HOME ニュース、国内

2022.02.07

27歳・西山雄介が初挑戦で勝負強さ発揮「来年のMGCでパリ五輪代表を」/別府大分毎日マラソン
27歳・西山雄介が初挑戦で勝負強さ発揮「来年のMGCでパリ五輪代表を」/別府大分毎日マラソン


◇第70回別府大分毎日マラソン(2月6日/大分県・大分市高崎山うみたまご前→大分市営陸上競技場)

2年ぶりに行われたレースは、マラソン初挑戦の西山雄介(トヨタ自動車)が2時間7分47秒の大会新記録で優勝した。また、上位6選手がパリ五輪代表選考レースとなるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得。これまでのレースと合わせてMGC出場権獲得者は計11名になった。

実業団5年目の西山が華々しくデビュー戦を飾った。5~6mの風が吹く中、序盤から給水しやすい沿道側に位置を取り、目立たず、虎視眈々とレースを展開。30kmでペースメーカーが外れると、先頭集団で勝機をうかがった。35km過ぎで古賀淳紫(安川電機)が飛び出したが、鎧坂哲哉(旭化成)とともに冷静に追走。39kmで古賀に追いつき、三つ巴の争いに持ち込むと、ラスト2kmでスパートし、2人を振り切った。

広告の下にコンテンツが続きます

「ここが勝負だと思って、出せる力を出し切ろうと思ってスパートしました。本当はラスト5kmぐらいから古賀さんを追いたかったのですが、結構脚にダメージが来ていたので、ためを作ろうと思って少しずつ詰めることを意識しました。向かい風だったので、鎧坂さんと一緒に追えたのがよかったです」

三重・伊賀白鳳高出身。3年時の2012年全国高校駅伝1区で出場し、各校のエースを抑えて区間賞を獲得した。高校の2学年先輩である中村匠吾(現・富士通)を追って駒大に進学すると、1年生から駅伝メンバー入り。在学中の4年間、箱根、全日本、出雲の学生三大駅伝にすべて出場するなど、主力としてチームを牽引した。

2017年にトヨタ自動車入社後は「1、2年目はうまくいかない時期もあった」と言うが、高校と大学の先輩である中村や、チームメイトの服部勇馬が19年9月のMGCで東京五輪代表を勝ち取り、「自分もこの舞台で戦いたい」と奮起。20年は全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で3区区間新、10000mでは初の27分台(27分56秒78)をマーク。マラソンデビューへ準備を進めてきた。「継続した練習をすることを、一番頭に置いてやってきました。ケガなくやってこられたのが、勝てた要因と思います」と振り返る。

初マラソンで優勝をつかんだ西山だが、フィニッシュシーンでもレース後の会見でも、ほとんど笑顔を見せることはなかった。目標にしていた初マラソン日本最高(2時間7分42秒/作田将希・JR東日本)にあと5秒届かず、「優勝はうれしいですが、タイムは悔しい」と西山。さらに、「もっと上を目指したいというのが一番の率直な思い。世界選手権に選ばれたらしっかり準備したいし、来年のMGCではパリ五輪代表をつかみたい」とも話した。

西山の笑顔が見られるのは、世界で戦えた時なのかもしれない。

■パリ五輪MGC出場権獲得者(2/6時点)
細谷恭平(黒崎播磨)
大塚祥平(九電工)
髙久龍(ヤクルト)
上門大祐(大塚製薬)
神野大地(セルソース)
西山雄介(トヨタ自動車)
鎧坂哲哉(旭化成)
藤曲寛人(トヨタ自動車九州)
古賀淳紫(安川電機)
相葉直紀(中電工)
中西亮貴(トーエネック)

