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2025.10.19

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法大は本戦に17秒届かず 落選校最速タイムも「この17秒は近いようで遠い」/箱根駅伝予選会
法大は本戦に17秒届かず 落選校最速タイムも「この17秒は近いようで遠い」/箱根駅伝予選会

第102回箱根駅伝予選会で総合11位だった法大の大島史也

◇第102回箱根駅伝予選会(10月18日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

第102回箱根駅伝予選会が行われ、中央学大が10時間32分23秒でトップ通過を果たした。法大は10時間37分13秒で11位にとどまり、本戦の連続出場が10で止まった。

法大は落選校として史上最速のタイム(2020年の駐屯地内周回コース時を除く)を刻みながら、わずか17秒差で本戦出場を逃した。

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フィニッシュ地点の昭和記念公園で、坪田智夫駅伝監督は声を詰まらせながら語った。

「この17秒は、近いようで、遠い」。その言葉には、選手たちの奮闘と、届かなかった夢の重みが凝縮されていた。「走った選手はよくやってくれました。チームを引き上げられなかったのは私の責任です」。レース後の挨拶では涙をこらえながら選手たちをねぎらった。

予選会終盤の展開は劇的だった。17.4kmの定点では通過圏内の総合9位につけていた法大。だが、残り3.7kmで形勢は一変する。

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15㎞までは通過圏外だった神奈川大と日体大が猛追。法大は20㎞地点で総合11位に落ち、10位立大との差は11秒。ただ、ゴールでの10人目の通過は全体5番目だったため、何とか出場権獲得圏内に残ったかに見えたが、総合順位で涙を飲んだ。

「負ける展開ではなかった」と坪田監督はレース直後に振り返ったが、無情にも箱根路への切符を掴めなかった。

戦前から不安はあった。今月7日のエントリー時点で、主力の清水郁社(4年)と福田大馳(2年)がエントリーから外れた。さらに当日変更で経験者の矢原倖瑛(4年)が体調不良で出場を回避。盤石とは言えない布陣での挑戦だった。

それでも、選手たちは意地を見せた。特にチームトップでフィニッシュした野田晶斗(3年)は、力強い走りでエースの大島史也(4年)に先着。新戦力の平井蒼大(3年)や太田煌(1年)も安定した走りを見せ、来季への希望をつないだ。

駅伝主将の花岡慶次(4年)は、結果発表後に涙ながらに声を絞り出した。「自分がタイムを稼ぐ立場だったし、主将としても申し訳ないです」。

広島・世羅高3年時の全国高校駅伝優勝メンバーだが、法大入学後の1、2年時はケガに悩まされていた。しかし、坪田監督は競技への真摯な姿勢を評価しており、新チームの主将に抜擢。「監督がいつも丁寧に指導してくださり、結果で恩返ししたかったのですが…」。

主将としてチームを引っ張る責任感と、結果を出せなかった無念さ。花岡の涙は、悔しさだけでなく、監督やチームメートへの感謝からでもあった。

17秒という僅差は、確かに届かなかった夢への距離だ。坪田監督は悔しさを隠さず言った。「この結果をしっかり受け止め、また前に進みたいです」。その言葉に再起を誓う決意が込められていた。

4年生は卒業し、来季は3年生以下のメンバーで再挑戦となる。届かなかった17秒差。その距離を埋めるために選手たちは再び走り出すしかない。

文/荒井寛太

◇第102回箱根駅伝予選会(10月18日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 第102回箱根駅伝予選会が行われ、中央学大が10時間32分23秒でトップ通過を果たした。法大は10時間37分13秒で11位にとどまり、本戦の連続出場が10で止まった。 法大は落選校として史上最速のタイム(2020年の駐屯地内周回コース時を除く)を刻みながら、わずか17秒差で本戦出場を逃した。 フィニッシュ地点の昭和記念公園で、坪田智夫駅伝監督は声を詰まらせながら語った。 「この17秒は、近いようで、遠い」。その言葉には、選手たちの奮闘と、届かなかった夢の重みが凝縮されていた。「走った選手はよくやってくれました。チームを引き上げられなかったのは私の責任です」。レース後の挨拶では涙をこらえながら選手たちをねぎらった。 予選会終盤の展開は劇的だった。17.4kmの定点では通過圏内の総合9位につけていた法大。だが、残り3.7kmで形勢は一変する。 15㎞までは通過圏外だった神奈川大と日体大が猛追。法大は20㎞地点で総合11位に落ち、10位立大との差は11秒。ただ、ゴールでの10人目の通過は全体5番目だったため、何とか出場権獲得圏内に残ったかに見えたが、総合順位で涙を飲んだ。 「負ける展開ではなかった」と坪田監督はレース直後に振り返ったが、無情にも箱根路への切符を掴めなかった。 戦前から不安はあった。今月7日のエントリー時点で、主力の清水郁社(4年)と福田大馳(2年)がエントリーから外れた。さらに当日変更で経験者の矢原倖瑛(4年)が体調不良で出場を回避。盤石とは言えない布陣での挑戦だった。 それでも、選手たちは意地を見せた。特にチームトップでフィニッシュした野田晶斗(3年)は、力強い走りでエースの大島史也(4年)に先着。新戦力の平井蒼大(3年)や太田煌(1年)も安定した走りを見せ、来季への希望をつないだ。 駅伝主将の花岡慶次(4年)は、結果発表後に涙ながらに声を絞り出した。「自分がタイムを稼ぐ立場だったし、主将としても申し訳ないです」。 広島・世羅高3年時の全国高校駅伝優勝メンバーだが、法大入学後の1、2年時はケガに悩まされていた。しかし、坪田監督は競技への真摯な姿勢を評価しており、新チームの主将に抜擢。「監督がいつも丁寧に指導してくださり、結果で恩返ししたかったのですが…」。 主将としてチームを引っ張る責任感と、結果を出せなかった無念さ。花岡の涙は、悔しさだけでなく、監督やチームメートへの感謝からでもあった。 17秒という僅差は、確かに届かなかった夢への距離だ。坪田監督は悔しさを隠さず言った。「この結果をしっかり受け止め、また前に進みたいです」。その言葉に再起を誓う決意が込められていた。 4年生は卒業し、来季は3年生以下のメンバーで再挑戦となる。届かなかった17秒差。その距離を埋めるために選手たちは再び走り出すしかない。 文/荒井寛太

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