HOME 駅伝、箱根駅伝

2023.10.15

大東大が見せた総合力「予選会突破はあくまでも通過点」大黒柱のアクシデントをものともせず/箱根駅伝
大東大が見せた総合力「予選会突破はあくまでも通過点」大黒柱のアクシデントをものともせず/箱根駅伝

23年箱根駅伝予選会で2年連続のトップ通過を決めた大東大

◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

第100回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われた。独特な緊張感がある難しい戦いだが、前回トップで4年ぶりに本戦出場を決めた大東大が、今年も10時間33分39秒で2年連続となる1位通過を果たした。

広告の下にコンテンツが続きます

就任2年目の真名子圭監督が「まずはホッとしています」と語ったように、実は予期せぬアクシデントがチームを襲っていた。

前回個人5位で、ハーフマラソンでは1時間2分02秒のタイムを持つ留学生のピーター・ワンジル(3年)が右大腿部を痛め、10km過ぎでチーム12番手に後退。足を引きずっていた残り1km付近で途中棄権を余儀なくされた。

しかし、他の選手たちはそうした窮地をものともしなかった。

7月に10000mで28分25秒33をマークし、23年ぶりに大東大記録を更新した西川千青(3年)は、「日本人トップを狙っていた」と序盤から積極的な走りを見せ、1時間2分19秒で15位。関東学生連合で出場した前々回を含め、チームで唯一、2度の箱根経験があるエースの久保田轍(4年)が1時間2分23秒(16位)で続き、「集団走で行く予定でしたが、身体が動いたので単独走で行くと、設定より約1分速くゴールできました」と語った菊地駿介(4年)が1時間2分28秒で23位に入った。その後もチーム8番手までが1時間3分台でまとめ、「ピーターに頼らない」という日本人選手たちの気概と、この1年で積み上げてきた総合力の高さを示した。

広告の下にコンテンツが続きます

「みんなの中で存在が大きかったピーターがずるずる落ちてきた。それを見て焦りもあったと思いますが、それを乗り越えてしっかり走り切ってくれたというのは、日本人選手たちの成長を感じました」(真名子監督)

レース後の結果発表で、「1位、大東文化大学」とコールされた際、一部の選手は多少驚きの表情を浮かべてはいたものの、昨年のように喜びを爆発させたり、まして涙を流したりする者は1人もいなかった。

それは主将の松村晴生(4年)が「今年の予選会の目標が、去年を超えることでした。内容も結果も満足できていますが、満足し過ぎてはいけません。自分たちが目指すべきは箱根駅伝」と言うように、チーム内に「予選会突破はあくまでも通過点」という共通理解があったからに他ならない。

予選会通過を最大の目標に掲げた昨年度は、本戦で16位に終わり、言いようのない悔しさを味わった。第100回箱根駅伝は、大東大にとっても創立100周年という節目の年。「シード権獲得に向けて、もう一回チームを仕切り直していきたい」(松村)と、52回目の出場となる本戦で9年ぶりのシード権獲得を目指す。

