HOME バックナンバー
TOKYO2020 Special interview 田中希実 駆け抜けた4レースはパリへの序章
TOKYO2020 Special interview 田中希実 駆け抜けた4レースはパリへの序章

国立競技場を舞台にした東京五輪の陸上競技は全9日間の日程。その初日に行われた女子5000m予選から登場した田中希実(豊田自動織機TC)は、半分近くの4日間でトラックを駆け抜けた。そして、日本人が過去に1度も出場したことのなかった女子1500mで8位入賞を果たし、準決勝では3分59秒19という衝撃的な日本新記録を樹立。記録づくめの力走に、日本陸上界が熱狂した。その活躍は、五輪日本勢の「MVP」と言えるものだ。

広告の下にコンテンツが続きます

真夏の挑戦を終えても、その2週間後には1000mで2分37秒72の日本新をマークして話題を振りまくが、3月から走り続けてきた日々とは違って少し穏やかな時間を過ごし、次なるチャレンジへの英気を養っているところ。そんな田中に、22歳の誕生日を翌日に控えた9月3日、地元の兵庫県小野市で五輪のレースや過程の振り返りと、これからを聞いた。
構成/小川雅生
撮影/弓庭保夫

「結構すごいスケジュールをこなした」

――オリンピックが終わって1ヵ月弱ですが、今どのような気持ちで過ごしていますか。

田中 私にとっては2ヵ月くらい経ったような、結構昔のことのように感じています。あの時の力は今は出せないので、それもあって遠くに感じるのかもしれません。五輪が終わってからも、毎日いろいろとバタバタしていました。でも、充実はしていたので、終わってから濃い1日1日を過ごしています。

――オリンピックの重みは感じましたか。

田中 はい。国内での開催だったというのもあると思うんですけど、結構注目がすごいなって。地元に帰ってきてから特に思います。今までは陸上ファンの方には出かけた先でわかってしまうことがあったけど、まったく陸上を知らない人でもテレビで観て、知ってくださっていました。その人も普段は陸上を観ないと言っていたので、やっぱりオリンピックってすごいなと思いました。

――オリンピックの走りはそれぞれ細かく振り返りましたか。

田中 じっくり振り返ることは、それほどしていないんです。逆に取材で答えたり、おめでとうってメッセージをくれた人に返したりする中で、振り返ったり、整理がついたりしていった感じです。5000mは予定通りじゃなかったけど、1500mだったら意外と何日か置きでも高いレベルで何本も走れるものだと感じました。それにしても、振り返ると結構すごいスケジュールをこなしていたなと思いました(笑)。

――厳しいスケジュールでしたけど、そんな感覚はなかったのですか?

田中 ドーハ世界選手権の時も5000mの予選と決勝は中2日。その時は、周りからは5000mが2本で大変と思われていましたが、私としては「中2日ももらえた」と感じていたんです。今回も準決勝と決勝の間は中1日で短く感じましたが、予選と準決勝の間はすごく猶予をもらえたように感じていました。たぶん8月2日の予選が朝で、4日の準決勝が夜だったので、1日多い感覚になったんだと思います。

――今、心に残っている思いは?

田中 駆け抜けたな、と(笑)。ただ、ドーハ世界選手権や去年のゴールデングランプリ東京で日本記録(4分05秒27)を出した後のほうが〝やり切った感〟がありました。今年一番の成績を出したから、一息つく感じになっていましたが、今はその成績の余韻に浸るというわけではないですね。自分はこんなに走れたんだ、と気持ち良く走ることがあまりできていないので、逆に今の練習に集中できているという感じです。

「8月2日の2本」が快挙への始まり

――そもそも、今回のオリンピックでの一番の目標を教えてください。

田中 もともと具体的な目標を立てていなくて、ハードスケジュールをこなす過程を自分の財産にしたいと思っていました。1500mに最後(決勝)まで残るというよりも、5000mの決勝に残って、8月2日の1500m予選と5000m決勝の2本を乗り越えることに重きを置いていたんです。それを乗り越えたうえで、5000mを控えている中での1500m予選で準決勝に残れていたら、5000m決勝からの1500m準決勝がどう走れるんだろう、と。1500mの決勝までは考えていなくて、準決勝くらいまでのスケジュールしか考えていませんでした。

