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2025.11.21

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100mアジア記録保持者・蘇炳添が引退レース 「これからはさらに速い選手が現われるのを見たい」
100mアジア記録保持者・蘇炳添が引退レース 「これからはさらに速い選手が現われるのを見たい」

21年東京五輪100m6位の蘇炳添

11月20日、中国全国運動会の最終日が行われ、男子100mで9秒83のアジア記録を持つ蘇炳添(中国)が、現役最後のレースに臨んだ。

蘇は1989年生まれの36歳。高校時代から本格的に陸上競技に取り組み、2009年の中国選手権100mで初優勝を飾って以降、中国を代表するスプリンターとして長く活躍してきた。

アジア選手権では11年、13年と100mで連覇。日本の競技会にもたびたび出場し、12年ゴールデンGPでは10秒04(+2.9)の好タイムで優勝を飾っている。

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その後も、アジア大会などでは日本勢のライバルとして立ちはだかり、15年にアジア出身選手で100m初の9秒台をマークすると、18年には9秒91でアジア・タイ記録樹立。21年東京五輪では準決勝でアジア新の9秒83をマークし、決勝は9秒98で6位入賞を果たした。4×100mリレーでも銅メダルを獲得している。

身長は172cmと大柄ではないものの、鍛え抜かれた下半身から生まれる高速ピッチで欧米の強豪と互角以上に渡り合い、中国国内では「亜州飛人(アジアの飛人)」と呼ばれ、多くの尊敬を集めてきた。

しかし近年は左膝の故障が相次ぎ、昨年のパリ五輪にも出場できなかった。昨年末には、地元・広東省で行われる全国運動会を引退レースとすることを表明していた。

当初は100mでの出場を目指していたものの標準記録を突破できず、今大会は4×100mリレーで広東省代表として出場。蘇の最後の勇姿を一目見ようと、会場には4万5000人の観客が詰めかけたという。

1走を務めた蘇は、往年と変わらないスタートダッシュを見せて、チームの4位入賞に貢献。会場からは惜しみない拍手が送られた。

レース後にはスパイクを脱いで、競技場を1周してファンの声援に応えた蘇。引退セレモニーでは「この4年間は本当に辛かったですが、理由もなく、言葉もなく、皆様にお別れを言いたくなかったので、頑張り抜きました。ここまで来られたこと、故郷の皆様にお別れを言えることを、とても光栄に思います」と感謝の気持ちを述べた。

「10秒の壁はアジア人が破ることができなかった記録だったが、私は一歩一歩それを達成してきた。10秒を切れば、オリンピックの決勝の舞台に立てる」と語り、「現役の間は最速スプリンターで居続けたいと思っていました。ただ、これからはさらに速い選手が現われるのを見たいです」と、後輩スプリンターたちに期待を込めた。

200mで19秒88のアジア記録を持ち、ともにリレーで活躍してきた謝震業は「蘇と経験を共有できたことを感謝したい」と自身のSNSに綴っている。

11月20日、中国全国運動会の最終日が行われ、男子100mで9秒83のアジア記録を持つ蘇炳添(中国)が、現役最後のレースに臨んだ。 蘇は1989年生まれの36歳。高校時代から本格的に陸上競技に取り組み、2009年の中国選手権100mで初優勝を飾って以降、中国を代表するスプリンターとして長く活躍してきた。 アジア選手権では11年、13年と100mで連覇。日本の競技会にもたびたび出場し、12年ゴールデンGPでは10秒04(+2.9)の好タイムで優勝を飾っている。 その後も、アジア大会などでは日本勢のライバルとして立ちはだかり、15年にアジア出身選手で100m初の9秒台をマークすると、18年には9秒91でアジア・タイ記録樹立。21年東京五輪では準決勝でアジア新の9秒83をマークし、決勝は9秒98で6位入賞を果たした。4×100mリレーでも銅メダルを獲得している。 身長は172cmと大柄ではないものの、鍛え抜かれた下半身から生まれる高速ピッチで欧米の強豪と互角以上に渡り合い、中国国内では「亜州飛人(アジアの飛人)」と呼ばれ、多くの尊敬を集めてきた。 しかし近年は左膝の故障が相次ぎ、昨年のパリ五輪にも出場できなかった。昨年末には、地元・広東省で行われる全国運動会を引退レースとすることを表明していた。 当初は100mでの出場を目指していたものの標準記録を突破できず、今大会は4×100mリレーで広東省代表として出場。蘇の最後の勇姿を一目見ようと、会場には4万5000人の観客が詰めかけたという。 1走を務めた蘇は、往年と変わらないスタートダッシュを見せて、チームの4位入賞に貢献。会場からは惜しみない拍手が送られた。 レース後にはスパイクを脱いで、競技場を1周してファンの声援に応えた蘇。引退セレモニーでは「この4年間は本当に辛かったですが、理由もなく、言葉もなく、皆様にお別れを言いたくなかったので、頑張り抜きました。ここまで来られたこと、故郷の皆様にお別れを言えることを、とても光栄に思います」と感謝の気持ちを述べた。 「10秒の壁はアジア人が破ることができなかった記録だったが、私は一歩一歩それを達成してきた。10秒を切れば、オリンピックの決勝の舞台に立てる」と語り、「現役の間は最速スプリンターで居続けたいと思っていました。ただ、これからはさらに速い選手が現われるのを見たいです」と、後輩スプリンターたちに期待を込めた。 200mで19秒88のアジア記録を持ち、ともにリレーで活躍してきた謝震業は「蘇と経験を共有できたことを感謝したい」と自身のSNSに綴っている。

【動画】蘇炳添のラストレース

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