2025.06.30
トレーニングは母校の中学校で
――陸上を始めたのは。
井上 中学校(羽ノ浦中)からです。小学校の頃からずっと柔道をやっており、中学校でも柔道部に入ろうと思っていましたが、柔道部がなくて、友達と一緒に柔道の体力作りにもなるという理由で陸上部を選びました。入学した時がちょうどコロナ禍で、学校が再開された秋から、先生の勧めもあり棒高跳を始めました。たまたま通っていた中学校に棒高跳用の施設があり、専門の先生もいらっしゃったことが大きかったと思います。
――中学校で柔道は。
井上 大会などには出ていませんが、小学校時代から通っていた道場に中学時代も通っていました。
――柔道の実績を教えてください。
井上 小学校の頃は、一番軽い階級で県の大会で優勝したこともあります。中学校の時に黒帯を取りました。
――いつから陸上に専念することに。
井上 中学3年生の時に棒高跳で全中に出場することができて、5位入賞。秋のU16大会でも4位と連続して、全国入賞し、その頃から棒高跳の魅力にハマるようになりました。そこで、高校は陸上で、棒高跳に専念しようと決めました。
――高校は阿南光高校へ進学しました。
井上 自宅から自転車で通える高校だったので。県内の高校で棒高跳の設備が整っているところはほとんどなく、練習は今も中学校に通って行っています。いずれも自転車で通える範囲(自宅から5~6km圏内)なので助かっています。
――今も練習は母校の中学ですか。
井上 そうですね。高校の陸上部員も僕と棒高跳をやっている後輩、走高跳が専門の1年生の3人だけなので、その3人で練習しています。人数は少ないですが、自分たちのペースで考えながら、取り組めるのが利点です。ポールも香川県はじめ他県の方からお借りするなど、周囲の方々の協力や支援があればこそで、とても感謝しています。

24年国民スポーツ大会で全国大会初タイトルを手にした井上直哉選手
――さすがに柔道に未練はないですか。
井上 柔道は中学まででやり切ったという思いです。五輪や世界大会などテレビ観戦することはありますが、今はまったく練習もしていないので……。阿部きょうだいの活躍をテレビで見て応援しています。
――井上選手にとって棒高跳の魅力、楽しさとは。
井上 自己記録を跳んでバーからマットへ落ちるまでの空中での瞬間が何とも言えない快感です。その感覚を味わうために日々練習しています。
――休日の過ごし方を教えてください。
井上 ゲームをしたり、HIKAKINのYouTubeを視たりしてリラックスして過ごすことが多いです。
――勝負飯や試合でのルーティン、縁起担ぎなどはありますか。
井上 決まったルーティンなどはありませんが、好きな食べ物は天津飯、嫌いなのは梅干しです(笑)。寒いのは苦手ですが、暑さは大丈夫。試合の際は、友達とおしゃべりするなどしてリラックスすることを心掛けています。
――今考えている将来の夢や目標はありますか。
井上 小さい頃から五輪の柔道などを見てあこがれていました。競技は陸上に変わりましたが、3年後にロス五輪があります。まずはそれにチャレンジすることが一番の目標です。将来のことは決めていませんが、競技を続け、世界で活躍できる選手になりたいと思っています。
構成/花木雫
日本記録保持者からのアドバイス
――5月末の徳島県大会、6月中旬の四国大会を5m21、5m20と、いずれも大会新記録で連覇されました。 井上 大阪室内で5m10を跳んで優勝して以降、県大会までに5m10以上が5試合、20以上が1試合と記録的には安定しているように見せますが、室内の試合からずっと助走が安定しないという課題がありました。自分としてはどこがという以前に悪いところだらけで、悩んでいました。そうしたなか3月末の全国高体連合宿で、男子棒高跳のコーチだった日本記録保持者の澤野大地さん(日大准教授)からアドバイスをいただき、助走を見直したことが、記録の安定につながっています。 ――具体的にどのように見直されましたか。 井上 昨年から16歩助走ですが、昨シーズンは何も考えず、ただ徐々にスピードを上げていくというイメージの助走でした。それをスタートして最初の10歩でリズムをつかみ、安定したテンポにして、最後の6歩で駆け上がるイメージで行うように見直しました。それによって突っ込みも以前より安定し、低い高さの失敗跳躍、無駄な試技も少なくなり、試合全体としてまとまってきたと感じています。 ――助走以外に成長したと感じる部分はありますか。 井上 助走が安定したことで、課題の空中動作も少しずつ改善してきていると感じています。