2026.06.22
日本陸上倶楽部の第54回総会が6月22日に都内で行われ、同部会長の瀬古利彦氏と、日本陸連の有森裕子会長との対談が開催された。
対談は瀬古氏が、岡山出身の有森会長の幼少期の頃から、女子マラソンで1992年バルセロナ、96年アトランタ両五輪のメダリストになるまでの道のりをインタビューする形式で行われた。
生まれたばかりの頃に両股関節脱臼があり、それを母親がたまたま読んだ新聞記事をヒントに発見したこと。身体の動きに制限ができたことや、もともと「競争が嫌い」という性格から小学校では手芸クラブに入っていたエピソードから始まる。
また、自信がなく「逃げまくっていた」という小学校時代に、それを諫めるのではなく、「明日頑張ればいい」とやさしく見守ってくれた恩師が担当していた陸上クラブに転部。そこから徐々に走ることへと目覚めていく。
その小学校の恩師から、「頑張り続けられるものを探せ」と言われて、中学入学後からバスケットボール部に入部。しかし、「チームスポーツが合わなかった」と有森会長。それでも、中学の運動会で「出場枠に空きができたので」と800mで優勝し、「きつかったけど、1番でゴールすると明快な評価がもらえた」ことをきっかけに陸上の道を志したいう。
その後は岡山・就実高での陸上部入部、日体大への進学、リクルートへの入社を、実績がないところから、高校時代の恩師から評価された「とにかく粘る、あきらめない」を実践して自ら動いてつかみ取る。
そして、名将・小出義雄氏から「根拠のないやる気にとても興味がある」と入社を認められたリクルートで、マラソンランナーとしての才能が開花。社会人2年目だった1990年の大阪国際女子で、マラソン初挑戦ながら2時間32分51秒の初マラソン日本最高をマークすると、翌年の大阪では2時間28分01秒の日本最高を樹立。1991年東京世界選手権代表入りし、本番では4位入賞。さらに翌年のバルセロナ五輪、4年後のアトランタ五輪へとつながっていく。
現在は日本陸連会長のほか、世界陸連、アジア陸連の理事も務めている。競技者としてだけでなく、組織内でも世界の最前線に立ってみ、「陸上を考える角度はいろいろある。日本にいるだけでは知らないことがたくさんある」と感じたという。
時を同じくして、女子やり投の北口榛花(JAL)をはじめ、多くの種目で世界のトップクラスで勝負する選手が増えた。そこで、「世界の情報をちゃんと入れる、落とし込める日本陸連にならないといけない」と痛感。2030年から世界マラソン選手権が開催され、2031年以降の世界選手権ではマラソンが実施種目から外れるなど、気候変動に伴うさまざまな“変化”へ対応する必要性を訴えた。
昨年の東京世界選手権をきっかけに陸上熱の広がりも実感し、「今年の日本選手権は延べ6万人が訪れてくれました」と感謝の言葉を述べ、締めくくった。
同部は1973年に発足。大正年代から昭和初期にかけて国際大会で活躍した元選手たちが、競い合った者同士の親睦の場、学校、種目、地域を超越した組織として「明治大正陸上競技OB会」の名称で設立された。初代世話人代表は、当時日本陸連会長の河野謙三氏、秩父宮勢津子妃殿下が名誉会員となっている。
その後、1995年に「日本陸上OB会」、2016年に現名称に変更。2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンの五輪で入賞した選手に報奨金贈呈、2015年からはジュニア(U20)の年間優秀競技者を表彰している。
2025年度は、男子競歩の逢坂草太朗(東洋大)、男子110mハードルの古賀ジェレミー(東京高/現・順大)、女子100mハードルの石原南菜(白鷗大足利高・栃木)の3名が選出された。
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