予選会と5000m平均はともに仙台育英トップ 2番手は学法石川 鳥取城北は安定感/全国高校駅伝・データ編男子
男子第76回全国高校駅伝(12月21日/京都・7区間42.195km)に出場する58校を都道府県大会と地区大会で出されたタイムと、5000mのチーム内上位7人の平均タイム(12月上旬判明分)でランキング化した。 男子レー […]
2025.12.19
トラックと予選会のトップは仙台育英 前回覇者・長野東や薫英女学院も上位/全国高校駅伝・データ編女子
女子第37回全国高校駅伝(12月21日・京都/5区間21.0975km)に出場する58校を都道府県大会と地区大会で出されたタイムと、3000mのチーム内上位5人の平均タイム(12月上旬判明分)をランキング化した。 女子レ […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