2021.12.14
長く待たされた東京五輪も始まってしまえばあっという間に幕を閉じた。アスリートたちはすでに2022年オレゴン世界選手権、そして3年後のパリ五輪に向けて歩みを進めている。男
子走幅跳で6位入賞を果たした橋岡優輝(富士通)もその一人。すでに冬季練習も本格化し、苦しい練習の日々を送っている。届かなかったものを手にするために。日本陸上界を背負っ
て立つ男の瞳は、飢えた獣のようだった。
構成/向永拓史 撮影/小川和行
出力が上がったからこその難しさ
6位入賞を果たした東京五輪を終えた直後は、悔しさのあまりすぐに選手村を離れた。その後の2週間は何も手につかず、テレビも見ずに情報をシャットアウト。「悔しいだけだった」。トップアスリートとして迎えた初めてのオリンピックイヤーをどう振り返るのか。
――2021年はどんなシーズンだったと総括していますか。
橋岡 順調と言えば順調だったと思いますが、いまいち「つかみきれない」シーズンだったと思います。技術的、感覚的な部分もそうですし、アベレージを考えれば日本記録(8m40)も更新できたと思います。そういった部分で、目標を達成しきれなかった。あと少し、という感じです。
―― 毎年、「あと少し」という言葉が出ますね。
橋岡 全部達成するより、それくらいの感じがちょうどいいのかなって思います。
――初戦となった3月の日本選手権室内で、室内日本記録の8m19を跳びました。
橋岡 室内では助走路や助走距離も(屋外とは)違うので感覚的には少し違うのですが、あの時期の室内であれだけ跳べたというのは自信がつきました。
―― 屋外初戦だった4月の織田記念を振り返ると?
橋岡 21年に関しては織田記念が一番調子は良かったですね。ほとんどファウルでしたが、1本は実測で8m50くらい出ていました。感覚的にもそれが一番良かったと思います。
――6本ともすごい飛距離でした。初戦から調子が良かったのは、何か冬季、室内とつながった部分があったのでしょうか。
橋岡 普段より少し早いシーズンインだったので、例年以上に4月から身体が動いたのかもしれません。もしくは、4月で身体が動ききらないがゆえに何かがうまく噛み合ったか。それともコントロールできなかったからこそ、素直な跳躍になったのか。なぜ調子が良かったのかは今ひとつわかっていないのですが……。
―― 今シーズンはファウルが多かったです。その原因はどう分析されたのでしょう。
橋岡 まず身体がすごく動くようになったことです。今までは自分がコントロールできる範囲で踏み切りまで持っていけていました。今季はそれよりももう一段階出力が上がるようになって、身体が動くところでコントロールできない部分がありました。動きはいいけどファウルになる。
――5月のREADY STEADY TOKYOでは8m07(+1.8)で優勝しましたが4回ファウル。6月の日本GP新潟大会では8m23(+1.3)も2回ファウルでした。日本選手権も最初の2回失敗(8m36 /+0.6の自己新で優勝)。橋岡選手をもってしても修正が難しかったですか。
橋岡 東京五輪まで、結構大きな出力を出したまま跳んでいました。だから、ファウルはするけどある程度記録が出る。そこはなかなか修正できませんでした。
――課題だった空中姿勢から着地はどうですか?
橋岡 だいぶうまくなってきたと思いますが、相変わらずへたくそです(笑)。なるべく脚を前に出してキープすることしか考えていない。シザースは本当に〝バカ難しい〟ですね。
――一方で、シーズン通して不調だった時期というのはないように思いました。
橋岡 そうですね。調整がうまくいかない、という感じはありませんでした。さすがにオリンピックはもう少し跳びたかったなと思っていますが。
この冬、さらなるベースアップを目指す
ベースアップが進み手応えをつかんだシーズンだったが、やはり東京五輪の悔しさが消えることはない。2022年にはオレゴン世界選手権を控える。3年後のパリ五輪は「待ち遠しくない」。やることは山積み。だからこそ前を向き、突き進んでいる。
この続きは2021年12月14日発売の『月刊陸上競技1月号』をご覧ください。
定期購読はこちらから
長く待たされた東京五輪も始まってしまえばあっという間に幕を閉じた。アスリートたちはすでに2022年オレゴン世界選手権、そして3年後のパリ五輪に向けて歩みを進めている。男
子走幅跳で6位入賞を果たした橋岡優輝(富士通)もその一人。すでに冬季練習も本格化し、苦しい練習の日々を送っている。届かなかったものを手にするために。日本陸上界を背負っ
て立つ男の瞳は、飢えた獣のようだった。
構成/向永拓史 撮影/小川和行出力が上がったからこその難しさ
