HOME 海外、五輪

2024.08.09

21歳の大器が栄冠! 男子200mはテボゴがV 「母が天国から見守ってくれた」/パリ五輪
21歳の大器が栄冠! 男子200mはテボゴがV 「母が天国から見守ってくれた」/パリ五輪

パリ五輪200mで優勝したテボゴ

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)8日目

パリ五輪・陸上競技8日目のイブニングセッションが行われ、男子200mはレツィレ・テボゴ(ボツワナ)が世界歴代5位、アフリカ新記録の19秒46(+0.4)で優勝を果たし、母国に初の金メダルをもたらした。

テボゴは予選から20秒10(-0.1)をマークすると、準決勝では19秒96(-0.2)と全体の1着で通過。決勝は外側の7レーンに入り、優勝を目指すことになった。

その走りはスタートから際立っていた。出足は特筆するほど得意ではないものの最初の10m地点からトップに立ち、東京五輪銀のケネス・ベドナレク(米国)がこれに食らいついてほぼ並んで直線路へ。さらに、100mとの2冠を目指すノア・ライルズ(米国)も3番手から追い上げを開始する。

だが、テボゴは140m付近からじりじりと2人との差は広げ、そのままフィニッシュ。テボゴの後半100mが9秒34だったのに対し、ベドナレク、ライルズはともに後半9秒52と、ラストのスピード差がそのまま結果につながった。

アフリカ南部にあるボツワナで生まれ育ち、幼少期からサッカーや陸上に親しんできた。13歳の頃には100m、200mで全国大会で優勝するまでに成長する。

広告の下にコンテンツが続きます

その名が知られるようになったのは18歳だった2021年。U20世界選手権100mを10秒19(-0.2)を制し、200mでも銀メダルを獲得。翌22年には100m9秒91のU20世界記録を樹立して、“ポスト・ボルト”の呼び声も高くなった。

そして、昨年のブダペスト世界選手権では100m2位、200m3位と2種目でメダルを獲得。タイムも100m9秒88、200m19秒50とライルズなどのトップ選手と肩を並べるまでになった。

テボゴの強さは純粋なスプリント力だけでなく、スピード持久力にある。今年2月には300mで30秒69の世界最高記録をマーク。400mは44秒29がベスト記録だが、本格的に挑戦すれば43秒台入りは確実と言われている。

今大会では史上最高レベルとなった100mで6位に止まったが、より得意とする200mで世界の頂点に立ち、「本当に素晴らしいレースだった。(金メダルは)人生で見たことも夢にも思わなかったこと」と喜びを隠さなかった。

今年5月、シングルマザーとしてテボゴを育ててきた母・セラティワさんが43歳の若さで他界。「悲しみで1ヵ月ほどなにも手がつかなかった。亡くなった実感もなく、自分が走り続ける意味も見失いかけた」という。

それでも周りのチームからの励ましもあり、トレーニングに復帰。母の誕生日である「23・12・1980」を記したスパイクを着用し、爪には母のイニシャルをあしらったネイルを付けて大会に臨んだ。

