東京五輪で悔しさを味わった男が、同じ国立競技場で新たな一歩を踏み出した。
日本選手権10000mの男子は、相澤晃(旭化成)が27分42秒85で2年ぶり2度目の優勝。オレゴン参加標準記録(27分28秒00)には届かず、この大会のでの代表内定は得られなかったが、その強さを改めて示した。
レース前の段階で、標準突破者は昨年12月に日本歴代2位・日本人学生最高の27分23秒44をマークした田澤廉(駒大)ただ1人。相澤を含め、この大会で即時内定を得るには、標準突破を果たしたうえで、3位以内に入ることが求められる。
最初の1000mが2分42秒、2000mが5分28秒とハイペース。その中で相澤は、「蒸し暑い中でのレースで、ライバルは伊藤君(達彦/Honda)だと思っていたので、マークをしつつ先頭との距離を取って走った」。大学時代からさまざまなレースで激闘を繰り広げてきた同学年を最も警戒しつつ、慎重にレースを進めた。
その後はじりじりとペースダウン。5000m通過が13分49秒となり、徐々に記録よりも勝負へと切り替わり始めた。相澤も「1周70秒ペースが遅くて体力を使ってしまった」と言う。
だが、3位以内に入れば、あとは標準記録を有効期限(6月26日)までに突破すれば、代表入りが見えてくる。8000m過ぎ。相澤が果敢に前に出る。伊藤らが食らいつき、田澤はじりじりと後退。そこから、相澤が最後まで押し切った。
右こぶしを突き上げ、堂々たるフィニッシュをした相澤。この終盤の走りに、「中盤粘って、最後まで押していけたのは次の大会に向けて好材料」と手応えをつかんだ。
12月開催だった2年前の日本選手権で27分18秒75の日本新記録を打ち立て、初優勝と、五輪代表の座をつかんだ。しかし、五輪本番はコンディションを上げきれず、28分18秒37で17位。世界との差を痛感させられた。
同時に、2024年のパリ五輪に向けて「トラックを突き詰めたい」という強い想いも湧き上がった。だからこそ、貴重な経験の場となるオレゴン世界選手権出場を、あきらめるわけいにはいかない。
標準記録突破へのラストチャンスは、6月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会になる予定。「どんなにきつくても、世界選手権を目指してタイムを狙って走りたい」と相澤は力強く語る。
そして――「日本記録保持者のプライドを持って走りたい」。日本ナンバーワンランナーとして、世界の舞台を譲るつもりはない。
◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場)
東京五輪で悔しさを味わった男が、同じ国立競技場で新たな一歩を踏み出した。
日本選手権10000mの男子は、相澤晃(旭化成)が27分42秒85で2年ぶり2度目の優勝。オレゴン参加標準記録(27分28秒00)には届かず、この大会のでの代表内定は得られなかったが、その強さを改めて示した。
レース前の段階で、標準突破者は昨年12月に日本歴代2位・日本人学生最高の27分23秒44をマークした田澤廉(駒大)ただ1人。相澤を含め、この大会で即時内定を得るには、標準突破を果たしたうえで、3位以内に入ることが求められる。
最初の1000mが2分42秒、2000mが5分28秒とハイペース。その中で相澤は、「蒸し暑い中でのレースで、ライバルは伊藤君(達彦/Honda)だと思っていたので、マークをしつつ先頭との距離を取って走った」。大学時代からさまざまなレースで激闘を繰り広げてきた同学年を最も警戒しつつ、慎重にレースを進めた。
その後はじりじりとペースダウン。5000m通過が13分49秒となり、徐々に記録よりも勝負へと切り替わり始めた。相澤も「1周70秒ペースが遅くて体力を使ってしまった」と言う。
だが、3位以内に入れば、あとは標準記録を有効期限(6月26日)までに突破すれば、代表入りが見えてくる。8000m過ぎ。相澤が果敢に前に出る。伊藤らが食らいつき、田澤はじりじりと後退。そこから、相澤が最後まで押し切った。
右こぶしを突き上げ、堂々たるフィニッシュをした相澤。この終盤の走りに、「中盤粘って、最後まで押していけたのは次の大会に向けて好材料」と手応えをつかんだ。
12月開催だった2年前の日本選手権で27分18秒75の日本新記録を打ち立て、初優勝と、五輪代表の座をつかんだ。しかし、五輪本番はコンディションを上げきれず、28分18秒37で17位。世界との差を痛感させられた。
同時に、2024年のパリ五輪に向けて「トラックを突き詰めたい」という強い想いも湧き上がった。だからこそ、貴重な経験の場となるオレゴン世界選手権出場を、あきらめるわけいにはいかない。
標準記録突破へのラストチャンスは、6月22日のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会になる予定。「どんなにきつくても、世界選手権を目指してタイムを狙って走りたい」と相澤は力強く語る。
そして――「日本記録保持者のプライドを持って走りたい」。日本ナンバーワンランナーとして、世界の舞台を譲るつもりはない。
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