6位入賞を果たした東京五輪を終えた直後は、悔しさのあまりすぐに選手村を離れた。その後の2週間は何も手につかず、テレビも見ずに情報をシャットアウト。「悔しいだけだった」。トップアスリートとして迎えた初めてのオリンピックイヤーをどう振り返るのか。――2021年はどんなシーズンだったと総括していますか。橋岡 順調と言えば順調だったと思いますが、いまいち「つかみきれない」シーズンだったと思います。技術的、感覚的な部分もそうですし、アベレージを考えれば日本記録(8m40)も更新できたと思います。そういった部分で、目標を達成しきれなかった。あと少し、という感じです。―― 毎年、「あと少し」という言葉が出ますね。橋岡 全部達成するより、それくらいの感じがちょうどいいのかなって思います。――初戦となった3月の日本選手権室内で、室内日本記録の8m19を跳びました。橋岡 室内では助走路や助走距離も(屋外とは)違うので感覚的には少し違うのですが、あの時期の室内であれだけ跳べたというのは自信がつきました。―― 屋外初戦だった4月の織田記念を振り返ると?橋岡 21年に関しては織田記念が一番調子は良かったですね。ほとんどファウルでしたが、1本は実測で8m50くらい出ていました。感覚的にもそれが一番良かったと思います。――6本ともすごい飛距離でした。初戦から調子が良かったのは、何か冬季、室内とつながった部分があったのでしょうか。橋岡 普段より少し早いシーズンインだったので、例年以上に4月から身体が動いたのかもしれません。もしくは、4月で身体が動ききらないがゆえに何かがうまく噛み合ったか。それともコントロールできなかったからこそ、素直な跳躍になったのか。なぜ調子が良かったのかは今ひとつわかっていないのですが……。
―― 今シーズンはファウルが多かったです。その原因はどう分析されたのでしょう。橋岡 まず身体がすごく動くようになったことです。今までは自分がコントロールできる範囲で踏み切りまで持っていけていました。今季はそれよりももう一段階出力が上がるようになって、身体が動くところでコントロールできない部分がありました。動きはいいけどファウルになる。――5月のREADY STEADY TOKYOでは8m07(+1.8)で優勝しましたが4回ファウル。6月の日本GP新潟大会では8m23(+1.3)も2回ファウルでした。日本選手権も最初の2回失敗(8m36 /+0.6の自己新で優勝)。橋岡選手をもってしても修正が難しかったですか。橋岡 東京五輪まで、結構大きな出力を出したまま跳んでいました。だから、ファウルはするけどある程度記録が出る。そこはなかなか修正できませんでした。
――課題だった空中姿勢から着地はどうですか?橋岡 だいぶうまくなってきたと思いますが、相変わらずへたくそです(笑)。なるべく脚を前に出してキープすることしか考えていない。シザースは本当に〝バカ難しい〟ですね。――一方で、シーズン通して不調だった時期というのはないように思いました。橋岡 そうですね。調整がうまくいかない、という感じはありませんでした。さすがにオリンピックはもう少し跳びたかったなと思っていますが。この冬、さらなるベースアップを目指す
ベースアップが進み手応えをつかんだシーズンだったが、やはり東京五輪の悔しさが消えることはない。2022年にはオレゴン世界選手権を控える。3年後のパリ五輪は「待ち遠しくない」。やることは山積み。だからこそ前を向き、突き進んでいる。この続きは2021年12月14日発売の『月刊陸上競技1月号』をご覧ください。RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
Latest articles 最新の記事
2026.10.26
来年の全日本大学女子駅伝の出場枠が決定!関東が1枠増の10枠、関西は5枠キープ 東北と東海が2枠に
日本学生陸上競技連合は、来年の第45回全日本大学女子駅伝の各地区学連出場枠について発表した。 同大会の出場枠は今年10月の第44回大会で上位8位までに入った学校に対して、シード権を付与。次に、9位から17位に入ったチーム […]
2026.10.26
村竹ラシッドが奄美大島にハードル20台を寄贈「たくさん練習してください!」JAL陸上教室が縁
男子110mハードル日本記録保持者の村竹ラシッド(JAL)が、鹿児島県奄美市にある名瀬運動公園陸上競技場にハードル10台を寄贈した。 所属先のJALが2022年に発足した「JALアスリートアカデミー」で、何度も奄美大島を […]
2026.10.26
世界選手権銀メダル 36歳・カールストレームが1時間23分24秒の大会新/WA競歩ツアー
世界陸連(WA)競歩ツアー・シルバーのルサティア競歩が10月24日、ドイツ・ツィッタウで開催され、男子ハーフマラソン競歩ではブダペスト世界選手権20km競歩銀メダルのP.カールストレーム(スウェーデン)が1時間23分24 […]
2026.10.26
チェプキルイ世界歴代5位タイの1時間3分51秒! 男子はクウィゼラが世界歴代8位の58分03秒/バレンシアハーフ
バレンシアハーフマラソンが10月25日、スペインの同地で開催され、男子はR.クウィゼラ(ブルンジ)が世界歴代8位の58分03秒で、女子はS.チェプキルイ(ケニア)が世界歴代5位タイの1時間3分51秒で優勝した。 男子を制 […]
Latest Issue
最新号

2026年11月号 (10月14日発売)
アジア大会総特集
駅伝プレビュー
