HOME 駅伝

2020.11.22

【駅伝】JP日本郵政Gが大会新V「みんなの頑張り」でつかんだ連覇/クイーンズ駅伝
【駅伝】JP日本郵政Gが大会新V「みんなの頑張り」でつかんだ連覇/クイーンズ駅伝


◇全日本実業団対抗女子駅伝(11月22日/宮城県)

 実業団の駅伝ナンバーワンを決める全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)が11月22日、宮城県(松島町~仙台市)を巡る6区区間42.195kmのコースで行われ、JP日本郵政グループが2時間13分34秒の大会新記録で2年連続3回目の優勝を果たした。

 まさに女王らしい駅伝だった。「最初から自分のペースで良い流れでタスキをつなぐのが目標だった」という1区の廣中璃梨佳は、まさに圧巻の走り。2位集団に31秒差をつけて区間賞発進を見せた。

広告の下にコンテンツが続きます

 3区では鍋島莉奈が区間新の快走。だが、「個人としては差をつけられて悔しい」と語るように、積水化学の新谷仁美に逆転を許して55秒差をつけられてしまう。

 積水化学を追う展開となるなか、優勝をたぐり寄せたのが東京五輪マラソン代表の鈴木亜由子だった。今年1月に右ハムストリングスの肉離れを発症していた鈴木は、10月の記録会5000mで復帰。復調途上にあった。

 それでも高橋昌彦監督が「チームの柱」と称える鈴木を、6区の6.795kmではなく、10kmある5区に配置。「みんなの頑張りがあって、必死でつないでくれたタスキ。自分は追いついて(大西ひかりに)楽に走ってもらえるように積極的に追いかけました」と、その期待に応えた鈴木は、55秒あった積水化学との差を7km付近で逆転し、逆にその差を29秒に広げた。

 鈴木はケガを乗り越えたことで、「心身ともにタフになった」。それをこの駅伝で「かたちになった」と手応えをつかんだという。それでも、「まだ力不足。さらに高みを目指したい」と来年の東京五輪を見据えていた。

 日本郵政グループは一度も3位以下に順位を落とすことのない盤石のレース運び。「スピード練習をできていた」(高橋監督)という大西ひかりも区間賞。「トップでタスキを運ぶことができてうれしいです」と笑顔でVテープを切った。

 JP日本郵政グループは、区間ごとの距離は違うものの、従来の大会記録(2時間14分22秒/デンソー、15年)を大幅に更新する2時間13分34秒で完勝。「そこまで細かく他のチームとの時間差は考えていなかったが、力のある選手で組めて、どこかで逆転できるだろうと思った」と高橋監督が言うように、まさに女王らしい盤石のタスキリレーだった。

 コロナ禍で海外遠征などができなかったが、そのぶん、全員が一緒にトレーニングを積む時間が増えた。「やり方さえ工夫すれば強化の方法はある。若手とベテランが融合してくれた」と高橋監督はチームの成長を感じ取っている。

「全員が今の力と持ち味を出してつかんだ連覇。みんなの頑張りに刺激を受けたし、今の力以上の走りができました。これをまた次につなげていきたい」(鈴木)

 3連覇、その先に向けて、JP日本郵政グループの黄金時代が続きそうだ。

■優勝コメント
1区 廣中璃梨佳
「自分の走りは最初から自分のペースでいい流れでつなぐのが目標だった。何より2連覇を掲げてやってきたので、達成できてすごくうれしいです。駅伝はチーム競技で1年に1回の楽しみ。連覇を自信に変えて、自分に勝つレースを日本選手権でしたい」
2区 菅田雅香
「チームの目標としては連覇が達成できてうれしいが、1区のいい流れを崩す走りになってしまって申し訳ない。悔しい気持ちがあります」
3区 鍋島莉奈
「想像していたより早く後ろが来た。個人的には悔しい差をつけられてしまったが、目標としていた連覇が達成できたのはうれしいです。次は日本選手権。ロードとトラックでは自分の強みが違うので、全力で頑張りたいと思います」
4区 宇都宮恵理
「チームの目標だった連覇を達成できてうれしい。個人的には人生最後の駅伝。出し切った気持ちはあるので悔いはありません」
5区 鈴木亜由子
「全員が今の力と持ち味を出してつかんだ連覇。ケガで試行錯誤をしてきましたが、心身ともにタフさがついてきた。みんなの頑張りに刺激を受けました」
6区 大西ひかり
「連覇がかかっていて緊張しましたが、みんなの思いがつまったタスキを先頭で運べてうれしかった」

