HOME 国内

2023.05.06

桐生祥秀 復活の10秒03!「戻ってきた」決勝2位も充実感/木南記念
桐生祥秀 復活の10秒03!「戻ってきた」決勝2位も充実感/木南記念

木南記念100mで2位に入り、レース後には笑顔を見せた桐生祥秀

◇第10回木南記念(5月6、7日/大阪・ヤンマースタジアム長居)

日本グランプリシリーズG1の木南記念が行われ、男子100mは坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒12(-0.3)で優勝した。決勝は10秒26で2位に入った桐生祥秀(日本生命)が予選で10秒03(+0.7)をマークした。

速い桐生祥秀が帰ってきた。

広告の下にコンテンツが続きます

予選前、リオ五輪リレーメンバーのケンブリッジ飛鳥(Nike)と、すれ違いながら笑顔でハイタッチ。午前11時すぎ、予選がスタートした。

「感覚もすごく良かったです。東京(TOKYO Spring Challengeの200m)と織田記念で前半の60mまでをテーマでやってきていて、今日は90mまで。それ以降はまだ練習が必要ですね」

桐生らしいギアがいくつもある加速と爆発力。バネが弾けるようにグングンとスピードが上がる。タイムが表示されると、会場の空気が変わった。

広告の下にコンテンツが続きます

10秒03――。ブダペスト世界選手権の参加標準記録まであと0.03秒に迫り、両手をポンッと叩いてスタンドに手を振った。

「いろんな人から『おかえり』と言ってもらえてうれしかったですし、10秒0台が出せて、やっと戻ってきたな、と」

タイムについては「10秒1台前半が出ればと思っていた」。そのため、「満足してしまった」後の決勝は2位になったが、「今大会のコンセプトは加速して10秒1台を出すことだった」と、取り組んできたことが形になる充実感が漂う。

今季の桐生は「8、9月にパリ五輪の参加標準記録10秒00を切るためにやっている」とぶれない。だからこそ、「前までは1戦1戦、速いタイムを出すことを意識していましたが、今は着々と進んでいる感じがあります」と言う。

桐生の復活で、陸上界に活気が出てきた印象がある。「またリオ五輪や東京五輪の時のように陸上が盛り上がれば。僕もタイムをしっかり出していきたい」。

TOKYO Spring Challengeの際は連戦の疲れは感じず、「そこまで出力が出ていないから」。ただ、今回はさすがに「疲れもあります」。この感覚は「アキレス腱の痛みもあったので、本当に数年ぶりです」。このタイムを出しても目標は変わらず「日本選手権と、8、9月に調子を合わせていく」と変わらない。

初めて10秒1台を切った2013年、10秒01の衝撃から10年。3年ぶりになったが今なお10秒0台をマークする精神力の強さ。ただ、桐生は立ち止まらない。「今年は記録にこだわりたい」。日本人初の9秒台から5年。日本一速い男の称号を取り戻す。