「亡くなった日付は感情的になるから(スパイクには)書きたくなかった。母とともに走ることは、大きなモチベーション。天国から見守っている母も幸せだと思う」

21歳の若きスプリンターが母ともにその名を五輪の歴史に刻んだ。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)8日目 パリ五輪・陸上競技8日目のイブニングセッションが行われ、男子200mはレツィレ・テボゴ(ボツワナ)が世界歴代5位、アフリカ新記録の19秒46(+0.4)で優勝を果たし、母国に初の金メダルをもたらした。 テボゴは予選から20秒10(-0.1)をマークすると、準決勝では19秒96(-0.2)と全体の1着で通過。決勝は外側の7レーンに入り、優勝を目指すことになった。 その走りはスタートから際立っていた。出足は特筆するほど得意ではないものの最初の10m地点からトップに立ち、東京五輪銀のケネス・ベドナレク(米国)がこれに食らいついてほぼ並んで直線路へ。さらに、100mとの2冠を目指すノア・ライルズ(米国)も3番手から追い上げを開始する。 だが、テボゴは140m付近からじりじりと2人との差は広げ、そのままフィニッシュ。テボゴの後半100mが9秒34だったのに対し、ベドナレク、ライルズはともに後半9秒52と、ラストのスピード差がそのまま結果につながった。 アフリカ南部にあるボツワナで生まれ育ち、幼少期からサッカーや陸上に親しんできた。13歳の頃には100m、200mで全国大会で優勝するまでに成長する。 その名が知られるようになったのは18歳だった2021年。U20世界選手権100mを10秒19(-0.2)を制し、200mでも銀メダルを獲得。翌22年には100m9秒91のU20世界記録を樹立して、“ポスト・ボルト”の呼び声も高くなった。 そして、昨年のブダペスト世界選手権では100m2位、200m3位と2種目でメダルを獲得。タイムも100m9秒88、200m19秒50とライルズなどのトップ選手と肩を並べるまでになった。 テボゴの強さは純粋なスプリント力だけでなく、スピード持久力にある。今年2月には300mで30秒69の世界最高記録をマーク。400mは44秒29がベスト記録だが、本格的に挑戦すれば43秒台入りは確実と言われている。 今大会では史上最高レベルとなった100mで6位に止まったが、より得意とする200mで世界の頂点に立ち、「本当に素晴らしいレースだった。(金メダルは)人生で見たことも夢にも思わなかったこと」と喜びを隠さなかった。 今年5月、シングルマザーとしてテボゴを育ててきた母・セラティワさんが43歳の若さで他界。「悲しみで1ヵ月ほどなにも手がつかなかった。亡くなった実感もなく、自分が走り続ける意味も見失いかけた」という。 それでも周りのチームからの励ましもあり、トレーニングに復帰。母の誕生日である「23・12・1980」を記したスパイクを着用し、爪には母のイニシャルをあしらったネイルを付けて大会に臨んだ。 「亡くなった日付は感情的になるから(スパイクには)書きたくなかった。母とともに走ることは、大きなモチベーション。天国から見守っている母も幸せだと思う」 21歳の若きスプリンターが母ともにその名を五輪の歴史に刻んだ。

【動画】200mはテボゴがV 19秒46で圧勝!

https://youtu.be/nG1o3GsZ4pg?si=-Q2TFr-7k-rLHAAB

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.21

ダイヤモンドリーグ・ラバトに北口榛花と三浦龍司がエントリー!ともに今季シリーズ2戦目

世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第4戦目のラバト大会(モロッコ)のエントリーリストが公開された。日本からは女子やり投の北口榛花(JAL)、男子3000m障害の三浦龍司(SUBARU)が登録している。いずれも […]

NEWS 世界室内選手権走高跳7位のコビェルスキに2年間の資格停止処分 24年欧州選手権の成績取り消し

2025.05.21

世界室内選手権走高跳7位のコビェルスキに2年間の資格停止処分 24年欧州選手権の成績取り消し

5月20日、アスリート・インテグリティー・ユニット(AIU、世界陸連の独立不正監査機関)は、男子走高跳のN.コビェルスキ(ポーランド)に対して、2024年7月23日から2年間の資格停止処分を下したことを発表した。 コビエ […]

NEWS 女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

2025.05.21

女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

日本陸連は5月21日、韓国・クミで行われるアジア選手権の代表選手1名の出場辞退を発表した。 女子200mの君嶋愛梨沙(土木管理総合)が辞退し、「ケガのため」としている。なお、これによる代表選手の入れ替えや追加招集はない。 […]

NEWS 関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

2025.05.21

関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

一般社団法人関東学生陸上競技連盟は2025年度から、箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金を支給する。これまで、トワイライト・ゲームス、関東学生新人、関東学連10000mで贈られてきたが、3月の定例理事会で決定 […]

NEWS コニカミノルタが新ユニフォーム発表!白とブルーで「夜明け」をイメージ 東日本実業団でお披露目

2025.05.21

コニカミノルタが新ユニフォーム発表!白とブルーで「夜明け」をイメージ 東日本実業団でお披露目

コニカミノルタ陸上競技部は5月21日、公式試合で着用するユニフォームをリニューアルすることを発表した。 新デザインのイメージは「夜明け」。白を基調に、同社のコーポレートカラーであるブルーのグラデーションでそれを表現してい […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析