◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)8日目
東京世界陸上8日目のイブニングセッションが行われ、男子800mはエマニュエル・ワニョニィ(ケニア)が1分41秒86の大会新で優勝を飾った。
パリ五輪でも優勝を飾っているワニョニィの目的は明確だった。「勝ちたいなら前に出て走ること」と、最初から先頭に立ちレースをコントロール。100mを12秒09で突っ込むと、200m23秒77、400m49秒26とハイペースを刻む。このタイムはロンドン五輪でデイヴィッド・ルディシャ(ケニア)が世界記録(1分40秒91)を樹立したタイムより0.2秒速く、他の選手もこれに食らいついた。
パリ五輪銀メダリストのマルコ・アロップ(カナダ)が背後に張り付き、逆転の機会をうかがったが、ワニョニィは先頭を譲らない。ラスト100mでは、同銅メダリストのジャメル・セジャチ(アルジェリア)も猛烈な追い上げを見せ、3人による激戦となったが、わずかにワニョニィが振り切った。
1分41秒86は、2019年ドーハ大会でドノヴァン・ブレイジャー(米国)が樹立した大会記録を0秒48更新。さらにワニョニィのハイペースに引っ張られる形で、上位6選手が大会記録を更新し、4位のシアン・マクフィリップス(アイルランド)、7位のナバスキー・アンダーソン(ジャマイカ)は自国記録も塗り替えた。
歴史的なレースを制したワニョニィは21歳。18歳だった22年オレゴン世界陸上で4位に入り、いきなり注目を浴びる前回のとブダペスト大会では銀メダルを獲得。昨年はケニアの五輪選考会で世界歴代3位(当時)の1分41秒70をマークして、五輪では初めて世界の頂点に立った。
その後、歴代2位の1分41秒11まで記録を縮め、今大会は世界記録の更新も期待されてのレースだった。
レース後は、「みんなが何を期待しているかは分かっていました。だから自分のやるべきことをやろうと思っていました」と語り、「誰かに頼るのではなく、自分自身で勝負をつかまなければならない。だから前に出て走りました」と語ったワニョニィ。ラストのスパート合戦でも「ラストで押し切る力を信じていました。だから、700mまで突っ走ったし、負ける気はなかった」と王者の風格を漂わせる。
五輪、世界選手権の2大会を制し、次のターゲットはもちろん世界記録の更新となるが、その可能性を十分に予感させるレースとなった。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.09.21
【男子100m】増田陽太(八王子高)10秒48=高1歴代7位タイ
2025.09.21
【女子100mH】岡田紗和(法政二高)13秒70=高1歴代3位
-
2025.09.21
-
2025.09.21
-
2025.09.15
2025.08.27
アディダス アディゼロから2025年秋冬新色コレクションが登場!9月1日より順次販売
-
2025.08.24
-
2025.09.11
-
2025.09.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.09.21
【男子100m】増田陽太(八王子高)10秒48=高1歴代7位タイ
東京都高校新人大会は9月21日、駒沢オリンピック公園競技場で行われ、男子100mで増田陽太(八王子1)が高1歴代7位タイとなる10秒48(+1.7)で2位に入った。 増田の従来の自己記録は東京都高校新人大会第5・6支部予 […]
2025.09.21
【女子100mH】岡田紗和(法政二高)13秒70=高1歴代3位
神奈川県高校新人大会4日目は9月21日、神奈川・小田原市城山陸上競技場で行われ、女子100mハードルで岡田紗和(法政二1)が高1歴代3位となる13秒70(-0.5)の大会新記録で優勝した。 従来の自己記録は8月下旬の神奈 […]
Latest Issue
最新号

2025年10月号 (9月9日発売)
【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/