2022.12.23
箱根駅伝Stories
新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。
オーバートレーニングで思うように走れない状況を乗り越え、法大の松永伶(3年)は今季一気にブレイクした。10月の出雲駅伝で初の学生三大駅伝出場を果たし、5000m、10000m、ハーフマラソンで自己ベストを更新。初めての箱根駅伝への意気込みなどを語ってもらった。
周囲を驚かせた関東インカレの激走
5月の関東インカレ1部5000m決勝、ラスト2周の展開に国立競技場の観衆は沸いた。
順大・三浦龍司(3年)らが先頭を引っ張るなか、序盤、集団後方に位置取っていた松永は、3000mを過ぎたあたりから徐々に前に出ると、残り2周から一気にスパートをかけた。
ラスト1周を知らせる鐘が鳴ってもまだ松永が前にいたが、最後まではもたなかった。東京五輪3000m障害7位の三浦を筆頭に5選手に抜かされ、6位でフィニッシュ。大金星こそならなかったが、大幅自己ベストの13分50秒45で走り切った松永は満足の表情でこう語った。
「大学に入って初の大舞台だったので、ルーキーみたいな気持ちで挑戦しました。中学でも高校でも自分はラストスパートを得意にしていて、ラスト1~2周からのスパートで勝つパターンが多かった。その経験をもとに仕掛けました。世界で戦った三浦選手と一緒に戦うことができて良かったです」
レースを見守っていた坪田智夫駅伝監督も、この走りには驚かされたという。
「松永には『今年は経験だよ。順位も結果もいいからインカレで1本スタートラインに立ってゴールしよう』という話をしていました。『決勝に残れたのは、今まで苦しんで、それでも頑張ってきたお前へのご褒美みたいなもだから、好きに走っておいで』と言って送り出したら、本当に好きに走ってきましたね(笑)」
苦しい状況を乗り越えて本来の力を取り戻した教え子に、坪田監督は温かいまなざしを送る。
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周囲を驚かせた関東インカレの激走
5月の関東インカレ1部5000m決勝、ラスト2周の展開に国立競技場の観衆は沸いた。 順大・三浦龍司(3年)らが先頭を引っ張るなか、序盤、集団後方に位置取っていた松永は、3000mを過ぎたあたりから徐々に前に出ると、残り2周から一気にスパートをかけた。 ラスト1周を知らせる鐘が鳴ってもまだ松永が前にいたが、最後まではもたなかった。東京五輪3000m障害7位の三浦を筆頭に5選手に抜かされ、6位でフィニッシュ。大金星こそならなかったが、大幅自己ベストの13分50秒45で走り切った松永は満足の表情でこう語った。 「大学に入って初の大舞台だったので、ルーキーみたいな気持ちで挑戦しました。中学でも高校でも自分はラストスパートを得意にしていて、ラスト1~2周からのスパートで勝つパターンが多かった。その経験をもとに仕掛けました。世界で戦った三浦選手と一緒に戦うことができて良かったです」 レースを見守っていた坪田智夫駅伝監督も、この走りには驚かされたという。 「松永には『今年は経験だよ。順位も結果もいいからインカレで1本スタートラインに立ってゴールしよう』という話をしていました。『決勝に残れたのは、今まで苦しんで、それでも頑張ってきたお前へのご褒美みたいなもだから、好きに走っておいで』と言って送り出したら、本当に好きに走ってきましたね(笑)」 苦しい状況を乗り越えて本来の力を取り戻した教え子に、坪田監督は温かいまなざしを送る。 次のページ 苦しんだ大学1~2年目苦しんだ大学1~2年目
松永は幼稚園の年中から小6まで8年間サッカーに明け暮れた。小学校のマラソン大会では常にトップを争い、小6の時には学校代表として船橋市内の駅伝大会に出場。そこで区間賞を獲得したことから陸上競技に興味を持つようになったという。 「3~4番ぐらいでたすきをもらって、1番に上げて次の走者に渡しました。もしかしたら自分は陸上に向いているのではと思い、中学校では陸上部に入りました」 前原中で陸上競技部に入部後、素質は開花する。中3時には1500mと3000mで全中にも出場。全国都道府県対抗駅伝では2区区間6位と好成績を挙げている。 専大松戸高2年時のインターハイ路線は、千葉県大会5000mで石井一希(八千代松陰高/現・順大)、中村唯翔(流経大柏高/現・青学大)、佐藤一世(八千代松陰高/現・青学大)らに勝って優勝。続く南関東大会5000mでは7位で全国大会出場を逃し、さらにその後はオーバートレーニングによって練習もままならない日々を過ごした。 法大へ進学後も1、2年生の間は思うように走れず、レースにも出られず、苦しい時期が続いた。松永は当時のことをこう振り返る。 「大学4年生で迎える第100回箱根駅伝に出ることが夢で、そこで走りたいという気持ちが支えになりました。思うように走れない間も、専大松戸の仲間、監督、法大の仲間、指導者の方々、みなさん優しく接してくれて、両親にも支えられて、頑張り続けることができました」 補強メニューや軽めのジョグなど、できる限りの練習をこなすうちに、時間はかかったが体調は徐々に戻ってきた。大学2年の6月からはポイント練習に加わるようになる。7月、大学初レースとなった法大対明大定期陸上5000m(オープン)を14分37秒79で走り切り、手応えをつかんだ。 大学3年になった今年は関東インカレ5000m決勝の快走で注目を浴びると、10月の出雲駅伝2区(区間9位)で学生駅伝デビューを果たす。 [caption id="attachment_89421" align="alignnone" width="800"]
周囲を驚かせた関東インカレでのロングスパート[/caption]
11月12日の日体大長距離競技会10000mでは28分34秒33秒と自己ベストを更新(法大歴代4位/現5位)。同20日の上尾ハーフでは、初ハーフマラソンながら1時間2分03秒でフィニッシュし、2学年先輩の鎌田航生(現・ヤクルト)と並ぶ法大記録保持者となった。
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箱根路でさらなる飛躍を見せる
いよいよ迫る初めての箱根駅伝。松永は、「前後に人がいたり、並走したりするほうが自分の力を発揮できる」とのことから、箱根では1区から4区を希望している。「誰かと競っている時は、負けたくない。大学生のうちに区間賞を取れる選手になりたいですが、今回チームは5位以内を目標にしているので、最低でも区間5位、できれば3位以内を狙いたいです」と目標を話す。 坪田監督は、松永のランナーとしての魅力についてこう話す。 「関東インカレで見せた、あの勝負度胸が、すごいですよね。“エンジン”は間違いなくいいものを持っている。さらに練習を積んで、あのスパートが最後までもつようになれば、彼は怪物に……相手にとってすごく嫌な選手になると思います」 坪田監督は「怪物」と言いかけて、少し控えめな表現に言い直した。おそらく先に出た言葉こそが坪田監督の本心なのではないか。 箱根路で、未知なるポテンシャルを秘めた遅咲きランナーがベールを脱ぐ。 [caption id="attachment_89420" align="alignnone" width="800"]
法大を牽引する駅伝主将の内田(右)と松永[/caption]
まつなが・れい/2001年6月12日生まれ。千葉県船橋市出身。164cm・49kg。千葉・前原中→専大松戸高。5000m13分50秒45、10000m28分34秒33、ハーフ1時間2分03秒
文/小川誠志 RECOMMENDED おすすめの記事
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