HOME 学生長距離

2021.06.24

【連載コラム】NGT48西村菜那子の陸上日記#40
【連載コラム】NGT48西村菜那子の陸上日記#40

連載40区
「出演舞台で明確になった私が駅伝好きの理由」


ダブルキャストで勝田葉菜子役を演じた千歳ゆうさんと

広告の下にコンテンツが続きます

みなさん、こんばんは!

出だしから私の仕事のことで恐縮ですが、舞台「風が強く吹いている」が先日無事に終演致しました。お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました。私もこの座組み(出演者の構成)の一員として、千秋楽まで駆け抜けられたことがとても嬉しく思います。充実した日々を送ることができました。

この作品は箱根駅伝が題材となっていて、駅伝では無名の大学が長距離未経験の部員を10人集め、箱根駅伝を目指してたった1年で出場を果たす物語です。私は陸上部のマネージャーである勝田葉菜子役を演じました。葉菜子は、陸上競技そのものの魅力に惹かれている女の子。私と似ている部分も多くあったため、リラックスして楽しくお芝居をすることができました。陸上関係にお勤めの方も、たくさん会場にお越しくださったみたいで、Twitterなどで投稿された観劇レポートを拝見した時はとても励みになりました。

この舞台には、走法指導として、SGホールディングスグループのコーチである西川雄一朗さんや鈴木塁人選手が参加されています。特に西川さんは稽古場にもたびたび足を運んでくださり、走り方や襷(たすき)の掛け方(実際に東海大学で使用されていた襷をお借りしました)から、正しいアイシング方法に至るまで、丁寧なご指導をしていただきました。

広告の下にコンテンツが続きます

おかげで本番では、箱根駅伝のリアルな一面を舞台上から観客の皆さまにお伝えできたと思います。西川コーチ、鈴木選手に心から感謝申し上げます。約1ヵ月間、本当にありがとうございました。

駅伝が好きなアイドルお仕事をいただくことがあるのですが、その際に必ず聞かれることがあるのです。「なぜ、駅伝が好きなんですか?」と。

確かに私は駅伝が大好きですが、理由を問われると、思うように言葉で表現できず、伝えられないことがほとんど。「両親の影響でいつのまにか好きになりました」「一生懸命走る姿に惹かれました」といった感じで、 ざっくりとしか答えられず(もちろん全て本当のことです!)、モヤモヤしていた自分がいました。しかし、この舞台を通して、私が駅伝に惹かれる理由が明確になりました。

台本にこんなセリフがありました。「10区間すべての選手が走り終えない限り、決して完成することがない戦いが箱根駅伝だ。僕の偏頭痛でみんなの夢を終わらせるわけにはいかない」。これは、5区を担当した神童というキャラクターがレース中、偏頭痛に見舞われた時に言ったセリフです。駅伝はチーム戦ではありながら、走っている時は個人戦である不思議なスポーツ。他の選手を追い抜く時にふと現れる気負いや、反対に追い抜かれる時の恐怖、突然のアクシデントへの対応や葛藤などさまざまな感情を1人で抱えなければいけません。

広告の下にコンテンツが続きます

さらに、誰か1人でも途中でレースを止めてしまうと、チームは途中棄権となり、順位はつきません。たった1本の襷を全員でつなぐために、選手たちが任せられた区間をたった一人で戦っていく。一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために競うことが駅伝の真骨頂だと思ったのです。キャストのみなさんは、実際の陸上選手ではありませんが、舞台上で確かに一本の襷をつないでいました。

東海大学の本物の襷(左)と寛政大学の襷

この作品は箱根駅伝を表現するためステージ上で走るシーンが多く組み込まれています。さらに1日2公演ということもあり、日に日にテーピングを脚に巻いている出演者が増えていきます。その姿を間近で見ていて心苦しくなりましたが、キャストのみなさんは一度も弱音を吐かず、舞台上でしっかりと箱根駅伝を体現していました。それこそ、「風が強く吹いている」という襷を千秋楽までつなぐため、皆さんが血眼になって走っていました。その姿を舞台上の最も近くで見ることができ、仲間を信じてただひたすら走り続ける姿こそが駅伝の魅力の一つであり、私が最も惹かれるところだと気付けたのです。

今後、「なぜ、駅伝が好きなんですか?」と質問された時は、「誰一人として欠けてはならない一体感を、直に感じることができるスポーツだからです」と自信を持って答えることができると思います。

走るということは実に単純なスポーツです。しかし、その単純な動作の中にそれぞれ秘めた想いが込められています。粘り強く走り続け、1本の襷をみんなで繋いでいく姿は多くの方の心を動かしていきます。改めて、この作品の舞台に出演することができてとても幸せでした。本来なら昨年上演するはずだったこの舞台。コロナウイルスの影響で延期となりましたが、1年後、無事に上演できたことに感謝しています。この舞台を通し、駅伝の魅力を確信できた満足感でいっぱいです。これからも駅伝というスポーツの楽しさをさまざまな形で発信していけたらと思います!

