2022.12.26
箱根駅伝Stories
新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。
早大の伊藤大志(2年)は1年時から学生三大駅伝にフル出場。少数精鋭のチームにあって、主力として期待される選手の1人だ。早稲田の次代を担うエース候補に、これまでの経歴とまもなく迎える箱根駅伝への思いを聞いた。
「なんとなく」始めた陸上で才能が開花
長野県出身の伊藤と陸上との出合いは小学校2年生の時。漠然と「何か習い事をしたい」と考えたが、本人いわく「運動神経が悪かった」という。
「球技はダメ、水泳はダメ、勉強は絶対にしたくない。手先が器用なわけではないし、音楽的センスもない。というわけでたどり着いたのが陸上。消去法なんですよね」と伊藤。はじめは短距離、5年生ぐらいからは長距離にも取り組んだ。
他にやりたいことは見つからず、何となく続けていた陸上だったが、中学1年のうちに県内で上位に入れるようになり、2年では都道府県対抗駅伝の候補選手に選ばれ、3年では全中の3000mで5位、ジュニアオリンピックA3000mでは2位に入った。
結果が出るとおもしろい、「もっと上に」という気持ちが出てきた。
長距離の道で高校に行くなら、県内では「やはり佐久長聖」という気持ちがあった。駅伝部の高見澤勝先生からは、「うちは厳しいから、その覚悟がある人だけ入ってきなさい」とも言われたが、厳しさへの不安より、「どこまでできるか試してみたい」というチャレンジの気持ちのほうが大きかった。
親元を離れての寮生活。「想像通り厳しかったです」と言うが、それがきつくてやめたいと思ったことは一度もなかった。「良くも悪くも楽観主義なんですよね」と伊藤は笑う。家では味わえない寮生活の刺激や、きつい中でも楽しみを見つけて、充実した3年間だったと振り返る。
競技面では高校2年時に国体少年A5000mで3位、高3時には全国高校駅伝1区で5位の成績を残し、5000mでも13分36秒57の高校歴代2位(現5位)をマーク。同世代トップクラスの実力者となった。
競技面での成長はもちろんだが、高校時代に最も学んだのは人間性の部分だ。生活面から厳しく指導され、才能があっても人間性の面で成長できず、結果が出なかった選手のことも見てきた。
高見澤先生からは「俺たちは料理の材料を提供するだけで、どういう味付けや調理方法にするかは自分で決めるんだ」とも言われていた。練習メニューは提示されるが、取り組む量には幅を持たせられていることも多く、考えてどう競技につなげていくかは自分次第。高校時代からこの考え方を身につけられたことが、「今も役に立っているし、これからも生きてくると思います」と話す。
次のページ 自分が5区を走るのが最適なら、5区を
「なんとなく」始めた陸上で才能が開花
長野県出身の伊藤と陸上との出合いは小学校2年生の時。漠然と「何か習い事をしたい」と考えたが、本人いわく「運動神経が悪かった」という。 「球技はダメ、水泳はダメ、勉強は絶対にしたくない。手先が器用なわけではないし、音楽的センスもない。というわけでたどり着いたのが陸上。消去法なんですよね」と伊藤。はじめは短距離、5年生ぐらいからは長距離にも取り組んだ。 他にやりたいことは見つからず、何となく続けていた陸上だったが、中学1年のうちに県内で上位に入れるようになり、2年では都道府県対抗駅伝の候補選手に選ばれ、3年では全中の3000mで5位、ジュニアオリンピックA3000mでは2位に入った。 結果が出るとおもしろい、「もっと上に」という気持ちが出てきた。 長距離の道で高校に行くなら、県内では「やはり佐久長聖」という気持ちがあった。駅伝部の高見澤勝先生からは、「うちは厳しいから、その覚悟がある人だけ入ってきなさい」とも言われたが、厳しさへの不安より、「どこまでできるか試してみたい」というチャレンジの気持ちのほうが大きかった。 親元を離れての寮生活。「想像通り厳しかったです」と言うが、それがきつくてやめたいと思ったことは一度もなかった。「良くも悪くも楽観主義なんですよね」と伊藤は笑う。家では味わえない寮生活の刺激や、きつい中でも楽しみを見つけて、充実した3年間だったと振り返る。 競技面では高校2年時に国体少年A5000mで3位、高3時には全国高校駅伝1区で5位の成績を残し、5000mでも13分36秒57の高校歴代2位(現5位)をマーク。同世代トップクラスの実力者となった。 競技面での成長はもちろんだが、高校時代に最も学んだのは人間性の部分だ。生活面から厳しく指導され、才能があっても人間性の面で成長できず、結果が出なかった選手のことも見てきた。 高見澤先生からは「俺たちは料理の材料を提供するだけで、どういう味付けや調理方法にするかは自分で決めるんだ」とも言われていた。練習メニューは提示されるが、取り組む量には幅を持たせられていることも多く、考えてどう競技につなげていくかは自分次第。高校時代からこの考え方を身につけられたことが、「今も役に立っているし、これからも生きてくると思います」と話す。 次のページ 自分が5区を走るのが最適なら、5区を自分が5区を走るのが最適なら、5区を
早稲田を選んだのは、自主性を重んじるチームでのびのびとやりたいということが一番。あとはセカンドキャリアを考えた時に、アスレティックトレーナーの資格を取りたいと考えたことも理由の一つとなった。入部してみると個性の強いメンバーが多く、自分で考えて練習をしている先輩がほとんど。「そういうところが早稲田の強さにつながっているなと感じました」。 高校時代から実績のあった伊藤は、10月の出雲駅伝でさっそくの大学駅伝デビュー。この時は5区で区間12位、続く全日本大学駅伝では1区区間7位だった。もともと「緊張しがち」と言う伊藤だが、この2大会は特に緊張したという。 そして初となる箱根駅伝では、山上りの5区を担当。「上りの適性という意味では僕より上の人はいたんです。昨年のチームの中である程度走れて、なおかつみんなより上りが苦手じゃないから行くよ、というスタンスでした」。 自分が5区を担当することができたら、他の選手を平地に回すことができる。そうした割り切った考えで山上りに挑んだ。ただ走る前は「今からここを走るのか」という不安はあった。この時は区間11位。走り終わった後は今までで初めて、倒れ込んでフィニッシュしたことに自分でも驚いた。その後もダメージが大きく、1週間ぐらいは走れなかったという。 [caption id="attachment_89608" align="alignnone" width="800"]
チームとして結果を出すことが一番
伊藤は今季、5月のゴールデンゲームズinのべおか5000mで13分35秒70をマークして高校時代の自己ベストを2年ぶりに更新。しかし、続く関東インカレ(1部)では5000m16位と満足できる結果ではなかった。 6月に花田勝彦新監督が就任してからは、今までの練習が見直され、より基本に立ち返った練習に。夏合宿も箱根予選会を見据えて距離を意識した練習が増えた。すべての練習をしっかりとこなすことができ、長い距離への不安はなくなってきたが、疲労も溜まって合宿後は少し調子を落としてしまった。 調子が上がりきっていない自覚がありながらも、予選会ではチーム内4位、全体39位の1時間3分49秒。2週間後の全日本大学駅伝では長距離区間の7区を担当し、区間5位と好走した。 「正直、昨年度は暗闇の中を試行錯誤していたという感じだったんですが、2年目でやっと道筋が見えてきた感じがします」。競技でも勉強でも、自分をマネジメントする力が身についてきたと実感を語る。 [caption id="attachment_89607" align="alignnone" width="800"]
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