高橋昌彦監督
「去年から成長が見られた。途中リードされたが、落ち着いて対処してくれたと思います。来年は会社として150周年の記念の年。3連覇を目指して強化していきたい」

◇全日本実業団対抗女子駅伝(11月22日/宮城県)  実業団の駅伝ナンバーワンを決める全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)が11月22日、宮城県(松島町~仙台市)を巡る6区区間42.195kmのコースで行われ、JP日本郵政グループが2時間13分34秒の大会新記録で2年連続3回目の優勝を果たした。  まさに女王らしい駅伝だった。「最初から自分のペースで良い流れでタスキをつなぐのが目標だった」という1区の廣中璃梨佳は、まさに圧巻の走り。2位集団に31秒差をつけて区間賞発進を見せた。  3区では鍋島莉奈が区間新の快走。だが、「個人としては差をつけられて悔しい」と語るように、積水化学の新谷仁美に逆転を許して55秒差をつけられてしまう。  積水化学を追う展開となるなか、優勝をたぐり寄せたのが東京五輪マラソン代表の鈴木亜由子だった。今年1月に右ハムストリングスの肉離れを発症していた鈴木は、10月の記録会5000mで復帰。復調途上にあった。  それでも高橋昌彦監督が「チームの柱」と称える鈴木を、6区の6.795kmではなく、10kmある5区に配置。「みんなの頑張りがあって、必死でつないでくれたタスキ。自分は追いついて(大西ひかりに)楽に走ってもらえるように積極的に追いかけました」と、その期待に応えた鈴木は、55秒あった積水化学との差を7km付近で逆転し、逆にその差を29秒に広げた。  鈴木はケガを乗り越えたことで、「心身ともにタフになった」。それをこの駅伝で「かたちになった」と手応えをつかんだという。それでも、「まだ力不足。さらに高みを目指したい」と来年の東京五輪を見据えていた。  日本郵政グループは一度も3位以下に順位を落とすことのない盤石のレース運び。「スピード練習をできていた」(高橋監督)という大西ひかりも区間賞。「トップでタスキを運ぶことができてうれしいです」と笑顔でVテープを切った。  JP日本郵政グループは、区間ごとの距離は違うものの、従来の大会記録(2時間14分22秒/デンソー、15年)を大幅に更新する2時間13分34秒で完勝。「そこまで細かく他のチームとの時間差は考えていなかったが、力のある選手で組めて、どこかで逆転できるだろうと思った」と高橋監督が言うように、まさに女王らしい盤石のタスキリレーだった。  コロナ禍で海外遠征などができなかったが、そのぶん、全員が一緒にトレーニングを積む時間が増えた。「やり方さえ工夫すれば強化の方法はある。若手とベテランが融合してくれた」と高橋監督はチームの成長を感じ取っている。 「全員が今の力と持ち味を出してつかんだ連覇。みんなの頑張りに刺激を受けたし、今の力以上の走りができました。これをまた次につなげていきたい」(鈴木)  3連覇、その先に向けて、JP日本郵政グループの黄金時代が続きそうだ。 ■優勝コメント 1区 廣中璃梨佳 「自分の走りは最初から自分のペースでいい流れでつなぐのが目標だった。何より2連覇を掲げてやってきたので、達成できてすごくうれしいです。駅伝はチーム競技で1年に1回の楽しみ。連覇を自信に変えて、自分に勝つレースを日本選手権でしたい」 2区 菅田雅香 「チームの目標としては連覇が達成できてうれしいが、1区のいい流れを崩す走りになってしまって申し訳ない。悔しい気持ちがあります」 3区 鍋島莉奈 「想像していたより早く後ろが来た。個人的には悔しい差をつけられてしまったが、目標としていた連覇が達成できたのはうれしいです。次は日本選手権。ロードとトラックでは自分の強みが違うので、全力で頑張りたいと思います」 4区 宇都宮恵理 「チームの目標だった連覇を達成できてうれしい。個人的には人生最後の駅伝。出し切った気持ちはあるので悔いはありません」 5区 鈴木亜由子 「全員が今の力と持ち味を出してつかんだ連覇。ケガで試行錯誤をしてきましたが、心身ともにタフさがついてきた。みんなの頑張りに刺激を受けました」 6区 大西ひかり 「連覇がかかっていて緊張しましたが、みんなの思いがつまったタスキを先頭で運べてうれしかった」 高橋昌彦監督 「去年から成長が見られた。途中リードされたが、落ち着いて対処してくれたと思います。来年は会社として150周年の記念の年。3連覇を目指して強化していきたい」