スウィングや力の加え方など、無駄な動きが少しずつなくなってきていると思います。 ――動きや技術の参考にしている選手はいますか。 井上 世界で活躍している選手の動きは、レベルが違い過ぎて参考にならない部分も多いので、大学で活躍されている原口篤志さん(東大阪大)や北田琉偉さん(日体大)といった方の動きは、試合で観察したり、動画を見て参考にさせてもらっています。 ――県大会、四国大会を大会新記録でトップ通過されました。現在のコンディションは。 井上 冬季からケガもなく順調です。助走が安定してきたことで、試合内容も安定し、記録も5m20以上です。今は15.7フィート・175ポンドのポールから、16フィート・170ポンドのポールにシフトしている途中で、そのMAXポールがしっかり使いこなせるようになれば、5m40以上が跳べる手応えはつかんでいます。 ――高校最後となる今シーズンの目標は。 井上 まずは昨年敗れているインターハイ(5位)で、5m30以上の自己ベストを跳んで優勝すること。国スポ、U20日本選手権も勝って屋外の高校主要大会3冠が取れればと考えています。記録的にはインドアも含め、卒業までに5m51の高校記録を更新することが目標です。 ――それに向けて課題は。 井上 走力強化はもちろん、助走もさらに安定させ、課題の空中動作がまとまってくれば、記録もついてくると感じています。大きな試合でもあまり緊張するほうではないので、しっかり集中力を高め、どの試合も勝ち切りたいです。トレーニングは母校の中学校で
――陸上を始めたのは。 井上 中学校(羽ノ浦中)からです。小学校の頃からずっと柔道をやっており、中学校でも柔道部に入ろうと思っていましたが、柔道部がなくて、友達と一緒に柔道の体力作りにもなるという理由で陸上部を選びました。入学した時がちょうどコロナ禍で、学校が再開された秋から、先生の勧めもあり棒高跳を始めました。たまたま通っていた中学校に棒高跳用の施設があり、専門の先生もいらっしゃったことが大きかったと思います。 ――中学校で柔道は。 井上 大会などには出ていませんが、小学校時代から通っていた道場に中学時代も通っていました。 ――柔道の実績を教えてください。 井上 小学校の頃は、一番軽い階級で県の大会で優勝したこともあります。中学校の時に黒帯を取りました。 ――いつから陸上に専念することに。 井上 中学3年生の時に棒高跳で全中に出場することができて、5位入賞。秋のU16大会でも4位と連続して、全国入賞し、その頃から棒高跳の魅力にハマるようになりました。そこで、高校は陸上で、棒高跳に専念しようと決めました。 ――高校は阿南光高校へ進学しました。 井上 自宅から自転車で通える高校だったので。県内の高校で棒高跳の設備が整っているところはほとんどなく、練習は今も中学校に通って行っています。いずれも自転車で通える範囲(自宅から5~6km圏内)なので助かっています。 ――今も練習は母校の中学ですか。 井上 そうですね。高校の陸上部員も僕と棒高跳をやっている後輩、走高跳が専門の1年生の3人だけなので、その3人で練習しています。人数は少ないですが、自分たちのペースで考えながら、取り組めるのが利点です。ポールも香川県はじめ他県の方からお借りするなど、周囲の方々の協力や支援があればこそで、とても感謝しています。 [caption id="attachment_174785" align="alignnone" width="800"]
井上直哉選手のプロフィールをチェック!
◎いのうえ・なおや/2007年6月21日生まれ。徳島県阿南市出身。徳島・羽ノ浦中→阿南光高。中学から陸上を始め、3年時の全中・男子棒高跳で5位。秋のU16大会では4m30をクリアし、4位に食い込んでいる。高校入学後、1年時からインターハイに駒を進めるも記録なし。しかし、秋の四国高校新人選手権で4m80を跳び、優勝している。昨年はインターハイこそ5位に終わったものの、10月の国スポで5m10を跳んで1位。続くU18大会でも5m15(高2歴代6位タイ)をクリアして制している。年が明けた2月の大阪室内でも5m10を跳びU20の部を制覇。最終学年となる今季は、県大会で5m21(高校歴代18位タイ)の自己ベストをマークしV。四国大会も5m20の大会新で制するなど、初のインターハイ制覇に向けて順調な様子だ。身長173cm。 [caption id="attachment_174787" align="alignnone" width="800"]
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