HOME ニュース、国内

2022.05.07

「トラックを突き詰めたい」 日本記録保持者・相澤晃が強さ示すV 6月のホクレン・ディスタンスで標準記録突破目指す/日本選手権10000m
「トラックを突き詰めたい」 日本記録保持者・相澤晃が強さ示すV 6月のホクレン・ディスタンスで標準記録突破目指す/日本選手権10000m


◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場)

東京五輪で悔しさを味わった男が、同じ国立競技場で新たな一歩を踏み出した。

日本選手権10000mの男子は、相澤晃(旭化成)が27分42秒85で2年ぶり2度目の優勝。オレゴン参加標準記録(27分28秒00)には届かず、この大会のでの代表内定は得られなかったが、その強さを改めて示した。

レース前の段階で、標準突破者は昨年12月に日本歴代2位・日本人学生最高の27分23秒44をマークした田澤廉(駒大)ただ1人。相澤を含め、この大会で即時内定を得るには、標準突破を果たしたうえで、3位以内に入ることが求められる。

最初の1000mが2分42秒、2000mが5分28秒とハイペース。その中で相澤は、「蒸し暑い中でのレースで、ライバルは伊藤君(達彦/Honda)だと思っていたので、マークをしつつ先頭との距離を取って走った」。大学時代からさまざまなレースで激闘を繰り広げてきた同学年を最も警戒しつつ、慎重にレースを進めた。

その後はじりじりとペースダウン。5000m通過が13分49秒となり、徐々に記録よりも勝負へと切り替わり始めた。相澤も「1周70秒ペースが遅くて体力を使ってしまった」と言う。

広告の下にコンテンツが続きます

だが、3位以内に入れば、あとは標準記録を有効期限(6月26日)までに突破すれば、代表入りが見えてくる。8000m過ぎ。相澤が果敢に前に出る。伊藤らが食らいつき、田澤はじりじりと後退。そこから、相澤が最後まで押し切った。

右こぶしを突き上げ、堂々たるフィニッシュをした相澤。この終盤の走りに、「中盤粘って、最後まで押していけたのは次の大会に向けて好材料」と手応えをつかんだ。

12月開催だった2年前の日本選手権で27分18秒75の日本新記録を打ち立て、初優勝と、五輪代表の座をつかんだ。しかし、五輪本番はコンディションを上げきれず、28分18秒37で17位。世界との差を痛感させられた。

同時に、2024年のパリ五輪に向けて「トラックを突き詰めたい」という強い想いも湧き上がった。だからこそ、貴重な経験の場となるオレゴン世界選手権出場を、あきらめるわけいにはいかない。

標準記録突破へのラストチャンスは、6月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会になる予定。「どんなにきつくても、世界選手権を目指してタイムを狙って走りたい」と相澤は力強く語る。

そして――「日本記録保持者のプライドを持って走りたい」。日本ナンバーワンランナーとして、世界の舞台を譲るつもりはない。

◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場) 東京五輪で悔しさを味わった男が、同じ国立競技場で新たな一歩を踏み出した。 日本選手権10000mの男子は、相澤晃(旭化成)が27分42秒85で2年ぶり2度目の優勝。オレゴン参加標準記録(27分28秒00)には届かず、この大会のでの代表内定は得られなかったが、その強さを改めて示した。 レース前の段階で、標準突破者は昨年12月に日本歴代2位・日本人学生最高の27分23秒44をマークした田澤廉(駒大)ただ1人。相澤を含め、この大会で即時内定を得るには、標準突破を果たしたうえで、3位以内に入ることが求められる。 最初の1000mが2分42秒、2000mが5分28秒とハイペース。その中で相澤は、「蒸し暑い中でのレースで、ライバルは伊藤君(達彦/Honda)だと思っていたので、マークをしつつ先頭との距離を取って走った」。大学時代からさまざまなレースで激闘を繰り広げてきた同学年を最も警戒しつつ、慎重にレースを進めた。 その後はじりじりとペースダウン。5000m通過が13分49秒となり、徐々に記録よりも勝負へと切り替わり始めた。相澤も「1周70秒ペースが遅くて体力を使ってしまった」と言う。 だが、3位以内に入れば、あとは標準記録を有効期限(6月26日)までに突破すれば、代表入りが見えてくる。8000m過ぎ。相澤が果敢に前に出る。伊藤らが食らいつき、田澤はじりじりと後退。そこから、相澤が最後まで押し切った。 右こぶしを突き上げ、堂々たるフィニッシュをした相澤。この終盤の走りに、「中盤粘って、最後まで押していけたのは次の大会に向けて好材料」と手応えをつかんだ。 12月開催だった2年前の日本選手権で27分18秒75の日本新記録を打ち立て、初優勝と、五輪代表の座をつかんだ。しかし、五輪本番はコンディションを上げきれず、28分18秒37で17位。世界との差を痛感させられた。 同時に、2024年のパリ五輪に向けて「トラックを突き詰めたい」という強い想いも湧き上がった。だからこそ、貴重な経験の場となるオレゴン世界選手権出場を、あきらめるわけいにはいかない。 標準記録突破へのラストチャンスは、6月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会になる予定。「どんなにきつくても、世界選手権を目指してタイムを狙って走りたい」と相澤は力強く語る。 そして――「日本記録保持者のプライドを持って走りたい」。日本ナンバーワンランナーとして、世界の舞台を譲るつもりはない。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top