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.04

千葉男子は常盤松が2年ぶり全国切符 山梨は男子の塩山が32年ぶり 女子は櫛形が20回目の全国へ/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場権を懸けた県大会が、11月1日から3日にかけ、6県で行われた。 1日に行われた千葉県男子は、常盤松が2年ぶり2回目の全国出場を決めた。1区・池田佳十(3年)が区間4位で滑 […]

NEWS 埼玉栄3年連続男女V 女子は1区福山の区間新含む全員好走で1時間8分28秒 男子は安定したレースで9連覇/埼玉県高校駅伝

2025.11.04

埼玉栄3年連続男女V 女子は1区福山の区間新含む全員好走で1時間8分28秒 男子は安定したレースで9連覇/埼玉県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた埼玉県高校駅伝が11月4日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場周辺コースで行われ、埼玉栄が男女Vを果たした。女子(5区間21.0975km)は1時間8分28秒で3年連続28回目の制覇。男子(7区間 […]

NEWS 東海大相模が中盤で抜け出し4年ぶり制覇 女子は白鵬女が2区で首位浮上し5連覇/神奈川県高校駅伝

2025.11.04

東海大相模が中盤で抜け出し4年ぶり制覇 女子は白鵬女が2区で首位浮上し5連覇/神奈川県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた神奈川県高校駅伝が11月3日、横浜市の日産フィールド小机及び付設ハーフマラソンコースで行われた。男子(7区間42.4km)は、東海大相模が大会新となる2時間4分24秒で4年ぶり3回目、女子(5 […]

NEWS 2025年最も輝いたアスリートは!?選手、ファン、メディアみんなで選ぶ「GetsurikuAwards2025」投票スタート!

2025.11.04

2025年最も輝いたアスリートは!?選手、ファン、メディアみんなで選ぶ「GetsurikuAwards2025」投票スタート!

この度、そのシーズンで最も輝きを放ったアスリートを表彰する 「GetsurikuAwards」 を今年も開催します! コンセプトは「最優秀」や「MVP(最も価値のある)」選手ではなく、その年に『最も輝きを放った選手=Cr […]

NEWS 平田2年連続男女優勝!女子はオール区間賞で2連覇 男子は1区から独走で6連覇/島根県高校駅伝

2025.11.04

平田2年連続男女優勝!女子はオール区間賞で2連覇 男子は1区から独走で6連覇/島根県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた島根県高校駅伝は11月2日、浜山公園陸上競技場で行われ、男女ともに平田が制した。女子(5区間21.0975km)は1時間15分41秒で2年連続16回目の優勝。男子(7区間42.195km)は2 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top