広告の下にコンテンツが続きます

※Twitterのハッシュタグ「」で感想や質問、コラムの内容など随時募集中!

前回の記事はこちら

※しばらくの間は月1回、最終週木曜日更新となります。

©️Flora
NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ)
1997年8月11日生/O型/長野県出身
特技:クラシックバレエ、歴代の箱根駅伝の優勝校を暗記
趣味:陸上観戦、サッカー観戦
2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で幼い頃から駅伝を好きになる。アイドルとしての活動を続ける中で、自身のSNSを通して陸上競技に関する情報を発信。駅伝関連のメディア出演も多数。

西村菜那子モバイルサイト
●Information
NGT48 6thシングル『Awesome』6月23日発売決定!©︎Flora
西村菜那子も選抜入り!

最新情報はNGT48公式HPまで
『NGT48ゲーム部』(Mildom)レギュラー出演中!/舞台『風が強く吹いている』6月16日~20日./六行会ホール公式HPまで

 

広告の下にコンテンツが続きます

連載40区 「出演舞台で明確になった私が駅伝好きの理由」

ダブルキャストで勝田葉菜子役を演じた千歳ゆうさんと みなさん、こんばんは! 出だしから私の仕事のことで恐縮ですが、舞台「風が強く吹いている」が先日無事に終演致しました。お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました。私もこの座組み(出演者の構成)の一員として、千秋楽まで駆け抜けられたことがとても嬉しく思います。充実した日々を送ることができました。 この作品は箱根駅伝が題材となっていて、駅伝では無名の大学が長距離未経験の部員を10人集め、箱根駅伝を目指してたった1年で出場を果たす物語です。私は陸上部のマネージャーである勝田葉菜子役を演じました。葉菜子は、陸上競技そのものの魅力に惹かれている女の子。私と似ている部分も多くあったため、リラックスして楽しくお芝居をすることができました。陸上関係にお勤めの方も、たくさん会場にお越しくださったみたいで、Twitterなどで投稿された観劇レポートを拝見した時はとても励みになりました。 この舞台には、走法指導として、SGホールディングスグループのコーチである西川雄一朗さんや鈴木塁人選手が参加されています。特に西川さんは稽古場にもたびたび足を運んでくださり、走り方や襷(たすき)の掛け方(実際に東海大学で使用されていた襷をお借りしました)から、正しいアイシング方法に至るまで、丁寧なご指導をしていただきました。 おかげで本番では、箱根駅伝のリアルな一面を舞台上から観客の皆さまにお伝えできたと思います。西川コーチ、鈴木選手に心から感謝申し上げます。約1ヵ月間、本当にありがとうございました。 駅伝が好きなアイドルお仕事をいただくことがあるのですが、その際に必ず聞かれることがあるのです。「なぜ、駅伝が好きなんですか?」と。 確かに私は駅伝が大好きですが、理由を問われると、思うように言葉で表現できず、伝えられないことがほとんど。「両親の影響でいつのまにか好きになりました」「一生懸命走る姿に惹かれました」といった感じで、 ざっくりとしか答えられず(もちろん全て本当のことです!)、モヤモヤしていた自分がいました。しかし、この舞台を通して、私が駅伝に惹かれる理由が明確になりました。 台本にこんなセリフがありました。「10区間すべての選手が走り終えない限り、決して完成することがない戦いが箱根駅伝だ。僕の偏頭痛でみんなの夢を終わらせるわけにはいかない」。これは、5区を担当した神童というキャラクターがレース中、偏頭痛に見舞われた時に言ったセリフです。駅伝はチーム戦ではありながら、走っている時は個人戦である不思議なスポーツ。他の選手を追い抜く時にふと現れる気負いや、反対に追い抜かれる時の恐怖、突然のアクシデントへの対応や葛藤などさまざまな感情を1人で抱えなければいけません。 さらに、誰か1人でも途中でレースを止めてしまうと、チームは途中棄権となり、順位はつきません。たった1本の襷を全員でつなぐために、選手たちが任せられた区間をたった一人で戦っていく。一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために競うことが駅伝の真骨頂だと思ったのです。キャストのみなさんは、実際の陸上選手ではありませんが、舞台上で確かに一本の襷をつないでいました。 東海大学の本物の襷(左)と寛政大学の襷 この作品は箱根駅伝を表現するためステージ上で走るシーンが多く組み込まれています。さらに1日2公演ということもあり、日に日にテーピングを脚に巻いている出演者が増えていきます。その姿を間近で見ていて心苦しくなりましたが、キャストのみなさんは一度も弱音を吐かず、舞台上でしっかりと箱根駅伝を体現していました。それこそ、「風が強く吹いている」という襷を千秋楽までつなぐため、皆さんが血眼になって走っていました。その姿を舞台上の最も近くで見ることができ、仲間を信じてただひたすら走り続ける姿こそが駅伝の魅力の一つであり、私が最も惹かれるところだと気付けたのです。 今後、「なぜ、駅伝が好きなんですか?」と質問された時は、「誰一人として欠けてはならない一体感を、直に感じることができるスポーツだからです」と自信を持って答えることができると思います。 走るということは実に単純なスポーツです。しかし、その単純な動作の中にそれぞれ秘めた想いが込められています。粘り強く走り続け、1本の襷をみんなで繋いでいく姿は多くの方の心を動かしていきます。改めて、この作品の舞台に出演することができてとても幸せでした。本来なら昨年上演するはずだったこの舞台。コロナウイルスの影響で延期となりましたが、1年後、無事に上演できたことに感謝しています。この舞台を通し、駅伝の魅力を確信できた満足感でいっぱいです。これからも駅伝というスポーツの楽しさをさまざまな形で発信していけたらと思います! ※Twitterのハッシュタグ「」で感想や質問、コラムの内容など随時募集中! 前回の記事はこちら ※しばらくの間は月1回、最終週木曜日更新となります。
©️Flora NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ) 1997年8月11日生/O型/長野県出身 特技:クラシックバレエ、歴代の箱根駅伝の優勝校を暗記 趣味:陸上観戦、サッカー観戦 2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で幼い頃から駅伝を好きになる。アイドルとしての活動を続ける中で、自身のSNSを通して陸上競技に関する情報を発信。駅伝関連のメディア出演も多数。 西村菜那子モバイルサイト ●Information NGT48 6thシングル『Awesome』6月23日発売決定!©︎Flora 西村菜那子も選抜入り! 最新情報はNGT48公式HPまで 『NGT48ゲーム部』(Mildom)レギュラー出演中!/舞台『風が強く吹いている』6月16日~20日./六行会ホール公式HPまで
 

