◇佐賀国民スポーツ大会(10月11~15日/佐賀・SAGAサンライズパーク/SAGAスタジアム)3日目
佐賀国民スポーツ大会の3日目が行われ、少年男子共通走高跳では中谷魁聖(福岡・福岡第一3)が2m25を成功させ、今年8月の福岡インターハイでマークした2m24の高校記録を再び更新した。この記録は今季のU20世界ランキング2位タイとなる。
中谷は決して本調子ではなかった。2週間前に行われた「Yogiboアスレチックスチャレンジカップ2024」に出場し、2m10をクリアできずに記録なしに終わっていた。
高校記録を打ち立てたインターハイ、銅メダル獲得したU20世界選手権といった夏の連戦が影響。帰国後は休んでも疲労が抜けず、動きの悪さから踏み切り足の足首痛を再発するなど「スランプでした」と中谷は話す。
一番近くで見てきた顧問の田之上興造先生も「(今季は国内負け知らずだが)国スポでは負けを覚悟していました。精神的にも肉体的にもドン底でした」というほど状態が悪かった。
この2週間は、学校の先輩たちが経験、蓄積してきた疲労の抜き方、調整の仕方、キレの戻し方などをヒントに過ごし、大会数日前からようやく本来の動きを取り戻しつつあった。とはいえ、急激に復調するわけもなく、2m03、2m06、そして2回目で成功した2m09までは助走が噛み合っていない跳躍が続き、高校記録が出るような雰囲気は皆無だった。
局面を脱したのは2m12の2回目。助走をやり直し、制限時間が刻々と迫る中、中谷はマーカーを無視して中助走でスタート。その跳躍でスムーズな助走を取り戻し、インターハイの時のような流れる助走からの内傾がよみがえった。次の2m15を1回で成功させて優勝を決めると、気持ちも吹っ切れた。
2m19を一発で成功させ、2m22の1回目は失敗したが「助走の感覚が良かったので、次は跳べるという感じがありました」。バーを2m25へあげると、未踏の高さを一発クリアした。
インターハイの時のようなはしゃいだ笑顔やガッツポーズはなく、「うれしかったですけど、とりあえずという感じもありました」。もっともっと上を見ている中谷がいた。
このほか、成年女子やり投はパリ五輪代表の上田百寧(福岡・ゼンリン)61m46で競り勝ち、成年女子5000m競歩では柳井綾音(福岡・立命大)が21分14秒06で制するなど福岡勢が躍動した。
成年の400mハードルでは女子は瀧野未来(京都・立命大)、男子は井之上駿太(京都・法大)の京都勢がアベックV。少年女子B100mハードルは石原南菜(栃木・白鴎大足利高1)が13秒34(±0.0)の大会新、少年男子B110mハードルは後藤大樹(千葉・四街道北中3)が13秒83(+1.6)のU20規格中学最高で競り勝った。
成年少年共通の4×100mリレーでは、女子は静岡が44秒60の大会新、男子は群馬が39秒30でそれぞれ制している。
文/田端慶子
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.10.16
各地区枠数は変わらず 関東10、北海道と北信越が2枠維持 2026年出雲駅伝の出場枠発表
-
2025.10.16
-
2025.10.15
-
2025.10.13
-
2025.10.13
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.10.16
各地区枠数は変わらず 関東10、北海道と北信越が2枠維持 2026年出雲駅伝の出場枠発表
日本学連は10月16日、来年度に行われる第38回出雲全日本大学選抜駅伝(出雲駅伝)の出場枠を発表した。 10月13日に行われた第37回大会の結果で決定した。関東10、北海道2、東北1、北信越2、東海1、関西2、中国四国1 […]
2025.10.16
サニブラウン・アブデル・ハキームがU18・16大会に登場! 18日に中高生対象のトークイベント実施
日本陸連は10月16日、10月17日から開幕するU18・U16大会に東京世界選手権男子100m代表のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が来場し、トークイベントを実施することを発表した。 トークイベントはサニブラウン […]
2025.10.16
中央学大、大東大が上位候補か!? 東海大、順大、立教大、日大は主軸に力 「10枠」懸けた“立川決戦”/箱根駅伝予選会展望
第102回箱根駅伝予選会が、10月18日に東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、国営昭和記念公園にフィニッシュするハーフマラソンのコースで行われる。 気温が上がった前回はタフなレースとなり、今回からはスタート時 […]
2025.10.16
東日本実業団駅伝エントリー発表 GMO・吉田祐也、富士通・塩尻和也、Honda・森凪也、ロジスティード・平林清登ら
来年元日の全日本実業団対抗男子駅伝(ニューイヤー駅伝)の予選会を兼ねた第66回東日本実業団対抗駅伝(11月3日/埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場及び公園内特設周回コース)のエントリーチームと登録選手が10月16日、同 […]
2025.10.16
中学、高校のトップが出場!IH優勝・石原南菜、後藤大樹や中学記録保持者・今村好花、大森蒼以らに注目/U18・16大会
10月17日から19日の3日間、U18・U16陸上大会が三重県伊勢市の三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場で開催される。 U18大会は2025年12月31日時点の16歳、17歳が対象で高校3年生の早生まれと高校2年生、1 […]
Latest Issue
最新号

2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望