――5000mへの意識のほうが強かったのですか。

田中 5000m予選は「ここで決勝に残らないと始まらない」という気持ちで迎えていたので、まず5000mで決勝を決めることが一つの山場でした。そこさえ決めれば、絶対に1500mと5000mの2本走ることが確定します。「その2本を1日で走る山を越えたら、あとは楽しむだけ」と考えていたので、すべてのことを左右するのが5000mの予選。その時は緊張していたかなと思います。

この続きは2021年9月14日発売の『月刊陸上競技10月号』をご覧ください。

 

※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する
定期購読はこちらから

国立競技場を舞台にした東京五輪の陸上競技は全9日間の日程。その初日に行われた女子5000m予選から登場した田中希実(豊田自動織機TC)は、半分近くの4日間でトラックを駆け抜けた。そして、日本人が過去に1度も出場したことのなかった女子1500mで8位入賞を果たし、準決勝では3分59秒19という衝撃的な日本新記録を樹立。記録づくめの力走に、日本陸上界が熱狂した。その活躍は、五輪日本勢の「MVP」と言えるものだ。 真夏の挑戦を終えても、その2週間後には1000mで2分37秒72の日本新をマークして話題を振りまくが、3月から走り続けてきた日々とは違って少し穏やかな時間を過ごし、次なるチャレンジへの英気を養っているところ。そんな田中に、22歳の誕生日を翌日に控えた9月3日、地元の兵庫県小野市で五輪のレースや過程の振り返りと、これからを聞いた。 構成/小川雅生 撮影/弓庭保夫

「結構すごいスケジュールをこなした」

――オリンピックが終わって1ヵ月弱ですが、今どのような気持ちで過ごしていますか。 田中 私にとっては2ヵ月くらい経ったような、結構昔のことのように感じています。あの時の力は今は出せないので、それもあって遠くに感じるのかもしれません。五輪が終わってからも、毎日いろいろとバタバタしていました。でも、充実はしていたので、終わってから濃い1日1日を過ごしています。 ――オリンピックの重みは感じましたか。 田中 はい。国内での開催だったというのもあると思うんですけど、結構注目がすごいなって。地元に帰ってきてから特に思います。今までは陸上ファンの方には出かけた先でわかってしまうことがあったけど、まったく陸上を知らない人でもテレビで観て、知ってくださっていました。その人も普段は陸上を観ないと言っていたので、やっぱりオリンピックってすごいなと思いました。 ――オリンピックの走りはそれぞれ細かく振り返りましたか。 田中 じっくり振り返ることは、それほどしていないんです。逆に取材で答えたり、おめでとうってメッセージをくれた人に返したりする中で、振り返ったり、整理がついたりしていった感じです。5000mは予定通りじゃなかったけど、1500mだったら意外と何日か置きでも高いレベルで何本も走れるものだと感じました。それにしても、振り返ると結構すごいスケジュールをこなしていたなと思いました(笑)。 ――厳しいスケジュールでしたけど、そんな感覚はなかったのですか? 田中 ドーハ世界選手権の時も5000mの予選と決勝は中2日。その時は、周りからは5000mが2本で大変と思われていましたが、私としては「中2日ももらえた」と感じていたんです。今回も準決勝と決勝の間は中1日で短く感じましたが、予選と準決勝の間はすごく猶予をもらえたように感じていました。たぶん8月2日の予選が朝で、4日の準決勝が夜だったので、1日多い感覚になったんだと思います。 ――今、心に残っている思いは? 田中 駆け抜けたな、と(笑)。ただ、ドーハ世界選手権や去年のゴールデングランプリ東京で日本記録(4分05秒27)を出した後のほうが〝やり切った感〟がありました。今年一番の成績を出したから、一息つく感じになっていましたが、今はその成績の余韻に浸るというわけではないですね。自分はこんなに走れたんだ、と気持ち良く走ることがあまりできていないので、逆に今の練習に集中できているという感じです。

