HOME 学生長距離

2026.02.02

最後の箱根路/早大・間瀬田純平 最後は“持ち場”離れるも「4年間箱根を走れて幸せだった」

最終学年で迎えた箱根駅伝は7区での出走となった早大・間瀬田純平

第102回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。優勝を手にしたり、区間賞に輝いたりした選手以外にもそれぞれの思いを胸に、タスキをつないだ。最終学年として迎えた選手たちの“最後”の奮闘を紹介する。

広告の下にコンテンツが続きます

慣れ親しんだ“持ち場”

早大のスターターと言えばこの男をおいて他にはいないと言い切れるほど、駅伝で1区は間瀬田純平(4年)の“持ち場”だった。

全日本大学駅伝では4年連続、箱根駅伝でも前回まで3年連続で1区を担い、スローな展開でもハイペースでもその役割をこなしてきた。

「優勝のゴールテープを切りたいので、10区を1回走ってみたいですね。1区の逆なので、ある程度コースのイメージは持ちやすいですし」。昨年11月下旬のインタビュー時にはこんなことも口にしていたが、この時点では当然1区の最有力候補だった。本人ももちろんそのつもりだっただろう。

「1区かどうか分かりませんけど」と前置きした上で、「4年生で最後の箱根駅伝になるので、自分としてはやっぱり1区で区間賞を目指して走りたいです。自分がしっかりチームの流れを作って、総合優勝に貢献できるように頑張りたいと思っています」と意気込みを口にしていた。

この時は、最後の箱根駅伝の出番が、慣れ親しんだ1区ではなく7区になるとは思いもしなかっただろう。

佐賀・鳥栖工高時代からマルチな活躍を見せてきた。3年時にはインターハイで1500m3位になり、5000mでは13分台を複数回マーク。全国高校駅伝では1区10kmを29分10秒で走り区間7位と好走した。

大学に入ってからもU20世界選手権で日の丸を着け、U20アジア選手権では1500mで金メダルに輝いている。駅伝でも、箱根駅伝の20km超に対応するのは「大変だった」と振り返りつつも、1年時から臙脂の主力を担ってきた。それほどの実績がありながらも、卒業後は東京消防庁に進み、競技は大学で区切りを付けることを決めた。

「陸上競技をやってきて、一番の夢というか目標が箱根駅伝だったので、そこに4年間、チャレンジできたので悔いはないです」。こうきっぱりと言い切る。

しかし、大学ラストイヤーは厳しい出発となった。

今季は副将の肩書きも増え、最後の箱根駅伝に向けてさらなる強化を図るはずだった。だが、シーズンインを前に左足のアキレス腱を痛めてしまい、3〜5月は走れない状況が続く。

5月中旬にようやく復帰したものの、なかなか調子は上がらず、「トラックシーズンは苦しい時期でした」と振り返る。それでも、走れなかった期間に左右のバランスを見直すと、夏合宿ではしっかりと練習を積むことができ、秋にはグッと調子を上げてきた。

出雲駅伝は出番がなかったものの、全日本大学駅伝では4回目の1区で円熟味ある走りを見せた。「全日本はちょうど調子が上がり始めたぐらいの時期で、どのくらい走れるのかを確認しながらでしたが、比較的冷静に自分の状態を見ながら、ペースの変化にも対応できました」と話す。

区間2位ながら、最後は見事な追い上げを見せて、区間賞の中村晃斗(志學館大)とほぼ同時にタスキリレーをした。

「あと少しで区間賞を逃したのは2年前と同じだったので悔しさはあったんですけど、今年に入ってやっとしっかり走れたのでほっとしました。一安心です」。今シーズンに入って、ようやく納得のいくレースができた。

[caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"] 最終学年で迎えた箱根駅伝は7区での出走となった早大・間瀬田純平[/caption] 第102回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。優勝を手にしたり、区間賞に輝いたりした選手以外にもそれぞれの思いを胸に、タスキをつないだ。最終学年として迎えた選手たちの“最後”の奮闘を紹介する。

慣れ親しんだ“持ち場”