広告の下にコンテンツが続きます

文/小野哲史

◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 第100回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われた。独特な緊張感がある難しい戦いだが、前回トップで4年ぶりに本戦出場を決めた大東大が、今年も10時間33分39秒で2年連続となる1位通過を果たした。 就任2年目の真名子圭監督が「まずはホッとしています」と語ったように、実は予期せぬアクシデントがチームを襲っていた。 前回個人5位で、ハーフマラソンでは1時間2分02秒のタイムを持つ留学生のピーター・ワンジル(3年)が右大腿部を痛め、10km過ぎでチーム12番手に後退。足を引きずっていた残り1km付近で途中棄権を余儀なくされた。 しかし、他の選手たちはそうした窮地をものともしなかった。 7月に10000mで28分25秒33をマークし、23年ぶりに大東大記録を更新した西川千青(3年)は、「日本人トップを狙っていた」と序盤から積極的な走りを見せ、1時間2分19秒で15位。関東学生連合で出場した前々回を含め、チームで唯一、2度の箱根経験があるエースの久保田轍(4年)が1時間2分23秒(16位)で続き、「集団走で行く予定でしたが、身体が動いたので単独走で行くと、設定より約1分速くゴールできました」と語った菊地駿介(4年)が1時間2分28秒で23位に入った。その後もチーム8番手までが1時間3分台でまとめ、「ピーターに頼らない」という日本人選手たちの気概と、この1年で積み上げてきた総合力の高さを示した。 「みんなの中で存在が大きかったピーターがずるずる落ちてきた。それを見て焦りもあったと思いますが、それを乗り越えてしっかり走り切ってくれたというのは、日本人選手たちの成長を感じました」(真名子監督) レース後の結果発表で、「1位、大東文化大学」とコールされた際、一部の選手は多少驚きの表情を浮かべてはいたものの、昨年のように喜びを爆発させたり、まして涙を流したりする者は1人もいなかった。 それは主将の松村晴生(4年)が「今年の予選会の目標が、去年を超えることでした。内容も結果も満足できていますが、満足し過ぎてはいけません。自分たちが目指すべきは箱根駅伝」と言うように、チーム内に「予選会突破はあくまでも通過点」という共通理解があったからに他ならない。 予選会通過を最大の目標に掲げた昨年度は、本戦で16位に終わり、言いようのない悔しさを味わった。第100回箱根駅伝は、大東大にとっても創立100周年という節目の年。「シード権獲得に向けて、もう一回チームを仕切り直していきたい」(松村)と、52回目の出場となる本戦で9年ぶりのシード権獲得を目指す。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.03

パリ五輪へ!日本選手権10000m、今日静岡で号砲 男子は塩尻、太田、相澤の三つ巴か

◇第108回日本選手権10000m(5月3日/小笠山総合運動公園静岡スタジアム) パリ五輪代表選考会となる第108回日本選手権10000mが5月3日に静岡・エコパで行われる。日本GPシリーズの静岡国際の後に開催となるのは […]

NEWS 関西インカレに五輪代表・柳井綾音が10000m競歩にエントリー! 藏重みうは100m、200mの2種目登録 男子走高跳・山中駿、女子400mH山本亜美も出場

2024.05.02

関西インカレに五輪代表・柳井綾音が10000m競歩にエントリー! 藏重みうは100m、200mの2種目登録 男子走高跳・山中駿、女子400mH山本亜美も出場

関西学連は5月2日、第101回関西インカレ(T&Fの部/5月22日~25日)のエントリーを発表した。 今年の日本選手権女子20km競歩で3位に入り、パリ五輪の男女混合競歩リレーの代表にも選出された柳井綾音(立命 […]

NEWS 栗原啓吾が富士山の銘水に加入 「新たな環境で陸上を続けられる感謝を忘れず」 3月にSUBARUを退社

2024.05.02

栗原啓吾が富士山の銘水に加入 「新たな環境で陸上を続けられる感謝を忘れず」 3月にSUBARUを退社

富士山の銘水は、5月1日付で栗原啓吾が入社したことを発表した。 栗原は群馬県出身。東農大二高時代に3年連続で全国高校駅伝の4区を走るなど活躍し、中央学大では1、2、4年時に箱根駅伝に出場。2年時には1区でトップと13秒差 […]

NEWS 単独インタビュー「私は田中希実ですと自信を持って言えるようになった」プロ1年目の総括と思い描くパリでのレース

2024.05.02

単独インタビュー「私は田中希実ですと自信を持って言えるようになった」プロ1年目の総括と思い描くパリでのレース

昨年4月、田中希実は実業団チームを離れて「New Balance」所属の“プロランナー”としてのキャリアをスタートさせた。 プロとして駆け抜けた1年。ブダペスト世界選手権では5000m8位入賞し、ダイヤモンドリーグ(DL […]

NEWS 塩尻和也、太田智樹、相澤晃がパリ五輪に近づくか!?田澤が欠場、次の勢力は!?/日本選手権10000m

2024.05.02

塩尻和也、太田智樹、相澤晃がパリ五輪に近づくか!?田澤が欠場、次の勢力は!?/日本選手権10000m

パリ五輪代表選考会となる第108回日本選手権10000mが5月3日に静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアムで行われる。男子の有力選手を見ていこう。 【女子のみどころ】3連覇中の本命・廣中が不在 小海遥、五島莉乃、高島由香 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top