◇第102回箱根駅伝予選会(10月18日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)
第102回箱根駅伝予選会が行われ、中央学大が10時間32分23秒でトップ通過を果たした。法大は10時間37分13秒で11位にとどまり、本戦の連続出場が10で止まった。
法大は落選校として史上最速のタイム(2020年の駐屯地内周回コース時を除く)を刻みながら、わずか17秒差で本戦出場を逃した。
フィニッシュ地点の昭和記念公園で、坪田智夫駅伝監督は声を詰まらせながら語った。
「この17秒は、近いようで、遠い」。その言葉には、選手たちの奮闘と、届かなかった夢の重みが凝縮されていた。「走った選手はよくやってくれました。チームを引き上げられなかったのは私の責任です」。レース後の挨拶では涙をこらえながら選手たちをねぎらった。
予選会終盤の展開は劇的だった。17.4kmの定点では通過圏内の総合9位につけていた法大。だが、残り3.7kmで形勢は一変する。
15㎞までは通過圏外だった神奈川大と日体大が猛追。法大は20㎞地点で総合11位に落ち、10位立大との差は11秒。ただ、ゴールでの10人目の通過は全体5番目だったため、何とか出場権獲得圏内に残ったかに見えたが、総合順位で涙を飲んだ。
「負ける展開ではなかった」と坪田監督はレース直後に振り返ったが、無情にも箱根路への切符を掴めなかった。
戦前から不安はあった。今月7日のエントリー時点で、主力の清水郁社(4年)と福田大馳(2年)がエントリーから外れた。さらに当日変更で経験者の矢原倖瑛(4年)が体調不良で出場を回避。盤石とは言えない布陣での挑戦だった。
それでも、選手たちは意地を見せた。特にチームトップでフィニッシュした野田晶斗(3年)は、力強い走りでエースの大島史也(4年)に先着。新戦力の平井蒼大(3年)や太田煌(1年)も安定した走りを見せ、来季への希望をつないだ。
駅伝主将の花岡慶次(4年)は、結果発表後に涙ながらに声を絞り出した。「自分がタイムを稼ぐ立場だったし、主将としても申し訳ないです」。
広島・世羅高3年時の全国高校駅伝優勝メンバーだが、法大入学後の1、2年時はケガに悩まされていた。しかし、坪田監督は競技への真摯な姿勢を評価しており、新チームの主将に抜擢。「監督がいつも丁寧に指導してくださり、結果で恩返ししたかったのですが…」。
主将としてチームを引っ張る責任感と、結果を出せなかった無念さ。花岡の涙は、悔しさだけでなく、監督やチームメートへの感謝からでもあった。
17秒という僅差は、確かに届かなかった夢への距離だ。坪田監督は悔しさを隠さず言った。「この結果をしっかり受け止め、また前に進みたいです」。その言葉に再起を誓う決意が込められていた。
4年生は卒業し、来季は3年生以下のメンバーで再挑戦となる。届かなかった17秒差。その距離を埋めるために選手たちは再び走り出すしかない。
文/荒井寛太
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.10.19
「もう二度と、こんな小説は書けない」池井戸潤原作『俺たちの箱根駅伝』ドラマ化決定!
2025.10.19
バレガが貫禄のV 日本人トップは大迫傑の6位「暑い中でしっかり走れた」/レガシーハーフ
-
2025.10.19
-
2025.10.19
-
2025.10.19
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/チーム総合(2025年10月18日)
-
2025.10.13
-
2025.10.13
-
2025.10.18
-
2025.10.18
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.10.19
「もう二度と、こんな小説は書けない」池井戸潤原作『俺たちの箱根駅伝』ドラマ化決定!
日本テレビは来年、池井戸潤さん原作『俺たちの箱根駅伝』の連続ドラマ放送が決定したと発表した。 「半沢直樹」「下町ロケット」など人間ドラマを描く作家・池井戸さんによる『俺たちの箱根駅伝』は21年から23年まて『週刊文春』で […]
2025.10.19
バレガが貫禄のV 日本人トップは大迫傑の6位「暑い中でしっかり走れた」/レガシーハーフ
◇東京レガシーハーフマラソン2025(10月18日/国立競技場発着:21.0975km) 東京レガシーハーフマラソンの男子エリートの部が行われ、セレモン・バレガ(エチオピア)が1時間1分22秒(速報値)で優勝した。 日差 […]
Latest Issue
最新号

2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望