HOME 国内、日本代表

2024.06.30

福部真子2年ぶりV「絶対に出たい」パリ五輪内定!涙を糧に夢叶える/日本選手権
福部真子2年ぶりV「絶対に出たい」パリ五輪内定!涙を糧に夢叶える/日本選手権

24年日本選手権100mHで2年ぶりの優勝を飾り、パリ五輪代表を決めた福部真子

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目

パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の4日目に行われた女子100mハードルで、福部真子(日本建設工業)が12秒86(-0.2)で2年ぶりに優勝した。準決勝で12秒75(+0.8)を出し、パリ五輪参加標準記録(12秒77)を突破していたため、五輪代表に内定した。

「しっかり1番が取れて内定をいただけたので、パリに向けて気が引き締まる思いです」

広告の下にコンテンツが続きます

決勝前日は「全然寝られなかったです」。1年前の日本選手権。ブダペスト世界選手権の参加標準記録を突破しながらも4位に敗れて世界選手権を逃した。「そのトラウマも正直ありました」。ただ、福部は打ち勝った。

トラックに立った時には「スタートだけに集中して、あとは回っていくものを止めない。それだけを唱えていました」。雨が降るなか、加速で他を一歩リードする。田中佑美(富士通)が猛追するなか、上体を突き出し、制した。

「決勝の動きが一番悪かったですが、アベレージとして12秒8を出せたのは良かったです」

広告の下にコンテンツが続きます

インターハイ3連覇を果たした稀代のハードラー。何度も引退を考えながら、逆境をはね除けてそのたびに舞台に戻ってきた。コロナ禍を経て、地元・広島へ帰り、競技を続けると決めた時に「パリ五輪」と明確に定め、覚悟を決めた。

22年にはオレゴン世界選手権の舞台に立ち、日本記録を2度更新。だが、12秒73の『日本記録保持者』という称号は、あれだけ苦しんだ『インターハイ3連覇』の重圧よりも大きかった。

「急に日本代表になって、急に日本記録保持者になった。自分のキャリアの中で一気に押し寄せてきたんです」

参加標準記録を切り、世界と戦うことを目指すなかで、ワールドランキングのポイントを獲得しなければいけないという葛藤もあった。それでも「参加標準記録」にこだわり続け、この大一番で達成した。

昨年の出来事を「失敗と思えずにいられる」。この1年、「ダメな時にこそ気づけることがあり、ものすごく財産になりました」。スタート前によぎったのは「去年、一緒に悔し涙を流してくれた人たちと喜びを分かち合いたい」という思いだった。

「オリンピックは夢の舞台。人生で一度でいいから絶対に出たいと思ってやってきました」

ブダペスト世界選手権を逃した後に、欧州転戦した際に「下見」でパリを訪れた。支えてくれたたくさんの人たちの応援を背に、約束の地に飛ぶためのチケットを自らつかみとった。

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目 パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の4日目に行われた女子100mハードルで、福部真子(日本建設工業)が12秒86(-0.2)で2年ぶりに優勝した。準決勝で12秒75(+0.8)を出し、パリ五輪参加標準記録(12秒77)を突破していたため、五輪代表に内定した。 「しっかり1番が取れて内定をいただけたので、パリに向けて気が引き締まる思いです」 決勝前日は「全然寝られなかったです」。1年前の日本選手権。ブダペスト世界選手権の参加標準記録を突破しながらも4位に敗れて世界選手権を逃した。「そのトラウマも正直ありました」。ただ、福部は打ち勝った。 トラックに立った時には「スタートだけに集中して、あとは回っていくものを止めない。それだけを唱えていました」。雨が降るなか、加速で他を一歩リードする。田中佑美(富士通)が猛追するなか、上体を突き出し、制した。 「決勝の動きが一番悪かったですが、アベレージとして12秒8を出せたのは良かったです」 インターハイ3連覇を果たした稀代のハードラー。何度も引退を考えながら、逆境をはね除けてそのたびに舞台に戻ってきた。コロナ禍を経て、地元・広島へ帰り、競技を続けると決めた時に「パリ五輪」と明確に定め、覚悟を決めた。 22年にはオレゴン世界選手権の舞台に立ち、日本記録を2度更新。だが、12秒73の『日本記録保持者』という称号は、あれだけ苦しんだ『インターハイ3連覇』の重圧よりも大きかった。 「急に日本代表になって、急に日本記録保持者になった。自分のキャリアの中で一気に押し寄せてきたんです」 参加標準記録を切り、世界と戦うことを目指すなかで、ワールドランキングのポイントを獲得しなければいけないという葛藤もあった。それでも「参加標準記録」にこだわり続け、この大一番で達成した。 昨年の出来事を「失敗と思えずにいられる」。この1年、「ダメな時にこそ気づけることがあり、ものすごく財産になりました」。スタート前によぎったのは「去年、一緒に悔し涙を流してくれた人たちと喜びを分かち合いたい」という思いだった。 「オリンピックは夢の舞台。人生で一度でいいから絶対に出たいと思ってやってきました」 ブダペスト世界選手権を逃した後に、欧州転戦した際に「下見」でパリを訪れた。支えてくれたたくさんの人たちの応援を背に、約束の地に飛ぶためのチケットを自らつかみとった。

【動画】福部真子が涙のパリ五輪内定! 女子100mHのレースをチェック!

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.14

マラソン・佐藤早也伽が前回上回る13位「前よりはいい順位、タイムなのでプラス」安藤は28位/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のモーニングセッションが行われ、女子マラソンに出場した佐藤早也伽(積水化学)が2時間31分15秒の13位でフィニッシュした。 「後半勝負。(野口英 […]

NEWS 小林香菜 “走り慣れた”コースで7位入賞「絶対コテンパンにされると思っていた。練習を信じて頑張った」/東京世界陸上

2025.09.14

小林香菜 “走り慣れた”コースで7位入賞「絶対コテンパンにされると思っていた。練習を信じて頑張った」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のモーニングセッションが行われ、女子マラソンの小林香菜(大塚製薬)が2時間28分50秒で7位に入り、日本勢としては2019年ドーハ大会の谷本観月( […]

NEWS 女子マラソン7位入賞・小林香菜がロス五輪MGC出場権獲得 8位入賞の条件満たす/東京世界陸上

2025.09.14

女子マラソン7位入賞・小林香菜がロス五輪MGC出場権獲得 8位入賞の条件満たす/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のモーニングセッションで行われた女子マラソンで、小林香菜(大塚製薬)が7位入賞を果たし、2027年秋に予定される28年ロサンゼルス五輪代表を懸けた […]

NEWS 1500m・飯澤千翔は予選13着 日本勢9大会ぶりの舞台「総合的な走力を上げないと」/東京世界陸上

2025.09.14

1500m・飯澤千翔は予選13着 日本勢9大会ぶりの舞台「総合的な走力を上げないと」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のモーニングセッションが行われ、男子1500m予選1組で飯澤千翔(住友電工)は3分41秒76の13着だった。 2007年大阪大会の小林史和(NTN […]

NEWS 1500m・インゲブリグトセンがまさかの予選落ち 今季故障で屋外シーズンに出場せず/東京世界陸上

2025.09.14

1500m・インゲブリグトセンがまさかの予選落ち 今季故障で屋外シーズンに出場せず/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のモーニングセッションが行われ、男子1500m予選で21年東京五輪覇者のヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)が4組に出場。3分37秒84で4組 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top