2021.03.22

◇冬季トレーニングでの充実ぶりを語ったケンブリッジ飛鳥(USM提供)
男子短距離のケンブリッジ飛鳥(Nike)がこのほど、報道各社のオンライン取材に応じた。2021年シーズンが開幕を直前に控え、夏の東京五輪への目標や冬季練習を経た近況について語った。
「いい準備ができています」。ケンブリッジの表情は明るかった。冬季練習が順調なことを伺わせ、大舞台をターゲットにシーズンインを心待ちにしているようだった。
コロナ禍で迎えた昨年は、8月下旬の「Athlete Night Games in FUKUI」100mで日本歴代7位タイの10秒03(+1.0)をマーク。2017年6月の日本選手権で出した従来の自己記録10秒08を3年ぶりに0.05秒更新した。10月上旬の日本選手権では優勝した桐生祥秀(日本生命)に100分の1秒差で敗れて2位(10秒28/-0.2)に終わったものの、18年の2位以来となる2年ぶりの表彰台。桐生らタレントがひしめく男子ショートスプリント陣の中で、その健在ぶりを示した。
この冬のトレーニングは「昨年と大きく変えた部分はない」と言うものの、昨シーズンで出た課題の修正に取り組んだ。それが加速を意識した上体の前傾。自己ベストをマークした福井のレースこそ「前傾が長く保てた」が、シーズンを通して「スタートからの起き上がりが早くなることが多かった」と言う。そのため、スタートから「1番うまくスピードに乗れる」30m地点に白いテープを張って、そこまで「身体が起きないように」注意しながら練習を行ったという。
また、10㎏のウエイトベストを着用しながら走るメニューも取り入れた。「筋力アップを図ろうと思って。効果はすごく感じています」とケンブリッジ。さらに、炭水化物の摂取量を減らして体重を昨シーズン中(74kg)とほぼ同じぐらいにキープした。「ちょっと筋肉量が増えたと思います。いい状態をキープしています」と話している。
16年の日本選手権100mを初制覇し、リオ五輪男子4×100mリレーではアンカーとして日本の銀メダル獲得に貢献。だが、18年ジャカルタ・アジア大会100mでは準決勝落ち、19年日本選手権100mは8位に終わった。
そこから、20年シーズンの奮起につながったきっかけの1つに、フィギュアスケートの高橋大輔らを指導している渡部文緒トレーナーとの出会いがある。身体の左右のバランスの改善や上半身と下半身の連動といった課題に取り組んだ。「走りの中での安定感というのは昨年ぐらいからすごく感じています」。
それらをベースにしながら、この冬はさらに積み上げた内容で、充実した日々を送ってきた。「昨年より楽しみは大きいです。ここまでうまくやってきていい状態」と手応えを感じている。
東京・深川三中―東京高―日大という経歴を持つケンブリッジにとって、東京五輪はいわば地元での大舞台となる。100mでは「決勝に残って勝負したい」と目標を語り、4×100mリレーについては「チャンスはあるので、金メダルを目指してみんなとやっていきたい」と意気込んだ。第1段階が五輪参加標準記録(10秒05)突破となる。昨夏、10秒03をマークしたものの、コロナ禍で参加標準記録の対象期間ではなかった。そのため、機会は逃さない。今季初戦について、「確定しているのは出雲陸上(4月11日)で、もしかしたらその前に走るかもしれません」と語った。参加標準記録を突破して、東京五輪の代表選考会となる日本選手権(6月24日~27日/大阪・長居)につなげていく。
今シーズンの目標タイムについては、「設定していません。自分の走りができればタイムもついてくると思います」。ただ、充実した日々を送ってきただけに、昨シーズンよりも高いレベルを意識していることは間違いない。
大きな節目となるシーズンがまもなく到来。ケンブリッジはさらなる飛躍を遂げるつもりだ。
◇冬季トレーニングでの充実ぶりを語ったケンブリッジ飛鳥(USM提供)
男子短距離のケンブリッジ飛鳥(Nike)がこのほど、報道各社のオンライン取材に応じた。2021年シーズンが開幕を直前に控え、夏の東京五輪への目標や冬季練習を経た近況について語った。
「いい準備ができています」。ケンブリッジの表情は明るかった。冬季練習が順調なことを伺わせ、大舞台をターゲットにシーズンインを心待ちにしているようだった。
コロナ禍で迎えた昨年は、8月下旬の「Athlete Night Games in FUKUI」100mで日本歴代7位タイの10秒03(+1.0)をマーク。2017年6月の日本選手権で出した従来の自己記録10秒08を3年ぶりに0.05秒更新した。10月上旬の日本選手権では優勝した桐生祥秀(日本生命)に100分の1秒差で敗れて2位(10秒28/-0.2)に終わったものの、18年の2位以来となる2年ぶりの表彰台。桐生らタレントがひしめく男子ショートスプリント陣の中で、その健在ぶりを示した。
この冬のトレーニングは「昨年と大きく変えた部分はない」と言うものの、昨シーズンで出た課題の修正に取り組んだ。それが加速を意識した上体の前傾。自己ベストをマークした福井のレースこそ「前傾が長く保てた」が、シーズンを通して「スタートからの起き上がりが早くなることが多かった」と言う。そのため、スタートから「1番うまくスピードに乗れる」30m地点に白いテープを張って、そこまで「身体が起きないように」注意しながら練習を行ったという。
また、10㎏のウエイトベストを着用しながら走るメニューも取り入れた。「筋力アップを図ろうと思って。効果はすごく感じています」とケンブリッジ。さらに、炭水化物の摂取量を減らして体重を昨シーズン中(74kg)とほぼ同じぐらいにキープした。「ちょっと筋肉量が増えたと思います。いい状態をキープしています」と話している。
16年の日本選手権100mを初制覇し、リオ五輪男子4×100mリレーではアンカーとして日本の銀メダル獲得に貢献。だが、18年ジャカルタ・アジア大会100mでは準決勝落ち、19年日本選手権100mは8位に終わった。
そこから、20年シーズンの奮起につながったきっかけの1つに、フィギュアスケートの高橋大輔らを指導している渡部文緒トレーナーとの出会いがある。身体の左右のバランスの改善や上半身と下半身の連動といった課題に取り組んだ。「走りの中での安定感というのは昨年ぐらいからすごく感じています」。
それらをベースにしながら、この冬はさらに積み上げた内容で、充実した日々を送ってきた。「昨年より楽しみは大きいです。ここまでうまくやってきていい状態」と手応えを感じている。
東京・深川三中―東京高―日大という経歴を持つケンブリッジにとって、東京五輪はいわば地元での大舞台となる。100mでは「決勝に残って勝負したい」と目標を語り、4×100mリレーについては「チャンスはあるので、金メダルを目指してみんなとやっていきたい」と意気込んだ。第1段階が五輪参加標準記録(10秒05)突破となる。昨夏、10秒03をマークしたものの、コロナ禍で参加標準記録の対象期間ではなかった。そのため、機会は逃さない。今季初戦について、「確定しているのは出雲陸上(4月11日)で、もしかしたらその前に走るかもしれません」と語った。参加標準記録を突破して、東京五輪の代表選考会となる日本選手権(6月24日~27日/大阪・長居)につなげていく。
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