HOME 学生長距離

2025.12.21

箱根駅伝Stories/強さを求める順大・吉岡大翔 どんな区間配置でも「チームのために走るだけ」

箱根駅伝への思いに変化も

11月に入ると、各大学の主力選手が10000mで27分台を多数マーク。ライバルたちの快走は当然耳に入ってくる。だが吉岡自身は、それを過度に意識することはなかった。

「全日本で戦った選手も好タイムを出したことは焦りではなく、逆に自分もそれくらいでは走れるだろうと感じました。タイムはレースが流れれば、ある程度出せますが、自分がなりたいのは“強い選手”です」と強調する。

広告の下にコンテンツが続きます

「MARCH対抗戦で自らレースを作った黒田さん(朝日、青学大4)や溜池さん(一太、中大4)。八王子ロングディスタンスで勝負を挑んでいた野中(恒亨、國學院大3)や岡田(開成、中大2)のように強さが出せる選手になることです」。ライバルの名前だけでなく走りぶりを具体的に挙げ、自身の目標とする。

11月29日の日体大長距離競技会では、終始先頭でレースを展開しながら28分08秒02の自己新。記録以上に、“強さ”を体現する走りで、箱根に向けて好調ぶりを見せた。

3度目の箱根路も出走区間にこだわりはない。「2区なら各校のエースとしっかり戦うことが求められます。自分が主要区間以外ならそれだけチーム状態が良いということ。自分がタイム差をつけられるストロングポイントとなります。どんな区間パターンでも、チームのために走るだけです」と頼もしい。

長野・佐久長聖高3年時に5000mで13分22秒99の高校記録をマーク。今もなお、トラックで世界と戦う意識は強い。

一方で、かつては「通過点」と捉えていた箱根駅伝への思いにも変化が生まれている。

「最終目標にする選手もいますが、今は競技人生を懸けるだけの価値がある大会だと感じています。駅伝は、チームで何かを成し遂げられる幸せなもの。やるからには、適当にこなすようなことはしたくありません」

世界と戦える「強い選手」になるため、今はチームのために全力を尽くす。その先に、さらなる飛躍が待っているはずだ。

将来的にはトラックで世界を目指す吉岡。そのためにも箱根でしっかりと結果を出すつもりだ

文/田中 葵

[caption id="attachment_193838" align="alignnone" width="800"] 11月末に10000mで自己新をマークし、箱根に向けて調子を上げている順大・吉岡大翔[/caption] 新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

安定した走りで牽引

これまでの2年間は、自身が思い描いていた姿とは違っていたかもしれない。だが現在の順大・吉岡大翔(3年)は、確かな自信を取り戻しつつある。 今季は本格的なトラックシーズンが始まる前の3月に、10000mで28分25秒19の自己新をマーク。4月には1500mで3分39秒15で走り、7月の日本選手権にも出場を果たす。 チームとして重要な全日本大学駅伝選考会と、箱根駅伝予選会でも好走。5月の全日本選考会では最終組で、28分22秒04の自己新で6着(日本人2番)。10月の箱根予選会では、1時間2分34秒をマークして力強く牽引した。 「今季はトラックでベストを出せましたし、大事な予選会の2レースもしっかり走ることができました。特に箱根予選会は、チームにとって最も大事なレースで、昨年は失速してしまいましたが、今回は失敗しないレースを意識していたなかで、余力を持ちながらまとめることができたと思います」 一方で、「中身を見ると、大きな故障ではないものの、脚の痛みなどで何度も離脱してしまった点は反省です」とも振り返る。 4月の日本学生個人選手権後には、身体のあちこちに痛みが出て約2週間走れない時期があり、急ピッチで全日本選考会に合わせた。その影響で「練習につながりがなかった」と感じていた。 だからこそ、身体をリセットすることを決断。日本選手権出場後は、予定したトラックレースを取りやめ、もう一度土台作りに着手する。「夏に向けて、じっくり練習する期間を作りたいと思いました。3年目になって、自分の特性や経験則に基づいて、取り組めたと思います」と成長を感じている。 夏合宿も「練習の質が上がりましたし、感覚的な部分ですが、これまで構えてしまっていたポイント練習も、余裕を持って臨めるようになりました。合わせるのは練習ではなく試合だと割り切れたのは大きいです」と割り切れた。 そんな姿に長門俊介駅伝監督も「下級生の頃は期待に応えなきゃいけないけど、思うような走りができず、遠回りしたかもしれません。しかし、競技者としての幅は確実に広がっています。それが輝きを取り戻すための積み上がりとなって、次のフェーズにいくと感じています」と期待を寄せている。

