2022.12.21
2区でも5区でも準備はできている
今回の箱根駅伝でも重要な区間を任されるのは確実だ。
「1年前より確実に力はついていますし、経験値もかなり上がっています。プランをしっかり立てて、冷静に対処して行けば、おのずと結果が出てくると思う。どの区間でも走れる力が今はあると思うので、しっかり力を発揮できるような準備をしたいですし、前にも後ろにも安心感を与えられる走りをしたいなと思います」
伊地知の口ぶりには自信がみなぎる。

全日本大学駅伝では2年時からアンカーを務め、区間賞、区間2位と絶大な安定感を誇る
出番はおそらく、前回と同じ2区か、山上りの5区になる。
「前回はエース区間でボコボコにされたので、やり返したいっていう感情が芽生えました。前回2区を走った経験は今に生きていると思います。
5区だったとしても、上りは苦手ではないと思っていますし、夏合宿などでは上りの対策をかなりしてきています」
どうやら2区でも5区でも、準備は万端なようだ。
「どの区間を走りたいというよりも、優勝がしたいんです。『優勝するためだったら、どこでも走ります』と、監督には言っています」
思わず漏れ出た“優勝”の二文字こそ、伊地知の本音なのだろう。チームが最高の結果を残すために、伊地知は自分の役割をまっとうする覚悟を持って臨む。
今季の國學院大は下級生に好選手が多く、今回優勝すれば、来年、再来年と黄金期が到来することも考えられる。
かつて伊地知少年が青山学院大に憧れたように、箱根路で躍動する國學院大の選手たちの姿に胸を躍らせる中学生もきっと多いはずだ。
いじち・けんぞう/2001年8月23日生まれ。埼玉県鶴ヶ島市出身。170cm・53kg。埼玉・鶴ヶ島藤中→松山高。5000m14分09秒88、10000m28分29秒95、ハーフ1時間2分22秒
文/和田悟志
じっくり走り込んだ高校時代
「中学時代は青学大がずっと箱根駅伝で勝っていたんです。いつか青学大の陸上部に入りたいと思っていて、中学の卒業式で『青学で箱根駅伝に出ます』みたいなことを言っていました」 國學院大の主力として“4本柱”の1人に数えられる伊地知賢造(3年)が、中学生だった3年間、箱根駅伝で勝ち続けていたのが青山学院大だった。その絶対王者に、陸上少年が憧れたのは、当然のことだっただろう。 あれから6年もの月日が流れ、箱根駅伝の舞台で、かつて憧れていたチームに挑む。中学生だった当時は、将来がこんなことになるとは思いもしなかったに違いない。 伊地知が本格的に陸上を始めたのは中学1年生の時。小4から中1までを大阪で過ごした伊地知少年にとって、小6の時に出場した駅伝大会は楽しい思い出として残った。 だが、走る楽しさを覚えた一方で、数秒差で区間賞を逃した悔しさも忘れられなかった。そういった経験や、2歳上の兄が在籍していたこともあって、中学に入学すると迷うことなく陸上競技部に入った。 当初は「市の大会でもまったく勝てなかった」という。中2の時に、大阪から生まれ故郷の埼玉に戻ってからも陸上を続けたが、腰椎分離症になり、選手生命の危機に直面したこともあった。 だが、歩くところから再開し、補強運動で身体作りをしていくと、中学3年の時には全国大会に出場するまでに成長した。 当然、私立の強豪高校から勧誘を受けたが、腰椎分離症の経験があったので二の足を踏んだ。「強豪で揉まれるよりも、公立高校で自分のペースででき、かつ、しっかり競技をできる環境を探していた」と、かつて早大時代に箱根駅伝で2度の区間賞経験のある小林正幹や、10000m27分台ランナーの小山直城(Honda)らを輩出した公立の松山高に進学した。 高校時代の5000mの自己ベストは14分43秒97。高3時の全国高校ランキングでは100傑(14分18秒85)にも大きく届かない。「ケガもありましたが、結果的にそこまでしか行けなかったということだと思います。でも、自分はスピードを追い求めるというよりも、長い距離をじっくりと走るというタイプで、松山高校はそういう練習が多かった。環境はすごく自分に合っていたと思います」 松山高での3年間は、現在の伊地知のスタイルを形成する大事な期間になった。 次のページ 國學院大へは“逆指名”で入学國學院大へは“逆指名”で入学
