2026.08.31
男子110mHの元世界記録保持者で、2004年アテネ五輪金メダリストの劉翔氏(中国)が、処遇を巡って上海市体育局と対立していることが報じられ、中国国内で大きな議論を呼んでいる。
現在、43歳になる劉翔氏。現役時代は2003年パリ世界選手権の銅メダルを皮切りに、翌04年のアテネ五輪で当時の世界記録に並ぶ12秒91をマークして金メダルを獲得し、スポーツ界のアカデミー賞とも称されるローレウス賞の最優秀新人賞にも選出された。06年には12秒88の世界記録を樹立。世界記録としては08年に破られたものの、現在もアジア記録として残る。07年大阪世界選手権での金メダルを含め、世界選手権では4度メダルを手にした。
劉翔氏は現役時代から上海市体育局に所属。中国のスポーツ制度の下、国家に雇用される選手として競技活動を続けていた。
15年に現役引退を表明した後も、上海市体育局との人事上の関係は続いていたとされるが、その後の処遇は明確になっていなかった。そうしたなか、最近になって上海市体育局から、退職に伴う一時金を受け取って自主就業するか、コーチ職に就いて勤務するか、2つの選択肢を提示されたという。
これを受け、劉翔氏は8月26日にSNSで「難しい問題に直面しており困っている。ネットユーザーの皆さんのアドバイスを聞きたい」と投稿したことで、中国国民を巻き込んだ論争を呼んでいる。
一連の動きの背景には、中国のスポーツ界における管理体制の見直しがあるとされる。中国メディアによると、トップ選手の収支管理や、在籍しながら実際には勤務していない職員の整理などが進められており、劉翔氏もその対象となった可能性がある。
劉翔氏はその後もSNSで、「10年も私の存在が曖昧だったのに、突然、人生の選択を迫られて困惑している」といった趣旨の発言を投稿。また、「若い選手を教えることはできるが、この年齢でコーチをしたことのない人間が指導すれば、他の人の将来を台無しにしてしまうだろう」と、コーチ職への戸惑いも示している。
今回の騒動を受け、SNSでは、功労選手に対する引退後の処遇を問題視する声が上がる一方、現役引退後も長期間にわたって国家が雇用関係を維持することへの疑問も出ている。
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