◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)
第100回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われた。独特な緊張感がある難しい戦いだが、前回トップで4年ぶりに本戦出場を決めた大東大が、今年も10時間33分39秒で2年連続となる1位通過を果たした。
就任2年目の真名子圭監督が「まずはホッとしています」と語ったように、実は予期せぬアクシデントがチームを襲っていた。
前回個人5位で、ハーフマラソンでは1時間2分02秒のタイムを持つ留学生のピーター・ワンジル(3年)が右大腿部を痛め、10km過ぎでチーム12番手に後退。足を引きずっていた残り1km付近で途中棄権を余儀なくされた。
しかし、他の選手たちはそうした窮地をものともしなかった。
7月に10000mで28分25秒33をマークし、23年ぶりに大東大記録を更新した西川千青(3年)は、「日本人トップを狙っていた」と序盤から積極的な走りを見せ、1時間2分19秒で15位。関東学生連合で出場した前々回を含め、チームで唯一、2度の箱根経験があるエースの久保田轍(4年)が1時間2分23秒(16位)で続き、「集団走で行く予定でしたが、身体が動いたので単独走で行くと、設定より約1分速くゴールできました」と語った菊地駿介(4年)が1時間2分28秒で23位に入った。その後もチーム8番手までが1時間3分台でまとめ、「ピーターに頼らない」という日本人選手たちの気概と、この1年で積み上げてきた総合力の高さを示した。
「みんなの中で存在が大きかったピーターがずるずる落ちてきた。それを見て焦りもあったと思いますが、それを乗り越えてしっかり走り切ってくれたというのは、日本人選手たちの成長を感じました」(真名子監督)
レース後の結果発表で、「1位、大東文化大学」とコールされた際、一部の選手は多少驚きの表情を浮かべてはいたものの、昨年のように喜びを爆発させたり、まして涙を流したりする者は1人もいなかった。
それは主将の松村晴生(4年)が「今年の予選会の目標が、去年を超えることでした。内容も結果も満足できていますが、満足し過ぎてはいけません。自分たちが目指すべきは箱根駅伝」と言うように、チーム内に「予選会突破はあくまでも通過点」という共通理解があったからに他ならない。
予選会通過を最大の目標に掲げた昨年度は、本戦で16位に終わり、言いようのない悔しさを味わった。第100回箱根駅伝は、大東大にとっても創立100周年という節目の年。「シード権獲得に向けて、もう一回チームを仕切り直していきたい」(松村)と、52回目の出場となる本戦で9年ぶりのシード権獲得を目指す。
文/小野哲史
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.08.25
34年ぶり東京世界陸上 注目の男子100m3枠、9秒台再びの桐生祥秀らが代表入りへ
-
2025.08.24
-
2025.08.24
-
2025.08.24
2025.08.19
15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会
-
2025.08.24
2025.08.16
100mH・福部真子12秒73!!ついに東京世界選手権参加標準を突破/福井ナイトゲームズ
-
2025.08.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.25
Onの「On Flagship Store Tokyo Ginza」が9月12日にオープン!原宿では期間限定スペース「On Labs Tokyo」を開催
スイスのスポーツブランド「On (オン) 」およびオン・ジャパンは9月12日、東京・銀座に旗艦店の「On Flagship Store Tokyo Ginza」をオープンする。翌9月13日 から9日間、東京・原宿にて期間 […]
2025.08.25
34年ぶり東京世界陸上 注目の男子100m3枠、9秒台再びの桐生祥秀らが代表入りへ
今年9月、34年ぶりに東京で開かれる世界選手権の出場資格獲得のための記録の有効期間が8月24日で終了した。 世界選手権の各種目の代表枠は最大3名。最後まで注目を集めたのが男子100mだった。7月の日本選手権時点で、内定条 […]
2025.08.24
栁田大輝 最後の最後まで挑戦も100m代表逃す「無理をしなくて良かったと思える日が絶対に来る」
東京世界選手権出場のための記録の有効期間最終日となる8月24日、奈良市サーキットの男子100mに栁田大輝(東洋大)が出場した。 土壇場での大逆転を狙い、日本記録(9秒95)を目指した栁田。午前中の第一レースを10秒11( […]
2025.08.24
ドキュメント/今年も歴史が刻まれた福井の夜に熱狂!東京世界陸上前に過去最大規模の“お祭り”が夏を彩る
2019年に産声を上げたAthlete Night Games in FUKUIは、今年で6回目を迎えた。17年に行われた日本インカレの男子100mで、桐生祥秀(東洋大、現・日本生命)が日本初の9秒台を刻んだ時の感動から […]
2025.08.24
100mH清山ちさと 34歳自己新連発 ラストチャンスは惜しくも標準届かず世界陸上代表ならず
東京世界選手権出場のための記録の有効期間最終日となる8月24日、九州選手権が大分スポーツ公園クラサスドーム大分で行われ、女子100mハードルに清山ちさと(いちご)が出場した。 東京世界選手権の参加標準記録(12秒73)を […]
Latest Issue
最新号

2025年9月号 (8月12日発売)
衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99