HOME 箱根駅伝

2025.01.03

競技生活最後の箱根で5区区間新! 青学大・若林宏樹「存分に楽しんでやろうと思った」/箱根駅伝
競技生活最後の箱根で5区区間新! 青学大・若林宏樹「存分に楽しんでやろうと思った」/箱根駅伝

25年箱根駅伝5区区間新をマークした若林宏樹(青学大)

◇第101回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)

第101回箱根駅伝の往路が行われ、青学大が5時間20分01秒で往路優勝を飾った。5区の若林宏樹(4年)は1時間9分11秒の区間新をマークした。

自身3度目の往路優勝のフィニッシュテープを切った青学大の若林。1年時は区間3位、3年時は区間2位。そして今回は初の区間賞、さらに山本唯翔(現・SUBARU)が前回マークした区間記録を3秒縮める区間新で往路を締めた。

広告の下にコンテンツが続きます

「最高に気持ち良かったです。1時間8分台を目指していたので少し悔しいですが大満足です」。全員でつかみ取った往路優勝をチームメートと喜び合った。

3度目の5区で初めて前を追いかける展開となったが、若林は冷静。先頭を走る中大5区の園木大斗(4年)が3kmを8分45秒で通過したのに対し、若林は8分54秒だった。

「10秒ほど離され、自分もハイペースのつもりだったので焦りましたが、自分がきついということは相手もきつい」。一度開いた中大との差が、7km過ぎの大平台では逆に32秒差に縮まり、9.5kmで一気に逆転した。

広告の下にコンテンツが続きます

「過去2回、函嶺洞門までは通過順位も速くありませんでした。宮ノ下からグッと上げるレースが得意」。中大をとらえた後もグイグイと腕を振りつづけ、参考記録ながらほぼ同コースとなる今井正人(現・順大コーチ)の1時間9分12秒をも1秒上回った。

京都・洛南高3年時に都大路1区3位(29分06秒)の実績を持ち、鳴り物入りで入学した若林。しかし、競技生活は大学で終える。昨年11月のMARCH対校戦10000mでは27分59秒53の自己ベストで走りながらも、その意志は揺るがなかった。

「練習面では2年目、3年目で故障が続いたりしましたが、4年目は大きな故障がなく1年間継続して練習できました。レース中はこの箱根駅伝が競技生活最後となるので、存分に楽しんでやろう走ろうと思っていました」

1年生の頃から“山の神”を目指してトレーニングをしてきたまさに集大成となるフィニッシュテープを切った。

平塚中継所では1位中大と2分24秒の差があったが、原晋監督は「デッドゾーンに入りかけましたが、4区の太田蒼生(4年)が45秒差まで縮めた段階で勝てるだろうと思いました。確信したのは、若林の5km付近かな」と明言する。

若林は「前回は雨で寒い中でのレースでしたが、今回は気温も高く、低体温と脱水のリスクもあった」。表彰式では立ち続けることができず、椅子に座っていた姿は全力を出し切った証だった。

青学大の強さについて若林は「ハーフマラソンに向けたトレーニングを1年間継続できています。狙うべき試合と通過点である試合、選手個人が考え、逆算する。そういった作業の積み重ねが箱根駅伝へのピーキングになっています」。生活面でも部員全員が一致団結している点が大きいと語る。

自身3度目の往路優勝にも、まだ気を緩めていない。「復路に向けいい刺激を与えられたと思います」。大手町でチームメートと笑いあうために、最高のお膳立てを若林は果たした。