早大のスターターと言えばこの男をおいて他にはいないと言い切れるほど、駅伝で1区は間瀬田純平(4年)の“持ち場”だった。 全日本大学駅伝では4年連続、箱根駅伝でも前回まで3年連続で1区を担い、スローな展開でもハイペースでもその役割をこなしてきた。 「優勝のゴールテープを切りたいので、10区を1回走ってみたいですね。1区の逆なので、ある程度コースのイメージは持ちやすいですし」。昨年11月下旬のインタビュー時にはこんなことも口にしていたが、この時点では当然1区の最有力候補だった。本人ももちろんそのつもりだっただろう。 「1区かどうか分かりませんけど」と前置きした上で、「4年生で最後の箱根駅伝になるので、自分としてはやっぱり1区で区間賞を目指して走りたいです。自分がしっかりチームの流れを作って、総合優勝に貢献できるように頑張りたいと思っています」と意気込みを口にしていた。 この時は、最後の箱根駅伝の出番が、慣れ親しんだ1区ではなく7区になるとは思いもしなかっただろう。 佐賀・鳥栖工高時代からマルチな活躍を見せてきた。3年時にはインターハイで1500m3位になり、5000mでは13分台を複数回マーク。全国高校駅伝では1区10kmを29分10秒で走り区間7位と好走した。 大学に入ってからもU20世界選手権で日の丸を着け、U20アジア選手権では1500mで金メダルに輝いている。駅伝でも、箱根駅伝の20km超に対応するのは「大変だった」と振り返りつつも、1年時から臙脂の主力を担ってきた。それほどの実績がありながらも、卒業後は東京消防庁に進み、競技は大学で区切りを付けることを決めた。 「陸上競技をやってきて、一番の夢というか目標が箱根駅伝だったので、そこに4年間、チャレンジできたので悔いはないです」。こうきっぱりと言い切る。 しかし、大学ラストイヤーは厳しい出発となった。 今季は副将の肩書きも増え、最後の箱根駅伝に向けてさらなる強化を図るはずだった。だが、シーズンインを前に左足のアキレス腱を痛めてしまい、3〜5月は走れない状況が続く。 5月中旬にようやく復帰したものの、なかなか調子は上がらず、「トラックシーズンは苦しい時期でした」と振り返る。それでも、走れなかった期間に左右のバランスを見直すと、夏合宿ではしっかりと練習を積むことができ、秋にはグッと調子を上げてきた。 出雲駅伝は出番がなかったものの、全日本大学駅伝では4回目の1区で円熟味ある走りを見せた。「全日本はちょうど調子が上がり始めたぐらいの時期で、どのくらい走れるのかを確認しながらでしたが、比較的冷静に自分の状態を見ながら、ペースの変化にも対応できました」と話す。 区間2位ながら、最後は見事な追い上げを見せて、区間賞の中村晃斗(志學館大)とほぼ同時にタスキリレーをした。 「あと少しで区間賞を逃したのは2年前と同じだったので悔しさはあったんですけど、今年に入ってやっとしっかり走れたのでほっとしました。一安心です」。今シーズンに入って、ようやく納得のいくレースができた。

12月に入ってから再三のトラブル

その2週間後の上尾シティハーフマラソンでも快走する。15kmまではペース走として一定のペースを刻み、最後はペースアップして1時間2分31秒の自己ベストをマークした。 「去年も同じ設定でしたが、できなかったんです。でも、今年は楽に行けました。力が付いているのを感じました。去年は箱根までの流れがあまり良くなかったので、自信がなかったので(中大・吉居駿恭の飛び出しに)ついていけませんでした。今年はここ最近で上がってきていますし、ついていって勝負できる自信があります」 3年時も箱根で1区4位で走っているが、1年前よりも明らかに調子が良いと感じていた。どんな展開にも対応できる準備はできており、飛び出す選手がいても区間賞争いをする自信があった。 ところが12月に入って、再三のトラブルに見舞われる。12月頭には虫垂炎に。投薬と点滴で対処し入院せずに済んだが、要手術の状況だったら最後の箱根は走れずに終わっていただろう。 一難去ってまた一難。今度は12月中旬に左アキレス腱を痛めてしまった。なんとか急ピッチで仕上げたものの、万全な状態ではなく、箱根に出場できるかどうか微妙な状況だった。12月29日の区間エントリーでは、間瀬田は補員に登録された。 「多田(真、1年)も非常に練習ができていたのでかなり迷ったのですが、間瀬田も調子を戻してきていました。競る展開になった時には、そういう展開を得意としている間瀬田の経験が生きると思いました」と、花田勝彦駅伝監督は当日変更で7区に間瀬田を起用した。 「これまで1区しか走ってこなかったので、コースも全然分からなかったですし、下見もできなかったので、YouTubeに上がっている動画でコースを見ただけでした」と振り返る。 「どの区間でもいける準備はしています」と話していたとはいえ、間瀬田にとっても最後の箱根は意外な形で迎えることになった。ただ、総合優勝をするために重要な区間であることに変わりはなかった。 早大は往路を2位で終え、6区の山﨑一吹も2位をキープして間瀬田につないだ。先頭の青学大には1分30秒以上の差があり、後方からは中大に迫られていた。結果は区間12位。順位を2つ落としてしまった。チームはその後も浮上できず、結局、総合4位でレースを終えた。 痛みを抱えながらも、状態が悪いなりにまとめたと見ることもできるが、自身にとってはもちろん満足のいく走りとは言えなかった。それでも、ラストランには万感の思いがあった。 「早稲田を背負って走るのも箱根が最後だったので、走りは良くなかったですけど、4年間箱根を走れて幸せだったなと思います」 左上腕には『I love 早稲田』の文字。これが“早稲田の間瀬田”の集大成のレースになった。 [caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"] 早大を背負っての走りに万感のラストランとなった間瀬田[/caption] 間瀬田純平(ませだ・じゅんぺい:早大)/2004年2月17日生まれ。福岡県春日市出身。佐賀・鳥栖工高卒。自己ベストは5000m13分55秒61、10000m29分13秒46、ハーフ1時間2分31秒。 文/和田悟志

