◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)8日目
パリ五輪・陸上競技8日目のイブニングセッションが行われ、男子200mはレツィレ・テボゴ(ボツワナ)が世界歴代5位、アフリカ新記録の19秒46(+0.4)で優勝を果たし、母国に初の金メダルをもたらした。
テボゴは予選から20秒10(-0.1)をマークすると、準決勝では19秒96(-0.2)と全体の1着で通過。決勝は外側の7レーンに入り、優勝を目指すことになった。
その走りはスタートから際立っていた。出足は特筆するほど得意ではないものの最初の10m地点からトップに立ち、東京五輪銀のケネス・ベドナレク(米国)がこれに食らいついてほぼ並んで直線路へ。さらに、100mとの2冠を目指すノア・ライルズ(米国)も3番手から追い上げを開始する。
だが、テボゴは140m付近からじりじりと2人との差は広げ、そのままフィニッシュ。テボゴの後半100mが9秒34だったのに対し、ベドナレク、ライルズはともに後半9秒52と、ラストのスピード差がそのまま結果につながった。
アフリカ南部にあるボツワナで生まれ育ち、幼少期からサッカーや陸上に親しんできた。13歳の頃には100m、200mで全国大会で優勝するまでに成長する。
その名が知られるようになったのは18歳だった2021年。U20世界選手権100mを10秒19(-0.2)を制し、200mでも銀メダルを獲得。翌22年には100m9秒91のU20世界記録を樹立して、“ポスト・ボルト”の呼び声も高くなった。
そして、昨年のブダペスト世界選手権では100m2位、200m3位と2種目でメダルを獲得。タイムも100m9秒88、200m19秒50とライルズなどのトップ選手と肩を並べるまでになった。
テボゴの強さは純粋なスプリント力だけでなく、スピード持久力にある。今年2月には300mで30秒69の世界最高記録をマーク。400mは44秒29がベスト記録だが、本格的に挑戦すれば43秒台入りは確実と言われている。
今大会では史上最高レベルとなった100mで6位に止まったが、より得意とする200mで世界の頂点に立ち、「本当に素晴らしいレースだった。(金メダルは)人生で見たことも夢にも思わなかったこと」と喜びを隠さなかった。
今年5月、シングルマザーとしてテボゴを育ててきた母・セラティワさんが43歳の若さで他界。「悲しみで1ヵ月ほどなにも手がつかなかった。亡くなった実感もなく、自分が走り続ける意味も見失いかけた」という。
それでも周りのチームからの励ましもあり、トレーニングに復帰。母の誕生日である「23・12・1980」を記したスパイクを着用し、爪には母のイニシャルをあしらったネイルを付けて大会に臨んだ。
「亡くなった日付は感情的になるから(スパイクには)書きたくなかった。母とともに走ることは、大きなモチベーション。天国から見守っている母も幸せだと思う」
21歳の若きスプリンターが母ともにその名を五輪の歴史に刻んだ。
【動画】200mはテボゴがV 19秒46で圧勝!
https://youtu.be/nG1o3GsZ4pg?si=-Q2TFr-7k-rLHAABRECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.24
女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン
2025.11.24
七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福
2025.11.24
バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー
-
2025.11.24
-
2025.11.20
-
2025.11.20
-
2025.11.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.24
女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン
11月22日、米国ミズーリ州コロンビアで全米学生クロスカントリー選手権が行われ、女子(6km)はD.レムンゴル(アラバマ大/ケニア)が18分25秒4で連覇を飾った。 レムンゴルはケニア出身の23歳。23年秋にアラバマ大に […]
2025.11.24
七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福
女子七種競技東京世界選手権金メダリストのA.ホール(米国)が婚約を自身のSNSで発表した。お相手はNFL選手でニューヨーク・ジャイアンツ所属のダリアス・スレイトンさん。「初めて出会った場所で、永遠を誓う」というテキストと […]
2025.11.24
バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー
11月23日、世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールド第6戦のアタプエルカ国際クロスがスペイン・アタプエルカで行われ、女子(6.821km)はパリ五輪・東京世界選手権10000m銀メダリストのN.バットクレッティ […]
2025.11.24
円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93
聴覚障害者のスポーツ国際大会、デフリンピックの陸上競技が行われ、男子円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。 64m48の日本記録を持ち、今年の東京世界選手権にも出場した湯上。「理想の展開としては1回目にし […]
2025.11.24
3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝
◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 女子駅伝日本一を懸けた全日本実業団対抗女子駅伝が行われ、「日本代表」 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025