HOME 国内、大学

2024.06.29

100mH小林歩未「もう少し戻ってきたと表現したかった」米国留学、今年6年ぶりに自己新/日本選手権
100mH小林歩未「もう少し戻ってきたと表現したかった」米国留学、今年6年ぶりに自己新/日本選手権

24年日本選手権女子100mHに出場した小林歩未

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目

パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の3日目に行われた女子100mハードル予選に、小林歩未(テキサス大サンアントニオ校)が出場。スタートで失敗し、14秒01(+0.6)の組8着に終わり悔しさをにじませた。

3年ぶりに大舞台に戻ってきた。「スタートを失敗しすぎて…。ここでか、と思いました。もう少し戻ってきたと表現したかったですが」と唇を噛んだ。

広告の下にコンテンツが続きます

市船橋高(千葉)時代のインターハイで13秒34の高校記録を樹立した小林。日本陸連ダイヤモンドアスリートにも選出された。高校卒業後は筑波大に進んで、2019年の日本インカレ3位。その後、米国陸上留学サポートを活用して2022年12月にテキサス大サンアントニオ校の編入試験に合格した。

今年は全米学生選手権出場を懸けた西部地区予選に出場し、6年ぶり自己新となる13秒33(+1.0)をマーク。日本選手権は3年ぶりの出場だった。

ここまでの挑戦について「コーチもそうですが、ずっと誇りに思うよと言ってくれていました」。ただ、「それは自分ではなかなか気がつけない」。

高校記録を出してから、周囲の期待と自分の立ち位置やマインドのギャップに苦しんだ。楽しんで、成長して、結果を出しただけだった自分に、想像以上の重圧がかかった。受け止めきれなかった。

高校卒業は「考えすぎて、ほとんどネガティブなことばかりでした」。留学後も、自分の選択が本当に正しかったのか自問自答の日々。それでも、「ポジティブな言葉をかけ続けてくれて、やっと落とし込むことができるようになってきました」。

ただ、久しぶりの国内レースに「すごく緊張もしました」。どうしても周囲の声や目線も気にしてしまった。それがほんの少し、スタートにも影響したのかもしれない。ただ、「もう終わったこと。日本選手権は終わり」と切り替えられるようにもなった。

今年度で大学は修了。「帰国するか、向こうで続けるか。大学院も考えていますし、まだ走り続けたい。今年は通過点。来年は3本走れるように。世界に行けるように」。

これがおそらく「UTSA(テキサス大サンアントニオ校)のユニフォームを着るのが最後なんです」。時折、目に涙を浮かべ、「泣き虫は変わらないですね」とはにかんだ。

「ちょっと時間はかかったけど」と言う小林が、自らの未来を切り開き、歩んできた道は、これからの自分、そしてこれからに続く後輩たちにつながっていく。

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目 パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の3日目に行われた女子100mハードル予選に、小林歩未(テキサス大サンアントニオ校)が出場。スタートで失敗し、14秒01(+0.6)の組8着に終わり悔しさをにじませた。 3年ぶりに大舞台に戻ってきた。「スタートを失敗しすぎて…。ここでか、と思いました。もう少し戻ってきたと表現したかったですが」と唇を噛んだ。 市船橋高(千葉)時代のインターハイで13秒34の高校記録を樹立した小林。日本陸連ダイヤモンドアスリートにも選出された。高校卒業後は筑波大に進んで、2019年の日本インカレ3位。その後、米国陸上留学サポートを活用して2022年12月にテキサス大サンアントニオ校の編入試験に合格した。 今年は全米学生選手権出場を懸けた西部地区予選に出場し、6年ぶり自己新となる13秒33(+1.0)をマーク。日本選手権は3年ぶりの出場だった。 ここまでの挑戦について「コーチもそうですが、ずっと誇りに思うよと言ってくれていました」。ただ、「それは自分ではなかなか気がつけない」。 高校記録を出してから、周囲の期待と自分の立ち位置やマインドのギャップに苦しんだ。楽しんで、成長して、結果を出しただけだった自分に、想像以上の重圧がかかった。受け止めきれなかった。 高校卒業は「考えすぎて、ほとんどネガティブなことばかりでした」。留学後も、自分の選択が本当に正しかったのか自問自答の日々。それでも、「ポジティブな言葉をかけ続けてくれて、やっと落とし込むことができるようになってきました」。 ただ、久しぶりの国内レースに「すごく緊張もしました」。どうしても周囲の声や目線も気にしてしまった。それがほんの少し、スタートにも影響したのかもしれない。ただ、「もう終わったこと。日本選手権は終わり」と切り替えられるようにもなった。 今年度で大学は修了。「帰国するか、向こうで続けるか。大学院も考えていますし、まだ走り続けたい。今年は通過点。来年は3本走れるように。世界に行けるように」。 これがおそらく「UTSA(テキサス大サンアントニオ校)のユニフォームを着るのが最後なんです」。時折、目に涙を浮かべ、「泣き虫は変わらないですね」とはにかんだ。 「ちょっと時間はかかったけど」と言う小林が、自らの未来を切り開き、歩んできた道は、これからの自分、そしてこれからに続く後輩たちにつながっていく。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.18

駒大4年生4本柱は主要区間を熱望! 主将・山川拓馬「エース区間に挑みたい」 佐藤圭汰「しっかり走って恩返しを」

第102回箱根駅伝で3年ぶりの総合優勝を狙う駒大が12月18日、オンラインで合同会見を行い、エントリー選手が出席した。 今季の駒大は4年生の4人が強力。それぞれ希望区間を問われると、主将の山川拓馬は2区と5区、伊藤蒼唯は […]

NEWS 箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

2025.12.18

箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

前回優勝メンバーから6人が卒業 前回、10時間41分19秒の大会新記録で連覇を飾ったメンバーから6人が卒業。それも4区で歴代2位の好タイムをマークした太田蒼生(現・GMOインターネットグループ)に5、6区連続区間新で、「 […]

NEWS 横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

2025.12.18

横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

鳥取・由良育英高(現・鳥取中央育英高)の陸上部顧問として、インターハイで2度の総合優勝に導き、高校駅伝でも全国大会で2度の準優勝を果たした横山隆義氏が、12月15日、肺炎のため亡くなった。81歳だった。 横山氏は1944 […]

NEWS 26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

2025.12.18

26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

アジア陸連は11月に理事会を開催し、2026年7月9日から12日の日程で、第1回U23アジア選手権を中国・オルドスで開催することを発表した。 陸上競技では、U18やU20など年齢別の競技会が実施されており、U20カテゴリ […]

NEWS 中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

2025.12.18

中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

第102回箱根駅伝で30年ぶりとなる総合優勝を狙う中大が12月18日、東京・八王子市の多摩キャンパスで合同取材を開いた。 主将の吉居駿恭(4年)は「昨年の11月中旬くらいに(総合優勝の)目標を立てました。昨年の全日本の結 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top