2021.10.23
◇第98回関西学生陸上競技対抗選手権大会(大阪・ヤンマーフィールド長居)
4月に行われたハーフマラソンの部も含む関西インカレ5日間の熱戦。そのトータルで争う学校対抗の女子で、初の頂点に立ったのが園田学園女大だった。117.7点を獲得した選手たちが、優勝トロフィーなどを手に喜びを爆発させて記念撮影する姿を眺めた藤川浩喜監督は「2009年の創部では部員2人からのスタートでした。今年度は106人。彼女たちが、それぞれの力を発揮した結果です」と、1人ひとりのがんばりを称えた。
その始まりは、「神がかり的な快走だった」と藤川監督を驚かせた9月の日本インカレ4×400mリレー。チーム新の3分39秒38で2位に食い込んだことが、5月から10月へと延期された関西インカレへの大きな流れとなった。
そしてトラック&フィールドの部初日(10月19日)。先陣を切った棒高跳で、1年生の古林愛理と大坂谷明里がともに4m00をクリアしてワン・ツーを占めた。さらに、4年生の黒田愛香が3位タイ。計20.5点を獲得して、チームを大いに勢いづけた。
ルーキーコンビは日本インカレでは大坂谷が優勝し、古林が2位。古林が明石商高、大坂谷が社高出身とともに兵庫県内のライバル同士だったが、2年連続で高校日本一になった古林が常に大坂谷をリードしてきた。それが、大学1年目から学生の頂点に立ったのは大坂谷。こういった1年生の切磋琢磨が、先輩たちを大いに奮起させた。
その後は、400mで4年生の安田明日翔が優勝(55秒93)したのをはじめ、トラック、フィールドで着実に入賞を重ねた。その結果、「出場した種目のほとんどで入賞できました」とキャプテンの山本紗也夏。最終種目の4×400mリレーを待たず、念願の総合初優勝を決めた。
大躍進の日々を締めくくったのが、流れの最初を作ったマイル陣。1年生アンカーの安達茉鈴が、先行する立命大を逆転し、有終の美を飾るVフィニッシュ。それをスタンドから見た山本は、チームの仲間が喜び合う中で感極まっていたという。
「トラックだけじゃなく、フィールドだけでもない。総合力で戦うのが園田のモットー。コロナ禍の影響で、4年生の何人かがすでに引退していて全員がそろうことはできませんでしたが、それでも『ほぼ全員』が参加できた大会で、それを見せることができました。昨年は2位。今年はそれを超えたいという思いでやってきたので、これでうまく後輩たちにバトンタッチすることができます」
藤川監督は、4連覇中だった女王・立命大が、東京五輪女子4×100mリレー代表の壹岐あいこが個人種目に出場しなかった点などに触れたうえで、キャプテンと同じく「総力戦」の成果を強調する。
「これだけの人数になるとインカレといったチームを代表する大会に出場できる選手と、できない選手が出てきますが、出られない選手をどう生かすのかが大事。選手同士の温度差が出てしまってはいけないので、練習でも試合でも『みんなでがんばる』雰囲気を作ることを意識しています」
そこには、日本のトップで活躍する卒業生たちのバックアップも大きい。400mハードル・七種競技の宇都宮絵莉(長谷川体育施設)、棒高跳の那須眞由(籠谷)らが今も母校を拠点にトレーニングをし、その背中を後輩たちが追いかける。そうやって1つひとつのメニューの質がどんどん上がることで、自然とチーム力は高まっていった。
かつて、園田学園高をインターハイ女子総合優勝へと導いたキャリアを持つ藤川監督が、一から作り上げて13年目。OGを含む「チーム園田」の夢がまた1つ、現実のものとなった。
男子1部総合は立命大と関学大が、熾烈な優勝争いを展開した。立命大109点、関学大103.75点で迎えた最終種目4×400mリレー。関学大が3分08秒58で制したが、立命大も2位を確保し、そのまま逃げ切り。3年ぶりに関西ナンバーワンの座に返り咲いた。
男子2部は、びわこ学大が初優勝と初の1部昇格を果たした。10000mで1、2、4位を占めたうえ、上位2人がともに大会新をマークしてボーナス点を加えるなど、中長距離種目だけで大量92点を稼ぐなど112点を獲得。2位の大経大の追い上げを5点差で振り切った。この2校が、1部下位の龍谷大、阪大、大阪市大と入れ替わる。
最優秀選手には、男子は1部が走幅跳を大会新の7m92(+0.1)で制した吉田弘道(立命大)、2部は10000mに29分44秒80の大会新Vを飾った井上亮真(びわこ学大)が選ばれた。女子は東京五輪4×100mリレーで1走を務めた1年生の青山華依(甲南大)が100mを11秒45(+3.4)、200mは23秒91(+0.7)の自己新で2冠を獲得する活躍から選出された。

RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.08.25
ダイヤモンドリーグ・ファイナルのエントリー発表 北口榛花が4年連続、村竹ラシッドは初
2025.08.25
日本選手権の失格取り消しとなった佐藤風雅所属のミズノ「真摯に対応していただいた」
-
2025.08.25
-
2025.08.25
-
2025.08.25
2025.08.19
15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会
-
2025.08.24
2025.08.16
100mH・福部真子12秒73!!ついに東京世界選手権参加標準を突破/福井ナイトゲームズ
-
2025.08.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.25
ダイヤモンドリーグ・ファイナルのエントリー発表 北口榛花が4年連続、村竹ラシッドは初
世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)のレギュラーシリーズが終了し、スイス・チューリヒで行われるファイナルのエントリーが確定した。 女子やり投の北口榛花(JAL)は4年連続の進出。シーズンベストは64m63だが、 […]
2025.08.25
100m・菅野翔唯が10秒31で優勝! 女子200m・野見山寧祢、女子400m・今峰紗希もV/日韓中ジュニア交流競技会
◇第33回日・韓・中ジュニア交流競技会(8月25・27日/中国・内モンゴル自治区)1日目 各国の高校生世代が集う「日・韓・中ジュニア交流競技会」が行われ、男子100mは菅野翔唯(東農大二2群馬)が10秒31で優勝した。 […]
2025.08.25
日本選手権の失格取り消しとなった佐藤風雅所属のミズノ「真摯に対応していただいた」
日本選手権の男子400m決勝で1着入線のあと、曲走路においてラインの内側を走行したとして失格の判定が下っていた佐藤風雅(ミズノ)の競技結果が再審議の結果、失格が取り消されて優勝となったことについて、所属先のミズノがコメン […]
2025.08.25
佐藤風雅の失格取り消しについて日本陸連が経緯説明「踵がラインを踏んでいる」は「踏み越えていない」再発防止へルール理解の徹底図る
日本陸連は8月25日、第109回日本選手権(7月4日~6日)の男子400m決勝でトップでフィニッシュした佐藤風雅(ミズノ)が失格と裁定されたことについて、ジュリーによる再審議の結果、取り消しとなったことを発表した。 その […]
2025.08.25
日本選手権男子400mの結果が訂正 佐藤風雅がレーン侵害で失格から優勝へ 今泉が2位
日本陸連は8月25日、7月に行われた日本選手権男子400mの結果を訂正したことを発表し、佐藤風雅(ミズノ)が45秒28で優勝、今泉堅貴(内田洋行AC)が45秒29で2位となった。 実際のレースでも、速報では上記の結果が出 […]
Latest Issue
最新号

2025年9月号 (8月12日発売)
衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99