◇第10回木南記念(5月6、7日/大阪・ヤンマースタジアム長居) 日本グランプリシリーズG1の木南記念が行われ、男子100mは坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒12(-0.3)で優勝した。決勝は10秒26で2位に入った桐生祥秀(日本生命)が予選で10秒03(+0.7)をマークした。 速い桐生祥秀が帰ってきた。 予選前、リオ五輪リレーメンバーのケンブリッジ飛鳥(Nike)と、すれ違いながら笑顔でハイタッチ。午前11時すぎ、予選がスタートした。 「感覚もすごく良かったです。東京(TOKYO Spring Challengeの200m)と織田記念で前半の60mまでをテーマでやってきていて、今日は90mまで。それ以降はまだ練習が必要ですね」 桐生らしいギアがいくつもある加速と爆発力。バネが弾けるようにグングンとスピードが上がる。タイムが表示されると、会場の空気が変わった。 10秒03――。ブダペスト世界選手権の参加標準記録まであと0.03秒に迫り、両手をポンッと叩いてスタンドに手を振った。 「いろんな人から『おかえり』と言ってもらえてうれしかったですし、10秒0台が出せて、やっと戻ってきたな、と」 タイムについては「10秒1台前半が出ればと思っていた」。そのため、「満足してしまった」後の決勝は2位になったが、「今大会のコンセプトは加速して10秒1台を出すことだった」と、取り組んできたことが形になる充実感が漂う。 今季の桐生は「8、9月にパリ五輪の参加標準記録10秒00を切るためにやっている」とぶれない。だからこそ、「前までは1戦1戦、速いタイムを出すことを意識していましたが、今は着々と進んでいる感じがあります」と言う。 桐生の復活で、陸上界に活気が出てきた印象がある。「またリオ五輪や東京五輪の時のように陸上が盛り上がれば。僕もタイムをしっかり出していきたい」。 TOKYO Spring Challengeの際は連戦の疲れは感じず、「そこまで出力が出ていないから」。ただ、今回はさすがに「疲れもあります」。この感覚は「アキレス腱の痛みもあったので、本当に数年ぶりです」。このタイムを出しても目標は変わらず「日本選手権と、8、9月に調子を合わせていく」と変わらない。 初めて10秒1台を切った2013年、10秒01の衝撃から10年。3年ぶりになったが今なお10秒0台をマークする精神力の強さ。ただ、桐生は立ち止まらない。「今年は記録にこだわりたい」。日本人初の9秒台から5年。日本一速い男の称号を取り戻す。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.07

円盤投五輪連覇のオールマン 悲願の初Vへ「大会記録は可能」/東京世界陸上

女子円盤投で五輪2連覇を果たしているヴァレリー・オールマン(米国)が9月7日、都内で練習を公開し、本誌の単独取材に応じた。 五輪連覇の偉業を果たし、ダイヤモンドリーグでも圧倒的な強さを見せているオールマン。だが、意外にも […]

NEWS 400m参戦のマクローリン「違うアプローチで自分に挑戦したかった」ライバル多く激戦も「集中」/東京世界陸上

2025.09.07

400m参戦のマクローリン「違うアプローチで自分に挑戦したかった」ライバル多く激戦も「集中」/東京世界陸上

女子400mハードル世界記録保持者で、東京世界選手権では400mに出場するシドニー・マクローリン・レヴロン(米国)が9月7日、都内で練習を公開しメディアの取材に応じた。 この日が来日して最初のトレーニングだったというマク […]

NEWS 【男子1500m】近藤潤(BEAT AC/中3)3分55秒44=中学歴代10位タイ

2025.09.07

【男子1500m】近藤潤(BEAT AC/中3)3分55秒44=中学歴代10位タイ

第3回亀岡陸協ナイター記録会が9月6日、京都府亀岡市の亀岡運動公園陸上競技場で行われ、男子1500mでは近藤潤(BEAT AC/中3)が中学歴代10位タイの3分55秒44をマークした。 これまでの自己ベストは、8月上旬の […]

NEWS 女子ハンマー投・河戸咲希(名古屋大谷高2)が55m56 自身の持つ高2歴代3位を更新

2025.09.07

女子ハンマー投・河戸咲希(名古屋大谷高2)が55m56 自身の持つ高2歴代3位を更新

9月6日に行われた愛知県高校新人対校大会名古屋南北支部予選南女子ハンマー投で、河戸咲希(名古屋大谷2)が55m56を放った。自身が7月のインターハイで出した高2歴代3位(54m56)を更新した。 河戸は1投目に53m67 […]

NEWS 七種競技アナ・ホール「表彰台の頂点に立ちたい」世界記録は「最も難しいものの一つ」/東京世界陸上

2025.09.06

七種競技アナ・ホール「表彰台の頂点に立ちたい」世界記録は「最も難しいものの一つ」/東京世界陸上

女子七種競技で世界歴代2位タイの7032点を持つアナ・ホール(米国)が9月6日、都内で練習を公開し、本誌の単独取材に応じた。 早くから期待を集めてきたが、21年の東京五輪トライアルだった全米選手権で足首を痛めて途中棄権。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年9月号 (8月12日発売)

2025年9月号 (8月12日発売)

衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99

page top