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2022.06.16

【鉄紺軍団Close-up】児玉悠輔 10000mで東洋大勢9年ぶりの表彰台 関東インカレでも“好スタート”決める
【鉄紺軍団Close-up】児玉悠輔 10000mで東洋大勢9年ぶりの表彰台 関東インカレでも“好スタート”決める

 一昨年度の駅伝シーズンは全日本と箱根で1区を任され、ともに区間9位。昨年度は出雲1区で区間7位、箱根1区で区間12位。絶対に遅れることができない1区で堅実な走りを見せてきた児玉悠輔(4年)がトラックで存在感を発揮した。

 関東インカレ初日の男子1部10000mで、28分45秒74の自己ベストをマークして3位に食い込んだ。東洋大の10000m表彰台は2013年の設楽悠太(現・Honda)以来、実に9年ぶりの栄光だった。松山和希(3年)が6位、佐藤真優(3年)も7位に入ったことで、東洋大はトリプル入賞を達成。10000mでの“好スタート”がチームを勢いづけ、鉄紺軍団は過去最高の結果を残すことになる。

「昨年は箱根で一段落という感じで、2月から少しずつ練習するかたちでした。でも、それでは関東インカレに間に合いません。長距離は0点に終わった悔しさがあったので、今年は1月からしっかり取り組んできました。その結果が出たのかなと思います」

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 昨年の関東インカレは5000mにエントリーされながら、直前に右脛骨を疲労骨折して棄権。今年は10000mでの出場となり、「入賞」を目指していたという。

「正直、あまり状態が上がっていなくて、最低限入賞して点数を取らなきゃいけないなという感じだったんです。ただ、スローペースになり、様子を見ながら後半上げていくという自分の得意な展開になりました。ラストで早大の井川龍人君(4年)に抜かれてしまったんですけど、表彰台に乗ることができた。3人入賞というかたちになり、すごくいい流れを呼び込めたと思います」

 各校の主力選手が参戦した10000mで結果を残した児玉。高校時代はさほど食事を意識することはなかったというが、大学入学後に栄養バランスを気にするようになったことも成長の一因と言えるかもしれない。

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「大学では走行距離が増えるので故障のリスクも高くなります。それに、貧血になると走れないので、各自でとる昼食は脂質の多い揚げ物はなるべく避けて、サバの味噌煮、野菜炒め、豚の生姜焼きのような栄養のバランスが取れた定食メニューを選ぶようにしています。食べる順番にも気をつけていて、最初に汁物を飲んで胃を温めてからサラダ、副菜、主菜という感じで、合間にご飯を食べています」

 また、大学入学後はミネラル入り麦茶でコンディションを整えてきた。

「食事以外で1日にペットボトル(650ml)2本ほどを目安に飲んでいます。ポイント練習の前はスポーツドリンクを飲むこともありますが、ジョグの時はミネラル入り麦茶を飲むことが多いですね。糖質やカフェインが入っていないので、体重の増加や血糖値の上昇を気にする必要がありません。いつ飲んでもさっぱりおいしく飲めるのでうまく活用しています」

 関東インカレ10000mでは箱根駅伝の2区を2年連続で好走している松山に先着し、自信を深めた。

「今、チームで一番強いのが松山です。駅伝では松山に頼るのではなく、松山を生かせるチームにしていけたらいいなと思っています。そのためにも自分がアシストできるようにしないといけません。集団を利用して抜け出すのが得意なので、駅伝では1区で区間賞を取りたいという思いが強いです」

 今季は5000mで13分40秒切り、10000mで27分台を狙いたいという児玉。鉄紺の“切り込み隊長”が、駅伝でもチームに火をつける。

文/酒井政人

※この記事は『月刊陸上競技』2022年7月号に掲載しています

 一昨年度の駅伝シーズンは全日本と箱根で1区を任され、ともに区間9位。昨年度は出雲1区で区間7位、箱根1区で区間12位。絶対に遅れることができない1区で堅実な走りを見せてきた児玉悠輔(4年)がトラックで存在感を発揮した。  関東インカレ初日の男子1部10000mで、28分45秒74の自己ベストをマークして3位に食い込んだ。東洋大の10000m表彰台は2013年の設楽悠太(現・Honda)以来、実に9年ぶりの栄光だった。松山和希(3年)が6位、佐藤真優(3年)も7位に入ったことで、東洋大はトリプル入賞を達成。10000mでの“好スタート”がチームを勢いづけ、鉄紺軍団は過去最高の結果を残すことになる。 「昨年は箱根で一段落という感じで、2月から少しずつ練習するかたちでした。でも、それでは関東インカレに間に合いません。長距離は0点に終わった悔しさがあったので、今年は1月からしっかり取り組んできました。その結果が出たのかなと思います」  昨年の関東インカレは5000mにエントリーされながら、直前に右脛骨を疲労骨折して棄権。今年は10000mでの出場となり、「入賞」を目指していたという。 「正直、あまり状態が上がっていなくて、最低限入賞して点数を取らなきゃいけないなという感じだったんです。ただ、スローペースになり、様子を見ながら後半上げていくという自分の得意な展開になりました。ラストで早大の井川龍人君(4年)に抜かれてしまったんですけど、表彰台に乗ることができた。3人入賞というかたちになり、すごくいい流れを呼び込めたと思います」  各校の主力選手が参戦した10000mで結果を残した児玉。高校時代はさほど食事を意識することはなかったというが、大学入学後に栄養バランスを気にするようになったことも成長の一因と言えるかもしれない。 「大学では走行距離が増えるので故障のリスクも高くなります。それに、貧血になると走れないので、各自でとる昼食は脂質の多い揚げ物はなるべく避けて、サバの味噌煮、野菜炒め、豚の生姜焼きのような栄養のバランスが取れた定食メニューを選ぶようにしています。食べる順番にも気をつけていて、最初に汁物を飲んで胃を温めてからサラダ、副菜、主菜という感じで、合間にご飯を食べています」  また、大学入学後はミネラル入り麦茶でコンディションを整えてきた。 「食事以外で1日にペットボトル(650ml)2本ほどを目安に飲んでいます。ポイント練習の前はスポーツドリンクを飲むこともありますが、ジョグの時はミネラル入り麦茶を飲むことが多いですね。糖質やカフェインが入っていないので、体重の増加や血糖値の上昇を気にする必要がありません。いつ飲んでもさっぱりおいしく飲めるのでうまく活用しています」  関東インカレ10000mでは箱根駅伝の2区を2年連続で好走している松山に先着し、自信を深めた。 「今、チームで一番強いのが松山です。駅伝では松山に頼るのではなく、松山を生かせるチームにしていけたらいいなと思っています。そのためにも自分がアシストできるようにしないといけません。集団を利用して抜け出すのが得意なので、駅伝では1区で区間賞を取りたいという思いが強いです」  今季は5000mで13分40秒切り、10000mで27分台を狙いたいという児玉。鉄紺の“切り込み隊長”が、駅伝でもチームに火をつける。 文/酒井政人 ※この記事は『月刊陸上競技』2022年7月号に掲載しています

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