箱根駅伝への思いに変化も

11月に入ると、各大学の主力選手が10000mで27分台を多数マーク。ライバルたちの快走は当然耳に入ってくる。だが吉岡自身は、それを過度に意識することはなかった。 「全日本で戦った選手も好タイムを出したことは焦りではなく、逆に自分もそれくらいでは走れるだろうと感じました。タイムはレースが流れれば、ある程度出せますが、自分がなりたいのは“強い選手”です」と強調する。 「MARCH対抗戦で自らレースを作った黒田さん(朝日、青学大4)や溜池さん(一太、中大4)。八王子ロングディスタンスで勝負を挑んでいた野中(恒亨、國學院大3)や岡田(開成、中大2)のように強さが出せる選手になることです」。ライバルの名前だけでなく走りぶりを具体的に挙げ、自身の目標とする。 11月29日の日体大長距離競技会では、終始先頭でレースを展開しながら28分08秒02の自己新。記録以上に、“強さ”を体現する走りで、箱根に向けて好調ぶりを見せた。 3度目の箱根路も出走区間にこだわりはない。「2区なら各校のエースとしっかり戦うことが求められます。自分が主要区間以外ならそれだけチーム状態が良いということ。自分がタイム差をつけられるストロングポイントとなります。どんな区間パターンでも、チームのために走るだけです」と頼もしい。 長野・佐久長聖高3年時に5000mで13分22秒99の高校記録をマーク。今もなお、トラックで世界と戦う意識は強い。 一方で、かつては「通過点」と捉えていた箱根駅伝への思いにも変化が生まれている。 「最終目標にする選手もいますが、今は競技人生を懸けるだけの価値がある大会だと感じています。駅伝は、チームで何かを成し遂げられる幸せなもの。やるからには、適当にこなすようなことはしたくありません」 世界と戦える「強い選手」になるため、今はチームのために全力を尽くす。その先に、さらなる飛躍が待っているはずだ。 [caption id="attachment_193839" align="alignnone" width="800"] 将来的にはトラックで世界を目指す吉岡。そのためにも箱根でしっかりと結果を出すつもりだ[/caption] 文/田中 葵

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.04.15

世界競歩チーム選手権代表が帰国 マラソン金の勝木隼人「物足りない」ハーフ吉川は「メダル見えるところに来た」

4月12日にブラジルで行われた世界競歩チーム選手権の日本代表が4月15日に帰国し、選手たちが取材に応じた。 男子マラソンで金メダルを獲得した勝木隼人(自衛隊体育学校)。終始、先頭を歩く一人旅のレースに「ロングの練習よりも […]

NEWS 吉田克久氏の退職の会が開催 和歌山北高時代にインターハイ総合優勝、ロンドン五輪代表・九鬼巧らを育成

2026.04.15

吉田克久氏の退職の会が開催 和歌山北高時代にインターハイ総合優勝、ロンドン五輪代表・九鬼巧らを育成

和歌山北高校などで長く指導した吉田克久氏の退職の会が、和歌山市内のホテルで開催された。 吉田氏は大体大を卒業し、和歌山県の教員に。「陸上競技を通して感謝の気持ちを育てる」という信念のもと、生徒一人ひとりと真摯に向き合う指 […]

NEWS 東京世界陸上マラソン金のジェプチルチルが疲労骨折 4月26日のロンドンマラソン欠場

2026.04.15

東京世界陸上マラソン金のジェプチルチルが疲労骨折 4月26日のロンドンマラソン欠場

女子長距離のP.ジェプチルチル(ケニア)が疲労骨折のため4月26日に英国で開催されるロンドンマラソンを欠場することが発表された。 ジェプチルチルは東京五輪、東京世界選手権のマラソンで金メダルを獲得している32歳。ハーフマ […]

NEWS お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年5月号)

2026.04.14

お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年5月号)

月刊陸上競技2026年5月号の内容に一部誤りがございました。 154ページの実業団情報で一部誤りがありました。 広告の下にコンテンツが続きます 正しいデータの情報を掲載するとともに、関係者の皆様にお詫びをし、訂正いたしま […]

NEWS 織田記念に桐生祥秀、山縣亮太、福部真子、﨑山雄太らエントリー!

2026.04.14

織田記念に桐生祥秀、山縣亮太、福部真子、﨑山雄太らエントリー!

日本グランプリシリーズの織田記念のエントリーリストが発表された。 男子100mの招待選手には、昨年9秒99を出した桐生祥秀(日本生命)、9秒95の日本記録保持者で地元出身・山縣亮太(セイコー)が登録。2013年のこの大会 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年5月号 (4月14日発売)

2026年5月号 (4月14日発売)

2026シーズン展望
中距離特集ほか

page top