◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)4日目
東京世界陸上の4日目のイブニングセッションが行われ、男子110mハードルで村竹ラシッド(JAL)が13秒18(-0.3)で5位入賞を果たした。
フィニッシュの瞬間、天を仰いだ、そして正式結果が出た瞬間、トラックに大の字になった。それほどに求めていたメダルを逃した悔しさがあふれる。
「何が足りなかったんだろうなって。何が今まで間違っていたんだろうなって、パリ五輪が終わってからの1年間、本気でメダルを取りに1年間必死に練習して、何が足りなかったんだろうなって……。すいませんでした」
そう言葉を振り絞ると、村竹は言葉を詰まらせ嗚咽を漏らす。
1時間40分前に行われた準決勝を13秒17(-0.1)で堂々2着通過し、昨年のパリ五輪に続くファイナルの舞台に立った。パリのレーンは一番外側の9レーンだったが、この日はど真ん中、5レーンのシードレーンに立つ。
1台目の入りからトップ争いを繰り広げた。ハードルに脚を何度もぶつけながらも、中盤まで金メダルを狙える位置を走る。だが、終盤に左右からライバルたちに前へ出られた。
優勝は今季世界リストトップの12秒87を出していたコーデル・ティンチ(米国)で、12秒99で初の世界タイトルを獲得。2位は13秒08でオーランド・ベネット、3位は13秒12でタイラー・メイソンとジャマイカ勢が続いた。
銅メダルとの差は、わずか0.06秒。昨年のパリ五輪はメダル争いに加われず、その差も0.13秒だっただけに、メダルへの距離は確実に縮まっている。だが、メダルは今日欲しかった。
「こんなにたくさんの人に見守ってもらえて、一人のアスリートとして、本当に幸せです。だからこそ、メダルを取ってみなさんと一緒に喜びたかったんですけど……」と、悔し涙がとめどなくあふれる。
だが、言葉だけではなく、そのハードリングで実現の可能性を大いに示したことは、日本中のファンが確かに見届けた。
千葉・松戸国際高でインターハイを制し、順大では当時日本タイ記録の13秒04まで記録を縮め、世界へと飛躍を遂げた。そして、JALに入社してからは、世界トップハードラーの仲間入り。8月には世界一流の証明である12秒台を日本人で初めて叩き出す。それも、世界歴代11位タイの12秒92。これは、最初の東京開催だった34年前は世界記録というハイレベルなものだ。
2度目の東京開催が決まった当時は、「出場して、かつメダル争いもできるぐらいまでになれるなんて、思ってもみなかった」と言う。だが、1年1年、驚く早さで成長を遂げ、2年連続で「世界の5位」となった。それは「誇りに思いたい」と村竹。そして、改めて覚悟を口にする。
「脚が持つ限り、何年かっかってもメダルを取りたい」
地元・東京で味わった悔しさが、メダルへの起点となるはずだ。
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