「8月2日の2本」が快挙への始まり

――そもそも、今回のオリンピックでの一番の目標を教えてください。 田中 もともと具体的な目標を立てていなくて、ハードスケジュールをこなす過程を自分の財産にしたいと思っていました。1500mに最後(決勝)まで残るというよりも、5000mの決勝に残って、8月2日の1500m予選と5000m決勝の2本を乗り越えることに重きを置いていたんです。それを乗り越えたうえで、5000mを控えている中での1500m予選で準決勝に残れていたら、5000m決勝からの1500m準決勝がどう走れるんだろう、と。1500mの決勝までは考えていなくて、準決勝くらいまでのスケジュールしか考えていませんでした。 ――5000mへの意識のほうが強かったのですか。 田中 5000m予選は「ここで決勝に残らないと始まらない」という気持ちで迎えていたので、まず5000mで決勝を決めることが一つの山場でした。そこさえ決めれば、絶対に1500mと5000mの2本走ることが確定します。「その2本を1日で走る山を越えたら、あとは楽しむだけ」と考えていたので、すべてのことを左右するのが5000mの予選。その時は緊張していたかなと思います。 この続きは2021年9月14日発売の『月刊陸上競技10月号』をご覧ください。  
※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する 定期購読はこちらから

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.05.08

名古屋アジア大会懸けた“一発勝負”10000m選考レースに鈴木芽吹、田中希実ら

名古屋アジア大会代表選考において、男女10000mの最重要競技会に設定されている木南記念が5月10日にヤンマースタジアム長居で行われる。 32年ぶり自国開催となるアジア大会。各種目の代表枠は最大で男女各2名となるが、昨年 […]

NEWS ラ・コルーニャ国際グランプリに藤井菜々子、勝木隼人らがエントリー 海外勢もボンフィム、ペレスらトップが参戦/WA競歩ツアー

2026.05.08

ラ・コルーニャ国際グランプリに藤井菜々子、勝木隼人らがエントリー 海外勢もボンフィム、ペレスらトップが参戦/WA競歩ツアー

世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドの第39回ラ・コルーニャ国際グランプリ(スペイン/5月23日)のエントリーが発表され、日本からは東京世界選手権メダリストの勝木隼人(自衛隊体育学校)、藤井菜々子(エディオン)らがエント […]

NEWS セイコーGGP3000mに森凪也、矢田みくにがエントリー 田中希実は1500mにも登録 海外勢ではやり投・ヴァドレイヒが出場

2026.05.08

セイコーGGP3000mに森凪也、矢田みくにがエントリー 田中希実は1500mにも登録 海外勢ではやり投・ヴァドレイヒが出場

日本陸連は5月8日、セイコーゴールデングランプリ2026東京(5月17日/東京・国立競技場)のエントリー選手の第7弾を発表した。 昨年の世界選手権代表では男子5000mに出場した森凪也(Honda)が3000mにエントリ […]

NEWS 6月20日に東京で「GINZA MILE」が開催 ナイキプロデュースの公認レース

2026.05.08

6月20日に東京で「GINZA MILE」が開催 ナイキプロデュースの公認レース

ナイキは5月8日、公認1マイルレースの「GINZA MILE」を6月20日に東京・銀座で開催することを発表した。 コースはかつて高速道路として使用されていた、東京高速道路(KK線)の日本陸連公認コースが設定され、大会は世 […]

NEWS いざ滋賀インターハイへ、都府県大会が開幕!東京、栃木、山梨、神奈川など皮切りに6月上旬まで開催

2026.05.08

いざ滋賀インターハイへ、都府県大会が開幕!東京、栃木、山梨、神奈川など皮切りに6月上旬まで開催

7月の滋賀インターハイ(7月30日~8月5日/滋賀・平和堂HATOスタジアム)を目指し、都府県大会がスタートした。 インターハイ(全国高校陸上競技対校選手権)は、5月上旬から6月上旬までの都府県大会を経て、6月中旬の地区 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年5月号 (4月14日発売)

2026年5月号 (4月14日発売)

2026シーズン展望
中距離特集ほか

page top