文/荒井寛太

◇第101回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km) 第101回箱根駅伝の往路が行われ、青学大が5時間20分01秒で往路優勝を飾った。5区の若林宏樹(4年)は1時間9分11秒の区間新をマークした。 自身3度目の往路優勝のフィニッシュテープを切った青学大の若林。1年時は区間3位、3年時は区間2位。そして今回は初の区間賞、さらに山本唯翔(現・SUBARU)が前回マークした区間記録を3秒縮める区間新で往路を締めた。 「最高に気持ち良かったです。1時間8分台を目指していたので少し悔しいですが大満足です」。全員でつかみ取った往路優勝をチームメートと喜び合った。 3度目の5区で初めて前を追いかける展開となったが、若林は冷静。先頭を走る中大5区の園木大斗(4年)が3kmを8分45秒で通過したのに対し、若林は8分54秒だった。 「10秒ほど離され、自分もハイペースのつもりだったので焦りましたが、自分がきついということは相手もきつい」。一度開いた中大との差が、7km過ぎの大平台では逆に32秒差に縮まり、9.5kmで一気に逆転した。 「過去2回、函嶺洞門までは通過順位も速くありませんでした。宮ノ下からグッと上げるレースが得意」。中大をとらえた後もグイグイと腕を振りつづけ、参考記録ながらほぼ同コースとなる今井正人(現・順大コーチ)の1時間9分12秒をも1秒上回った。 京都・洛南高3年時に都大路1区3位(29分06秒)の実績を持ち、鳴り物入りで入学した若林。しかし、競技生活は大学で終える。昨年11月のMARCH対校戦10000mでは27分59秒53の自己ベストで走りながらも、その意志は揺るがなかった。 「練習面では2年目、3年目で故障が続いたりしましたが、4年目は大きな故障がなく1年間継続して練習できました。レース中はこの箱根駅伝が競技生活最後となるので、存分に楽しんでやろう走ろうと思っていました」 1年生の頃から“山の神”を目指してトレーニングをしてきたまさに集大成となるフィニッシュテープを切った。 平塚中継所では1位中大と2分24秒の差があったが、原晋監督は「デッドゾーンに入りかけましたが、4区の太田蒼生(4年)が45秒差まで縮めた段階で勝てるだろうと思いました。確信したのは、若林の5km付近かな」と明言する。 若林は「前回は雨で寒い中でのレースでしたが、今回は気温も高く、低体温と脱水のリスクもあった」。表彰式では立ち続けることができず、椅子に座っていた姿は全力を出し切った証だった。 青学大の強さについて若林は「ハーフマラソンに向けたトレーニングを1年間継続できています。狙うべき試合と通過点である試合、選手個人が考え、逆算する。そういった作業の積み重ねが箱根駅伝へのピーキングになっています」。生活面でも部員全員が一致団結している点が大きいと語る。 自身3度目の往路優勝にも、まだ気を緩めていない。「復路に向けいい刺激を与えられたと思います」。大手町でチームメートと笑いあうために、最高のお膳立てを若林は果たした。 文/荒井寛太

箱根駅伝5区 区間歴代10傑をチェック!

①1.09.11 若林宏樹(青学大4) 25年① ②1.09.14 山本唯翔(城西大4) 24年① ③1.09.31 工藤慎作(早大2) 25年②  1.09.32 若林宏樹(青学大3) 24年②  1.10.04 山本唯翔(城西大3) 23年① ④1.10.19 四釜峻佑(順大4) 23年② ⑤1.10.25 宮下隼人(東洋大2) 20年① ⑥1.10.33 細谷翔馬(帝京大4) 22年① ⑦1.10.36 阿部陽樹(中大2) 23年③ ⑧1.10.40 飯田貴之(青学大2) 20年② ⑨1.10.44 吉田響(東海大1) 22年② 〃1.10.44 金子伊吹(駒大4) 24年③

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.20

ハファシマナがブルンジ勢として4連覇! 女子はアメバウが快勝 世界陸連クロカン・ツアーが開幕/WAクロカンツアー

世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールドの初戦ゾルノツァ国際クロスが10月19日、スペインで開催され、男子(8.7km)はE.ハファシマナ(ブルンジ)が25分50秒、女子(8.7km)はL.アメバウ(エチオピア) […]

NEWS トロイティチが2時間3分30秒の大会新V チェプテゲイが自己新 女子はデスタが2時間17分37秒/アムステルダムマラソン

2025.10.20

トロイティチが2時間3分30秒の大会新V チェプテゲイが自己新 女子はデスタが2時間17分37秒/アムステルダムマラソン

アムステルダムマラソンが10月19日、オランダで開催され、男子はG.トロイティチ(ケニア)が2時間3分30秒で、女子はA.デスタ(エチオピア)が2時間17分37秒で優勝した。 男子優勝のトロイティチは今年の東京マラソンで […]

NEWS 其田健也が2時間8分33秒で16位 中間点まで先頭集団に食らいつく/アムステルダムマラソン

2025.10.20

其田健也が2時間8分33秒で16位 中間点まで先頭集団に食らいつく/アムステルダムマラソン

10月19日、オランダでアムステルダムマラソンが行われ、ブダペスト世界選手権代表の其田健也(JR東日本)が2時間8分33秒で16位に入った。 其田はスタートから1km3分を切るペースを刻む先頭集団につけ、5kmを14分3 […]

NEWS U18女子走幅跳・岡林結衣 1年ぶり自己新の6m03で栄冠! 6回目に逆転V/U18・16大会

2025.10.20

U18女子走幅跳・岡林結衣 1年ぶり自己新の6m03で栄冠! 6回目に逆転V/U18・16大会

◇第19回U18・第56回U16大会(10月17~19日/三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場)3日目 U18・U16大会の最終日となる3日目が行われ、U18女子走幅跳では岡林結衣(高知農高1高知)が最終6回目の跳躍で6 […]

NEWS バログン・ハルが300m37秒88の高校歴代2位&U18最高記録! 「後半に第2のギアを上げられた」/U18・16大会

2025.10.20

バログン・ハルが300m37秒88の高校歴代2位&U18最高記録! 「後半に第2のギアを上げられた」/U18・16大会

◇第19回U18・第56回U16大会(10月17~19日/三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場)3日目 U18・U16大会の最終日となる3日目が行われ、U18女子300mはバログン・ハル(市川高2千葉)が37秒88の大会 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top