文/田端慶子

【関連記事】別府大分毎日マラソン上位成績

◇第70回別府大分毎日マラソン(2月6日/大分県・大分市高崎山うみたまご前→大分市営陸上競技場) 2年ぶりに行われたレースは、マラソン初挑戦の西山雄介(トヨタ自動車)が2時間7分47秒の大会新記録で優勝した。また、上位6選手がパリ五輪代表選考レースとなるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得。これまでのレースと合わせてMGC出場権獲得者は計11名になった。 実業団5年目の西山が華々しくデビュー戦を飾った。5~6mの風が吹く中、序盤から給水しやすい沿道側に位置を取り、目立たず、虎視眈々とレースを展開。30kmでペースメーカーが外れると、先頭集団で勝機をうかがった。35km過ぎで古賀淳紫(安川電機)が飛び出したが、鎧坂哲哉(旭化成)とともに冷静に追走。39kmで古賀に追いつき、三つ巴の争いに持ち込むと、ラスト2kmでスパートし、2人を振り切った。 「ここが勝負だと思って、出せる力を出し切ろうと思ってスパートしました。本当はラスト5kmぐらいから古賀さんを追いたかったのですが、結構脚にダメージが来ていたので、ためを作ろうと思って少しずつ詰めることを意識しました。向かい風だったので、鎧坂さんと一緒に追えたのがよかったです」 三重・伊賀白鳳高出身。3年時の2012年全国高校駅伝1区で出場し、各校のエースを抑えて区間賞を獲得した。高校の2学年先輩である中村匠吾(現・富士通)を追って駒大に進学すると、1年生から駅伝メンバー入り。在学中の4年間、箱根、全日本、出雲の学生三大駅伝にすべて出場するなど、主力としてチームを牽引した。 2017年にトヨタ自動車入社後は「1、2年目はうまくいかない時期もあった」と言うが、高校と大学の先輩である中村や、チームメイトの服部勇馬が19年9月のMGCで東京五輪代表を勝ち取り、「自分もこの舞台で戦いたい」と奮起。20年は全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で3区区間新、10000mでは初の27分台(27分56秒78)をマーク。マラソンデビューへ準備を進めてきた。「継続した練習をすることを、一番頭に置いてやってきました。ケガなくやってこられたのが、勝てた要因と思います」と振り返る。 初マラソンで優勝をつかんだ西山だが、フィニッシュシーンでもレース後の会見でも、ほとんど笑顔を見せることはなかった。目標にしていた初マラソン日本最高(2時間7分42秒/作田将希・JR東日本)にあと5秒届かず、「優勝はうれしいですが、タイムは悔しい」と西山。さらに、「もっと上を目指したいというのが一番の率直な思い。世界選手権に選ばれたらしっかり準備したいし、来年のMGCではパリ五輪代表をつかみたい」とも話した。 西山の笑顔が見られるのは、世界で戦えた時なのかもしれない。 ■パリ五輪MGC出場権獲得者(2/6時点) 細谷恭平(黒崎播磨) 大塚祥平(九電工) 髙久龍(ヤクルト) 上門大祐(大塚製薬) 神野大地(セルソース) 西山雄介(トヨタ自動車) 鎧坂哲哉(旭化成) 藤曲寛人(トヨタ自動車九州) 古賀淳紫(安川電機) 相葉直紀(中電工) 中西亮貴(トーエネック) 文/田端慶子 【関連記事】別府大分毎日マラソン上位成績

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.14

中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝

◇全国中学校駅伝(12月14日/滋賀・希望が丘文化公園 男子6区間18km、女子5区間12km) 第33回全国中学校駅伝は14日、滋賀県の野洲市と湖南市にまたがる希望が丘文化公園で開催される。都道府県大会を勝ち抜いた男女 […]

NEWS 編集部コラム「あっという間の2025年」

2025.12.13

編集部コラム「あっという間の2025年」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

NEWS 早大のルーキー・鈴木琉胤「少しずつトラックの頃に戻ってきた」 往路希望で「区間賞を狙う走りを」

2025.12.13

早大のルーキー・鈴木琉胤「少しずつトラックの頃に戻ってきた」 往路希望で「区間賞を狙う走りを」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 出雲駅伝、全日本大学駅伝で出走したルーキー・鈴木琉胤は「ハーフは走ったことがなくて、箱根でいきなりという不安はあります。 […]

NEWS 箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」

2025.12.13

箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 この日は撮影と共通取材、個別取材を実施。共通取材で花田勝彦駅伝監督は「今年もかなり良いかたちで準備ができたと思っています […]

NEWS 連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通
PR

2025.12.13

連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通

2026年の幕開けを飾る全日本実業団対抗駅伝(通称・ニューイヤー駅伝)は、第70回の記念大会として1月1日、前橋市にある群馬県庁前をスタートし、上州路をぐるりと回って県庁に戻る7区間・総距離100kmのコースで行われる。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top