2023.12.24
◇全国高校駅伝・男子第74回(12月24日/京都・たけびしスタジアム京都発着:7区間42.195km)
高校駅伝日本一を決める全国高校駅伝が行われ、男子は佐久長聖(長野)が2時間1分00秒の大会新記録で6年ぶり3度目の優勝を果たした。留学生のいないチームが大会新記録を樹立したのは、第48回(1997年)の西脇工(兵庫)以来、実に26年ぶりだった。
衝撃的な継走だった。2位の倉敷(岡山)に1分49秒もの差をつけ、篠和真(2年)が両手を広げてフィニッシュテープを切る。
「本当に生徒たちがよく頑張ってくれました」と高見澤勝監督。史上初の2時間1分切りならずも、「タイムは意識してなかったので、(2時間1分切りの)、期待はあったかもしれませんが、まずは勝つことが一番。その結果、タイムがついてきました」と話す。
5000m13分台を6人そろえる強力布陣。1区は主将の永原颯磨(3年)が務めた。3000m障害の高校記録保持者であり、13分43秒03を持つエース。だが、秋はケガで苦しんだ。それでも、「主将ですし、前回も経験している。万全でなくても、必ず良い位置でつないでくれると信じていました」と高見澤監督が送り出した。
その期待に応えるように、区間4位で好発進。「良い時と比べるとそこまでではなないですが、不安材料にするのではなく、今出せる力を最大限発揮しよう」と力を示した。
遠藤大成(3年)が区間5位で2位までアップすると、3区では山口竣平(3年)が快走。留学生を相手にも屈せず、日本人区間歴代3位の23分21秒(区間3位/日本人トップ)をマーク。「須磨学園の堀野君(正太 、2年)が思ったより粘ってきたので、負けられないと良い感じに走れました」。ここでトップに立ち「一安心」と安堵した。
「2区で少し設定タイムより遅れましたが、それ以外は設定通りかそれ以上で走ってくれました」と高見澤監督。4区の濵口大和(2年)も区間2位で快走すると、衝撃だったのが続く5区の佐々木哲(2年)だった。「レース前から区間新記録は目標にしていた」という佐々木は、1kmを2分40秒と突っ込むと、「上りが強い」(高見澤監督)という評価通り、最後まで足色が衰えず、8分14秒をマーク。51年ぶりに区間記録を塗り替えた。
続く吉岡斗真(3年)も区間新。アンカーの篠も区間2位の盤石ぶりだった。
「3区で先頭に立てたのが非常に大きかった」と想定以上のタスキリレーを評価する高見澤監督。「すべて想定通りいけば2時間0分55秒。想定内だったと思いますが、(風もあって)記録は望めないと思っていた」と、持てる力を発揮しての大会記録だった。
13分台6人を擁したチーム。「13分台を狙っているのではなく、両角(速)先生から引き継いだ伝統の力で、13分台を多く出せる環境にあります。佐久長聖にとって13分台は目指すべき記録なんです」と高見澤監督。決してトラックで速さだけを求めたのではなく、切磋琢磨しながら“強さ”を求めているからこそ。「留学生がいるチームがあるからこそ、どう勝っていくか、攻略していくかと考えている」とも言う。
「留学生がいない中でも記録を残せるんだと証明できましたし、強さの一つになったんじゃないかと思います。自分や山口、濵口といった主力任せにならず、一人ひとりがそれぞれ追いつこうという気持ちでやってこられたからこそ、駅伝の舞台で強さを出せました」
主将を務めた永原はそう言って胸を張った。
歴史、記録、先輩、ライバル、そして自分自身。佐久長聖が刻んできた“挑戦”の伝統は、これから先の後輩たちへ、タスキをとおしてつながれていく。
都大路男子の佐久長聖Vメンバーの成績をチェック
1区 永原颯磨(3年) 29分05秒(区間4位) 2区 遠藤大成(3年) 8分20秒(区間5位) 3区 山口竣平(3年) 23分21秒(区間3位) 4区 濵口大和(2年) 23分17秒(区間2位) 5区 佐々木哲(2年) 8分14秒(区間1位) 6区 吉岡斗真(3年) 14分16秒(区間1位) 7区 篠和真(2年) 14分27秒(区間2位)
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