2025.12.28
「花の2区」で2度の爆走
箱根駅伝で、黒田朝日(4年)は、「花の2区」で2度の快走を見せてきた。どちらも首位に立って、総合優勝を決定づけるような走りには見えなかったかもしれないが、その走りがどれだけ青学大の連勝に貢献したか計り知れない。
2年時にはトップと35秒差の9位から、7人抜きを演じて2位にジャンプアップ。1時間6分07秒の歴代4位(当時)の好タイムで、首位・駒大との差を22秒まで縮め、3区・太田蒼生(当時3年、現・GMOインターネットグループ)の逆転劇へとつなげた。
そして、前回は従来の区間記録を5秒更新する1時間5分44秒(区間3位)をマーク。2年連続の7人抜きで3位まで順位を押し上げている。
「2年時は初めての箱根でエース区間を任されて、区間賞を取れたことは驚きもありました。前回は力が上がっているのはわかっていましたし、経験もあったので、5分台は出せる自信がありました。そのなかで、周りを気にせず、自分の走りにフォーカスした結果だと思っています」
いずれも中盤までは区間中位につけながら、難所と言われる権太坂、そして中継所まで続く終盤の上りと、レースが進むにつれて、力を増す走り。序盤からハイペース気味で突っ込んでいる各大学のエースたちが、もっと苦しむ場面で見せる勢いは、間違いなく脅威で、走りを乱された選手たちもいたことだろう。
そんな黒田に、エースの立場に加えて、3連覇を狙うチームの「主将」という肩書きが加わった。「同期や先輩から推してくれる声も多かったので、最終的には自分がやろうと決めました。強い先輩が卒業する中で、まずは走りで引っ張っていくことを考えていました」と話す。
その中で、「チームとしては、箱根駅伝総合優勝が最大の目標というなかで、全員を同じ方向に向かせることは大変でした。どうしても選手によって意識の差は生じるので、そこをどう一致させて、全員で駅伝シーズンへ向かっていくかは苦労しましたね」と振り返る。
11月の全日本大学駅伝7区で区間新の快走を見せた青学大・黒田朝日[/caption]
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。
「花の2区」で2度の爆走
箱根駅伝で、黒田朝日(4年)は、「花の2区」で2度の快走を見せてきた。どちらも首位に立って、総合優勝を決定づけるような走りには見えなかったかもしれないが、その走りがどれだけ青学大の連勝に貢献したか計り知れない。 2年時にはトップと35秒差の9位から、7人抜きを演じて2位にジャンプアップ。1時間6分07秒の歴代4位(当時)の好タイムで、首位・駒大との差を22秒まで縮め、3区・太田蒼生(当時3年、現・GMOインターネットグループ)の逆転劇へとつなげた。 そして、前回は従来の区間記録を5秒更新する1時間5分44秒(区間3位)をマーク。2年連続の7人抜きで3位まで順位を押し上げている。 「2年時は初めての箱根でエース区間を任されて、区間賞を取れたことは驚きもありました。前回は力が上がっているのはわかっていましたし、経験もあったので、5分台は出せる自信がありました。そのなかで、周りを気にせず、自分の走りにフォーカスした結果だと思っています」 いずれも中盤までは区間中位につけながら、難所と言われる権太坂、そして中継所まで続く終盤の上りと、レースが進むにつれて、力を増す走り。序盤からハイペース気味で突っ込んでいる各大学のエースたちが、もっと苦しむ場面で見せる勢いは、間違いなく脅威で、走りを乱された選手たちもいたことだろう。 そんな黒田に、エースの立場に加えて、3連覇を狙うチームの「主将」という肩書きが加わった。「同期や先輩から推してくれる声も多かったので、最終的には自分がやろうと決めました。強い先輩が卒業する中で、まずは走りで引っ張っていくことを考えていました」と話す。 その中で、「チームとしては、箱根駅伝総合優勝が最大の目標というなかで、全員を同じ方向に向かせることは大変でした。どうしても選手によって意識の差は生じるので、そこをどう一致させて、全員で駅伝シーズンへ向かっていくかは苦労しましたね」と振り返る。「前回の自分を超える走りを」
駅伝シーズンに入り、出雲では7位と、2015年の箱根初優勝以降で見ると、学生三大駅伝で初めてトップ5から陥落。試合後のミーティングでは、「もっと全員が駅伝で戦う気持ちを持たないといけない」と厳しい言葉を投げかけた。 その後、11月の全日本大学駅伝で3位に入ると、世田谷246ハーフやMARCH対抗戦10000mで各選手が好記録をマーク。その姿に、「明らかに意識も変わって、全員が箱根に向けて調子を上げています。出雲、全日本よりは間違いなく良い状態で挑めると思います」と確かな手応えを感じている。 そんな黒田を見て、周囲も変化を感じている。「走りでは文句なく結果を残してくれますし、主将として言うべきところは、声を出してまとめてくれるようになった。最後は朝日にも報われて欲しいので、一緒に優勝したいです」と語るのは同期の塩出。原晋監督も「主将としての自覚、責任感が彼の走りの力になっている部分もある。最後は必ず走ってくれますよ」と信頼を置いている。 順当に行けば、今回も2区出走が有力な黒田。だが、上りにも抜群の特性があり、夏合宿恒例の坂トライアルでも、毎年圧倒的な走りを見せてきただけに、「山上りでの走りを見たい」と、箱根ファンの間でも5区出走の可能性も話題となっている。 だが、黒田自身の考えは少し異なり、「18km走って、ラスト3㎞の上りでトライアルは、どちらかというと終盤に厳しい上りがある2区のイメージのほうが近いと思いますね」と冷静だ。 今季は出雲6区で区間賞を獲得すると、全日本では7区区間新。10000mでも27分37秒62をマークし、「明らかに昨年よりも力はついている」と自負している。 出走すれば3度目となる2区にも、「タイムは気象コンディションの運もありますが、少なくとも前回を超えられると思っています」と確かな自信をのぞかせる。一方で、「箱根は自分の成績よりもチームが勝つことが大事。任された区間でチームが勝つために最大限の走りがしたいです」と語る。 青学大歴代最高のエースが、最後となる箱根路にどんな衝撃を残すか。 [caption id="attachment_194415" align="alignnone" width="800"]
主将としてチームの勝利を最優先している[/caption]
文/田中 葵 RECOMMENDED おすすめの記事
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