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.03.18

中央発條・瀬戸祐希が退部「感謝の気持ちでいっぱい」 競技は続ける意向

3月18日、中央発條はチームのSNSで瀬戸祐希が退部することを発表した。 瀬戸は入社3年目。大阪・興國高から山梨学大に進み、1500mで日本インカレに出場したほか、全日本大学駅伝や箱根駅伝にも出走するなど幅広く活躍した。 […]

NEWS お詫びと訂正(月刊陸上競技2024年4月号)

2024.03.18

お詫びと訂正(月刊陸上競技2024年4月号)

月刊陸上競技2024年4月号の内容に一部誤りがございました。 「Road to HAKONE EKIDEN 2025 2024年度 新主将の意気込み」 P94 城西大 平林樹選手の写真が別の選手のものとなっておりました。 […]

NEWS 【プレゼント】フィット感を追求したランニング・ギア ZAMSTの『プレシオーネ カーフ』/2024年4月号

2024.03.18

【プレゼント】フィット感を追求したランニング・ギア ZAMSTの『プレシオーネ カーフ』/2024年4月号

世界と戦うトップアスリートも愛用するサポート・ケア製品ブランド「ZAMST(ザムスト)」を展開する日本シグマックス株式会社から発売中の足首からふくらはぎをサポートする「プレシオーネ カーフ」が好評だ。 同製品は3D計測デ […]

NEWS セイコーGGP ハードル種目の選手発表 泉谷駿介や村竹ラシッド、豊田兼、寺田明日香らが出場へ

2024.03.18

セイコーGGP ハードル種目の選手発表 泉谷駿介や村竹ラシッド、豊田兼、寺田明日香らが出場へ

日本陸連は3月18日、セイコーゴールデングランプリ2024東京(5月19日/東京・国立競技場)で行われる男子110mハードル、男子400mハードル、女子100mハードルの出場予定選手を発表した。 男子110mハードルは日 […]

NEWS 前田穂南が阪神タイガースのホーム開幕戦始球式に登場! 4月2日に京セラドームで

2024.03.18

前田穂南が阪神タイガースのホーム開幕戦始球式に登場! 4月2日に京セラドームで

3月18日、プロ野球の阪神タイガースは今季のホーム開幕戦(4月2日/京セラドーム大阪)のセレモニーにおいて、パリ五輪女子マラソン代表に内定した前田穂南(天満屋)が始球式を行うことを発表した。 兵庫県尼崎市出身の前田は家族 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年4月号 (3月14日発売)

2024年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 記録年鑑2023
パリ五輪マラソン代表決定

page top