HOME 国内

2025.08.09

NEWS
100mH福部真子 東京世界陸上標準まであと0.01秒「菊池病にさえなければ…」と涙浮かべ/実業団・学生対抗
100mH福部真子 東京世界陸上標準まであと0.01秒「菊池病にさえなければ…」と涙浮かべ/実業団・学生対抗

福部真子(25年実業団・学生対抗)

◇2025オールスターナイト陸上(第65回実業団・学生対抗:8月9日/神奈川・レモンガススタジアム)

日本グランプリシリーズの実業団・学生対抗が行われ、女子100mハードルは中島ひとみ(長谷川体育施設)が自己タイとなる12秒71(+1.1)をマークして優勝した。

12秒69の日本記録保持者でパリ五輪代表の福部真子(日本建設工業)は12秒74の2位。東京世界選手権の参加標準記録(12秒73)まであと0.01秒だった。

中島と競り合いながらフィニッシュ。速報タイマーは12秒71で止まり、風も公認の追い風1.1m。中島の優勝がアナウンスされ、福部は祈る。12秒74と聞くと仰向けになって倒れ込んだ。

「今日は世界選手権に向けてのラストのチャレンジにしようと思っていた」と強い決意で臨んでいた福部。昨年秋から苦しむ「菊池病(原因不明の高熱が出る病気)」に加え、左膝と右アキレス腱痛にも苦しみ「トリプルパンチ」だと言い、「標準を狙える状態ではないのはわかっていた」。

タイムを聞いた時には「しょうがないよね」と思うと同時に「普通に練習ができない。それでこれなら……。ずっと満足のいく練習ができない。熱が出たらお風呂にも入れない。普通でいいのに」。そう言うと涙があふれ「菊池病にさえならなければ」。ここまで戻り、この状態でこれだけの記録が出ていることが奇跡的だとも言える。

広告の下にコンテンツが続きます

次週のAthlete Night Games(福井)にもエントリーしているが、「連戦でもう一回、自己ベスト付近を狙えるのかなと思いますが…コーチと話し合って決めたい」。

これまで、中学・高校と“天才”の名をほしいままにし、その後はタイトルから遠ざかり、引退も考えた。それでも、地元・広島を拠点にして舞い戻ってきた。23年はブダペスト世界選手権の参加標準記録をただ1人切りながら、日本選手権で4位で出場を逃した。そして、病。それでも不屈の精神で何度も立て直し、挑戦してきた。それこそが、福部真子の強さ。だから、この土壇場でも必ず世界の舞台に立つと誰もが信じている。

◇2025オールスターナイト陸上(第65回実業団・学生対抗:8月9日/神奈川・レモンガススタジアム) 日本グランプリシリーズの実業団・学生対抗が行われ、女子100mハードルは中島ひとみ(長谷川体育施設)が自己タイとなる12秒71(+1.1)をマークして優勝した。 12秒69の日本記録保持者でパリ五輪代表の福部真子(日本建設工業)は12秒74の2位。東京世界選手権の参加標準記録(12秒73)まであと0.01秒だった。 中島と競り合いながらフィニッシュ。速報タイマーは12秒71で止まり、風も公認の追い風1.1m。中島の優勝がアナウンスされ、福部は祈る。12秒74と聞くと仰向けになって倒れ込んだ。 「今日は世界選手権に向けてのラストのチャレンジにしようと思っていた」と強い決意で臨んでいた福部。昨年秋から苦しむ「菊池病(原因不明の高熱が出る病気)」に加え、左膝と右アキレス腱痛にも苦しみ「トリプルパンチ」だと言い、「標準を狙える状態ではないのはわかっていた」。 タイムを聞いた時には「しょうがないよね」と思うと同時に「普通に練習ができない。それでこれなら……。ずっと満足のいく練習ができない。熱が出たらお風呂にも入れない。普通でいいのに」。そう言うと涙があふれ「菊池病にさえならなければ」。ここまで戻り、この状態でこれだけの記録が出ていることが奇跡的だとも言える。 次週のAthlete Night Games(福井)にもエントリーしているが、「連戦でもう一回、自己ベスト付近を狙えるのかなと思いますが…コーチと話し合って決めたい」。 これまで、中学・高校と“天才”の名をほしいままにし、その後はタイトルから遠ざかり、引退も考えた。それでも、地元・広島を拠点にして舞い戻ってきた。23年はブダペスト世界選手権の参加標準記録をただ1人切りながら、日本選手権で4位で出場を逃した。そして、病。それでも不屈の精神で何度も立て直し、挑戦してきた。それこそが、福部真子の強さ。だから、この土壇場でも必ず世界の舞台に立つと誰もが信じている。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.08.10

栁田大輝が「疲労を考慮し」8月11日の佐野スプリント棄権 次戦は福井ナイトゲームズ予定

東洋大陸上部短距離部門は8月10日、公式SNSで栁田大輝(4年)が8月11日の佐野スプリントを棄権すると発表した。「疲労を考慮し」、次戦は8月16日のAthlete Night Games in FUKUI2026を予定 […]

NEWS 山縣亮太が100m2本を10秒4台 雷雨で決勝中止の富士北麓に次ぐ2週連続レース

2025.08.10

山縣亮太が100m2本を10秒4台 雷雨で決勝中止の富士北麓に次ぐ2週連続レース

2025年度第1回SANO公認100m記録会は8月10日、栃木県の佐野市運動公園陸上競技場で行われ、男子日本記録保持者の山縣亮太(セイコー)が一次レースは10秒41(-0.5)、二次レースは10秒42(+0.6)だった。 […]

NEWS 神戸市の王子スタジアムが移転工事へ トラックの規模縮小 8月9日に感謝イベント開催

2025.08.10

神戸市の王子スタジアムが移転工事へ トラックの規模縮小 8月9日に感謝イベント開催

再整備で移転するため8月末で利用が一時休止される兵庫県神戸市の王子スタジアムで8月9日、スタジアムに感謝を伝えるためのイベントが開催された。 イベントでは競技者による4×100mリレーや家族や友人とバトンをつなぐ100m […]

NEWS ボブスレーと陸上の二刀流・石川優が全日本プッシュボブスレー選手権でV2!

2025.08.10

ボブスレーと陸上の二刀流・石川優が全日本プッシュボブスレー選手権でV2!

全日本プッシュボブスレー選手権は8月9日、長野県プッシュトレーニング場で行われ、女子は陸上との二刀流に挑戦している石川優(北野建設)が2連覇を果たした。 一人押しの女子の部にただ一人出場した石川は、1回目に4秒87の大会 […]

NEWS DLシレジア・やり投にディーン元気! デュプランティス、ホロウェイ、リチャードソン、ボルらも登録

2025.08.10

DLシレジア・やり投にディーン元気! デュプランティス、ホロウェイ、リチャードソン、ボルらも登録

ダイヤモンドリーグ(DL)第12戦のシレジア大会(ポーランド/8月16日)のエントリーリストが発表され、男子やり投にディーン元気(ミズノ)が登録された。 ディーンは7月の日本選手権で13年ぶりの自己記録となる84m66を […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年9月号 (8月12日発売)

2025年9月号 (8月12日発売)

衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99

page top