HOME 駅伝

2024.01.22

長野 無敵の3連覇!「『優勝を目指す』という共通認識があるから力を発揮できる」/都道府県男子駅伝
長野 無敵の3連覇!「『優勝を目指す』という共通認識があるから力を発揮できる」/都道府県男子駅伝

2024年都道府県男子駅伝で優勝した長野チーム

◇第29回全国都道府県男子駅伝(1月21日/広島・平和記念公園前発着:7区間48km)

天皇杯第29回全国都道府県対抗男子駅伝が1月21日、広島市の平和記念公園前を発着点とする7区間48kmで行われ、長野県が2時間17分00秒の大会新記録でフィニッシュテープを切った。

第9回大会の初優勝から20年で、通算10回目の栄冠。優勝を逃した年も7回は入賞に食い込んでおり、47都道府県の中でも圧倒的な力を見せ続けている。

毎年メンバーが変わるこの大会で、なぜ長野県チームは結果を残せているのか。アンカーを担った鈴木芽吹(駒大)の言葉から、その一端が垣間見えた。

「優勝は狙っていましたが、“連覇”には目を向けたくなかったです。チームもメンバーも毎年変わりますから、このチーム、仲間と優勝したいという気持ちでした」と一期一会のチームの中で、全力を出すことに注力していたと話す。その中で、経験の少ない中学生には、そのプレッシャーを感じてほしくないという思いから「別に失敗しても、高校生や僕たちが取り返すから、思い切って、楽しんで走っておいで」と声をかけた。

だからこそ、優勝が確実視できる48秒差でタスキを受けても、気を緩めず1kmを2分40秒で突っ込んだ。「絶好調だった箱根駅伝の7割程度の調子でした。中間地点までは良かったのですが、風もあって後半はきつくなって、なんとか前半の貯金で区間新が出せた感じです」と、内容には課題が残ったが、記録は大島健太(高知)が第9回大会に記録した区間記録を20大会ぶりに17秒も更新するもの。目の当たりにした中高生らは、「自分たちもこうなりたい」と一層志高くなったに違いない。

そして、12月の全国高校駅伝を大会新記録で制した佐久長聖高のメンバーが、“日本一”の称号に見合う力強い走りを見せたのも見事だった。

1区の濵口大和(佐久長聖高)は確実にトップ争いに加わり、区間4位の好発信。佐久長聖高の主将・永原颯磨は、4区で区間記録にあと1秒に迫る14分03秒の快走で先頭に立ち、4区の区間記録を保持する山口竣平(佐久長聖高)は、今年は高校生最長区間の5区を担い、24分47秒の区間賞に輝いた。

高見澤勝監督は「ただ走ればいいとか、代表になれればいいという思いでは結果は出ないと思いますが、長野県チームのメンバーには『優勝を目指す』という共通認識がある。だからこそ、力が発揮できるんじゃないかと思います。これは私が監督になった10年前よりもっと前からあった雰囲気です。関わってこられた監督や指導者の方々のご尽力やきっかけが伝統となって、今の長野県チームを作っていると思います」と、長年かけて紡いできた伝統の力に、10回目の優勝を感謝した。

文/田端慶子

◇第29回全国都道府県男子駅伝(1月21日/広島・平和記念公園前発着:7区間48km) 天皇杯第29回全国都道府県対抗男子駅伝が1月21日、広島市の平和記念公園前を発着点とする7区間48kmで行われ、長野県が2時間17分00秒の大会新記録でフィニッシュテープを切った。 第9回大会の初優勝から20年で、通算10回目の栄冠。優勝を逃した年も7回は入賞に食い込んでおり、47都道府県の中でも圧倒的な力を見せ続けている。 毎年メンバーが変わるこの大会で、なぜ長野県チームは結果を残せているのか。アンカーを担った鈴木芽吹(駒大)の言葉から、その一端が垣間見えた。 「優勝は狙っていましたが、“連覇”には目を向けたくなかったです。チームもメンバーも毎年変わりますから、このチーム、仲間と優勝したいという気持ちでした」と一期一会のチームの中で、全力を出すことに注力していたと話す。その中で、経験の少ない中学生には、そのプレッシャーを感じてほしくないという思いから「別に失敗しても、高校生や僕たちが取り返すから、思い切って、楽しんで走っておいで」と声をかけた。 だからこそ、優勝が確実視できる48秒差でタスキを受けても、気を緩めず1kmを2分40秒で突っ込んだ。「絶好調だった箱根駅伝の7割程度の調子でした。中間地点までは良かったのですが、風もあって後半はきつくなって、なんとか前半の貯金で区間新が出せた感じです」と、内容には課題が残ったが、記録は大島健太(高知)が第9回大会に記録した区間記録を20大会ぶりに17秒も更新するもの。目の当たりにした中高生らは、「自分たちもこうなりたい」と一層志高くなったに違いない。 そして、12月の全国高校駅伝を大会新記録で制した佐久長聖高のメンバーが、“日本一”の称号に見合う力強い走りを見せたのも見事だった。 1区の濵口大和(佐久長聖高)は確実にトップ争いに加わり、区間4位の好発信。佐久長聖高の主将・永原颯磨は、4区で区間記録にあと1秒に迫る14分03秒の快走で先頭に立ち、4区の区間記録を保持する山口竣平(佐久長聖高)は、今年は高校生最長区間の5区を担い、24分47秒の区間賞に輝いた。 高見澤勝監督は「ただ走ればいいとか、代表になれればいいという思いでは結果は出ないと思いますが、長野県チームのメンバーには『優勝を目指す』という共通認識がある。だからこそ、力が発揮できるんじゃないかと思います。これは私が監督になった10年前よりもっと前からあった雰囲気です。関わってこられた監督や指導者の方々のご尽力やきっかけが伝統となって、今の長野県チームを作っていると思います」と、長年かけて紡いできた伝統の力に、10回目の優勝を感謝した。 文/田端慶子

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.07.27

女子競歩の岡田久美子は調整順調「メダルを狙える位置。新たな挑戦でワクワクしている」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 2016年リオ、21年東京に続く3大会連続の五輪代表となる女子競歩の岡田久美子(富士通)は「いよいよだなという気 […]

NEWS 女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

2024.07.27

女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 女子走幅跳に出場する秦澄美鈴(住友電工)は「緊張しています」と言いながらも「シーズン初めに比べて調子が上がってい […]

NEWS 混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

2024.07.27

混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 男女混合競歩リレー代表の川野将虎(旭化成)は前回の東京大会に続くオリンピック。「前回から3年間。一つの集大成」と […]

NEWS 北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

2024.07.27

北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

100年ぶりにフランス・パリを舞台に五輪が開幕した。陸上競技は8月1日から11日までの日程で行われる。開幕に合わせて日本オリンピック委員会(JOC)は日本代表の意気込みコメントを発表した。 2大会連続出場で女子主将を務め […]

NEWS 中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

2024.07.27

中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

7月26日、中大多摩キャンパス競技場で「Summer Night Run Festival in CHUO」が行われ、男子3000mで岡田開成(中大1)が7分55秒41とU20歴代4位のタイムをマークした。 同大会はこれ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年8月号 (7月12日発売)

2024年8月号 (7月12日発売)

W別冊付録
パリ五輪観戦ガイド&福岡インターハイ完全ガイド

page top