◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)8日目
パリ五輪・陸上競技8日目のイブニングセッションが行われ、男子110mハードル決勝に出場した村竹ラシッド(JAL)は13秒21(-0.1)で5位入賞を果たした。
3年前は東京五輪の代表の座を目前にしながら涙した男が、パリの地で世界を相手に堂々の走りを見せた。
この種目で日本人として初めて決勝に進んだ村竹。会場にその名をコールされて入場する際には腕を突き上げてトラックに足を踏み入れる。五輪のファイナルに進んだのは世界選手権3連覇のグラント・ホロウェイ(米国)、東京五輪金のハンスル・パーチメント(ジャマイカ)などそうそうたるメンバー。その中でも、萎縮することなくスタートラインについた。
号砲が鳴り、スタートから1台目のアプローチ。リード脚をハードルにぶつけてしまったものの、「2台目、3台目で持ち直せたので、大きな影響ではなかった」というように、ほとんどロスなく中盤を迎える。
序盤からホロウェイがリードを奪い先頭を突っ切るなか、混戦となった2番手争い。ダニエル・ロバーツ(米国)やラシード・ブロードベル(ブラジル)と競り合いながら村竹もハードルを越えていく。9台目のハードルでバランスを崩しかけたもののなんとか持ちこたえ、最後は身体を大きく前に投げ出してフィニッシュした。
「ものすごく楽しかったです」
レース後のインタビューで晴れやかに試合を振り返った村竹。
「この舞台で走れたことが楽しかったですし、メダルを取れなかった悔しさ入り交じっています」と、複雑な気持ちをうまく言語化できないなかでも、自身の快挙を噛みしめるように語った。
東京五輪を懸けた21年日本選手権では決勝でフライング失格。涙を流し、しばらくはグラウンドに立てないほどのショックを受けた。
それから3年。大学の先輩でもある泉谷駿介(住友電工)と切磋琢磨しながら、日本の110mハードルのレベルを引き上げ、昨年は泉谷の日本記録と同じ13秒04のタイ記録を樹立。一躍、世界のトップを目指せるところまで成長した。
世界大会の5位は奇しくも昨年のブダペスト世界選手権での泉谷と同じ順位。いずれも日本人初のファイナルでつかみとった順位だ。
今大会で優勝したホロウェイは12秒99。メダルを獲得した2位のロバーツ、3位のブロードベルは13秒09の同タイム。「みんな速くて強かったです」とライバルたちとの力の差も感じたものの、メダルまではわずか0.12秒と決して届かない場所ではないことも分かった。
「こういう舞台を1回経験しただけでも、ものすごい経験値を得られた」
来年は地元・東京で世界選手権が待ち受ける。「メダルを取りたい」。次に目指す場所が明確になったパリ五輪となった。
【動画】村竹ラシッド5位!初のファイナルで快挙!
https://youtu.be/poGb_tRDshk?si=CyYMVXlKOqvKBwBp
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北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)