高校1年生の時に見た箱根駅伝で、國學院大の1区を任された浦野雄平(現・富士通)が区間2位と好発進したのが印象に残った。 また、浦野や土方英和(現・旭化成)のように、高校時代に大きな実績がなくても、大学では第一線で活躍する國學院大の選手たちの姿を見て、いつしか國學院大を志すようになっていた。 「伸びしろのある学校に行きたかったし、國學院なら自分も何か変われるんじゃないかと思ったんです」 [caption id="attachment_71022" align="alignnone" width="1800"]
2区でも5区でも準備はできている
今回の箱根駅伝でも重要な区間を任されるのは確実だ。 「1年前より確実に力はついていますし、経験値もかなり上がっています。プランをしっかり立てて、冷静に対処して行けば、おのずと結果が出てくると思う。どの区間でも走れる力が今はあると思うので、しっかり力を発揮できるような準備をしたいですし、前にも後ろにも安心感を与えられる走りをしたいなと思います」 伊地知の口ぶりには自信がみなぎる。 [caption id="attachment_89333" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.06.19
キピエゴン 女子初の1マイル4分切りへ「自分らしくポジティブに」
-
2025.06.18
-
2025.06.18
2025.05.28
女子10000mがレース途中で異例の中断!! 大雨と雷の影響も選手困惑/アジア選手権
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.06.19
4継は全国王者・北海道栄40秒62、北海40秒64の熱戦!100mは三輪紘大10秒57の大会タイ、山崎心愛は向かい風2.1mで11秒83/IH北海道
インターハイ北海道大会優勝者一覧をチェック! ●男子 100m 三輪紘大(北海道栄3) 10秒57(-0.7)=大会タイ 400m 齋藤実都瑠(小樽桜陽3) 48秒00 1500m 吉田星(東海大札幌2) 3分45秒21 […]
2025.06.19
キピエゴン 女子初の1マイル4分切りへ「自分らしくポジティブに」
ナイキの契約アスリートであるフェイス・キピエゴン(ケニア)が女子初となる1マイル4分切りを目指すプロジェクト「Breaking4」を来週に控える6月18日、バーチャルプレスカンファレンスが開かれ、キピエゴンが改めて挑戦へ […]
2025.06.18
100m清水空跳の“桐生超え”なるか 200mは佐藤克樹と熱戦予感 女子200mの秋澤理沙も注目/IH北信越
広島インターハイ(7月25日~29日)を懸けた地区大会が6月に各地で行われる。 インターハイ北信越地区大会(新潟、長野、富山、石川、福井)は6月19日から22日までの4日間、福井県営陸上競技場(9.98スタジアム)で開か […]
2025.06.18
女子短距離のフロレス・アリエが日本国籍取得 5月に400mで日本記録上回る51秒71マーク
内閣府が発行する「官報」の第1488号が6月18日に公開され、女子短距離のフロレス・アリエ(日体大)の帰化申請が許可されたことがわかった。 日体大3年のフロレスは静岡県出身。父がペルーと日本、母はイタリアとペルーにルーツ […]
2025.06.18
円盤投はチェーが70m対決制す 女子ハンマー投はロジャースが貫禄勝ち/WAコンチネンタルツアー
6月17日、フィンランド・トゥルクで世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのパーヴォ・ヌルミ・ゲームスが開催され、男子円盤投ではオレゴン世界選手権金メダルのK.チェー(スロベニア)が70m61で優勝した。チェーは […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会