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2023.12.28

箱根駅伝Stories/青学大 2年ぶり王座奪還へ「リザーブやサポートも含めて、全員で勝ちに行く」
箱根駅伝Stories/青学大 2年ぶり王座奪還へ「リザーブやサポートも含めて、全員で勝ちに行く」

23年全日本大学駅伝でタスキをつないだ青学大2区の黒田朝日(左)から3区の佐藤一世

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

どん底のスタートから這い上がった1年

2015年の初優勝以降、毎年優勝を狙えるチームを作り上げてきたが、ここまで成長を感じさせた1年があっただろうか。

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昨年度、チームの象徴として牽引した近藤幸太郎(現・SGホールディングスグループ)、岸本大紀(現・GMOインターネットグループ)、横田俊吾(現・JR東日本)ら、「史上最強世代」が卒業。新チーム発足直後は主力に故障者が続出して足並みがそろわず、原晋監督からも「このままでは、一歩間違えると箱根のシード権すら危うい」と厳しい言葉を投げつけられた。

だが、5月の関東インカレ(2部)で1500m以上のトラック全種目で入賞を果たすと、夏合宿で乗り越えて、チームは大きく変貌を遂げる。最上級生となった佐藤一世は、「強かった先輩たちが抜けて、一気に戦力ダウンしたけど、夏を乗り越えて、確実にチーム力は上がっています」と振り返る。

その言葉は9月の絆記録挑戦競技会5000mでかたちとなり、山内健登(4年)の13分35秒04を筆頭に、上位6人が13分30秒台をマーク。同レースで実に17人が13分台で走破した。

さらに11月のMARCH対抗戦10000mでも、佐藤、黒田朝日(2年)、倉本玄太(4年)が28分10秒台をマークするなど、12人が28分台を記録し、例年に遜色ない戦力を整えつつある。

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新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

どん底のスタートから這い上がった1年

2015年の初優勝以降、毎年優勝を狙えるチームを作り上げてきたが、ここまで成長を感じさせた1年があっただろうか。 昨年度、チームの象徴として牽引した近藤幸太郎(現・SGホールディングスグループ)、岸本大紀(現・GMOインターネットグループ)、横田俊吾(現・JR東日本)ら、「史上最強世代」が卒業。新チーム発足直後は主力に故障者が続出して足並みがそろわず、原晋監督からも「このままでは、一歩間違えると箱根のシード権すら危うい」と厳しい言葉を投げつけられた。 だが、5月の関東インカレ(2部)で1500m以上のトラック全種目で入賞を果たすと、夏合宿で乗り越えて、チームは大きく変貌を遂げる。最上級生となった佐藤一世は、「強かった先輩たちが抜けて、一気に戦力ダウンしたけど、夏を乗り越えて、確実にチーム力は上がっています」と振り返る。 その言葉は9月の絆記録挑戦競技会5000mでかたちとなり、山内健登(4年)の13分35秒04を筆頭に、上位6人が13分30秒台をマーク。同レースで実に17人が13分台で走破した。 さらに11月のMARCH対抗戦10000mでも、佐藤、黒田朝日(2年)、倉本玄太(4年)が28分10秒台をマークするなど、12人が28分台を記録し、例年に遜色ない戦力を整えつつある。

チーム青山の力を結集「全員で勝ちに行く」

12月11日に発表されたエントリーメンバー16人の10000m上位10人平均タイムは28分24秒63と、駒大に次いで2番手につける。前回は当時の4年生が9人エントリーしたが、今回は1年生1人(平松享祐)、2年以上は5人ずつとバランス良い構成となっている。 4年生からは1年時から主力として活躍している佐藤に加え、出雲駅伝4区区間賞の山内、日本選手権3000m障害4位の小原響に加え、ここまで学生三大駅伝未経験の倉本、松並昴勢がエントリー。不調から脱することができず、エントリー外となった主将の志貴勇斗(4年)は、「今までは(佐藤)一世が飛び抜けた存在でしたが、ここにきて伸びてきた選手も多い学年。競技面だけでなく、4年生としての自覚を持ってやってきて、この1年は本当につながりが深まったので、最後まで力を出し切って欲しいです」と同期に託している。 3年生は高校時代から実績のある選手が多く、ルーキーイヤーからトラック、駅伝で活躍してきた選手も多い世代。なかでも太田蒼生は過去2度の箱根路でインパクトを残している。さらに前々回5区区間3位の若林宏樹、全日本で8区区間3位と好走し、ロードでの勝負強さを見せる田中悠登、山下り候補に挙がる野村昭夢、練習量はチーム随一を誇る白石光星ら実力者がそろう。志貴も、「チームにとって欠かせない存在。この世代が走らないと箱根の優勝も現実味を帯びてこない」と語る面々が、王座奪還のキーマンとなりそうだ。 2年生は、今季チームのエースへと駆け上がった黒田の存在が頭一つ抜けていたが、全日本大学駅伝では荒巻朋熙が6区区間3位と好走。まだ駅伝出走はないが、塩出翔太もハーフマラソンでチーム2位(1時間2分01秒)のタイムを持ち、出走のチャンスは十分考えられる。 関東インカレ1500m優勝の宇田川瞬矢と皆渡星七も10000m28分台をマークしており、「黒田がとにかく強いですけど、それに引っ張られて他の選手も確実に成長している」と志貴。1人のエースが学年全体を大きく成長し、チームの中核を担う存在となりつつある。 過去のチームには、田村和希(現・住友電工)、小野田勇次(現・トヨタ紡織)、飯田貴之(現・富士通)、岸本、佐藤と、1年生で箱根デビューを果たして、のちにチームの主力となった選手の存在があった。今回、唯一のエントリーとなった平松も10000m28分台、ハーフマラソン1時間3分台の実力を持つだけに、前述の選手らに続くことができるだろうか。 今季の学生三大駅伝は出雲5位、全日本2位と駒大の後塵を拝しているが、佐藤は「選手個々の力は間違いなくついている。箱根で戦えるところまで来たと思います。全員で120%の力を出し切って勝ちたいと思います」と意欲を見せる。 自らは最後の箱根路を走ることは叶わなかった志貴も、「今は各学年が、自分たちの走りで、箱根で優勝するという気持ちがあって、その頑張りがあってここまで来れたと思います。走る10人だけじゃなく、リザーブやサポートも含めて、全員で箱根は勝ちに行きます」と、チームとして有終の美を飾るために前を向く。 チームのすべてを結集して挑む戦い。7度目の栄冠へ、準備は整った。 [caption id="attachment_124867" align="alignnone" width="800"] 主将の志貴勇斗(前列右から3人目)を中心にチームをまとめ上げてきた4年生世代[/caption] 文/田中 葵

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