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.05.11

【竹澤健介の視点】王者・鈴木芽吹選手の「アベレージ力」光る 世界へのスタートラインはアジアを制すること/木南記念

5月10日に木南記念で行われた名古屋アジア大会代表選考最重要競技会の男子10000mで、男子は鈴木芽吹(トヨタ自動車)がアジア大会派遣設定記録(27分31秒27)をクリアする27分20分11秒で優勝し、初の代表に内定した […]

NEWS ミズノが新作ランニングシューズを発表! 2年ぶりの箱根駅伝出場を狙う法大もイベントに登壇

2026.05.11

ミズノが新作ランニングシューズを発表! 2年ぶりの箱根駅伝出場を狙う法大もイベントに登壇

ミズノは6月19日に発売する新作ランニングシューズ「MIZUNO NEO VISTA 3」の商品説明会・トークセッション&試走会イベントを開いた。 「MIZUNO NEO VISTA 3」は、ランニングにおいて重要となる […]

NEWS ミズノから反発性を特長とする新作ランニングシューズ「MIZUNO NEO VISTA 3」が6月19日から発売!

2026.05.11

ミズノから反発性を特長とする新作ランニングシューズ「MIZUNO NEO VISTA 3」が6月19日から発売!

ミズノは5月11日、反発性を特長とするスーパートレーナー「MIZUNO NEO VISTA」シリーズの最新モデルとして、走行効率と安定性を追求した「MIZUNO NEO VISTA 3(ミズノネオビスタスリー)」を6月1 […]

NEWS 大正大学が陸上競技部創立!初代監督に添田正美氏就任、創立100周年の節目に「箱根駅伝出場」掲げて「ゼロからの挑戦」

2026.05.11

大正大学が陸上競技部創立!初代監督に添田正美氏就任、創立100周年の節目に「箱根駅伝出場」掲げて「ゼロからの挑戦」

大正大学は5月11日、2026年4月1日付で陸上競技部を設立したことと、添田正美氏の初代監督に就任したことを発表した。 2026年に創立100周年を迎えたことをきっかけに、学生の競技力向上と大学ブランドの発信強化を目的と […]

NEWS 名古屋アジア大会競歩代表内定選手が発表!東京銅の勝木隼人、世界記録保持者・山西利和、梅野倖子ら7名選出

2026.05.11

名古屋アジア大会競歩代表内定選手が発表!東京銅の勝木隼人、世界記録保持者・山西利和、梅野倖子ら7名選出

日本陸連は5月11日、名古屋アジア大会の競歩代表7名を発表した。 男子マラソン競歩は、昨年の東京世界選手権35km競歩銅メダルの勝木隼人(自衛隊体育学校)と、諏方元郁(愛知製鋼)の2名。昨年10月の全日本競歩高畠大会を2 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年5月号 (4月14日発売)

2026年5月号 (4月14日発売)

2026シーズン展望
中距離特集ほか

page top