2025.02.28
「高校で14分30秒を切れたら続ける」
沖縄県うるま市出身。高洲江中時代はサッカー部に所属していたが、3年時に陸上経験のある担任の先生に誘われ、サッカー部の後輩とともに出た陸上大会で3位に。その後も何回か大会に出場したが、高校進学に向けては、当時の志望していた高校には陸上部がなかった。
「その頃にはサッカーよりも陸上のほうが勝負できると思っていたので、どうするか悩んでいました」。だが、1月には全国都道府県対抗男子駅伝に出場(2区46位)を果たしたことで、受験出願直前で、自宅から通学可能で陸上部のあるコザ高への進学を決めたという。
高校でも先輩を含めて部員が少なく、県高校駅伝では1、2年時は他の部活から助っ人を借りて出場。3年時は他校との合同によるオープン参加で出場した。
当時について、「先輩の力を借りて練習することがあまりできず、思い描いていた陸上生活ではありませんでした」と振り返るが、家族の協力もあって指導を受けたトレーナーの下で着実に力をつけた。
5000mでは、高2の秋に14分28秒82をマークし、「高校で陸上を辞めることも考えていましたが、大学から勧誘された時に、『高校で14分30秒を切れたら続ける』と思っていたので、続けることにしました」と、専大へ進むことを決めた。
チーム内には10月の箱根駅伝予選会でフリー走を任され、1月の本戦でも1~3区を担当した新井友裕(3年)、ダンカン・マイナ(1年)、上山詩樹(2年)、が残る。しかし、この2年で着実に力をつけた具志堅も、それに近づく存在となりつつある。
それでも自らを、「エースタイプではない」と分析したうえで、「チームとしては、箱根のシード権を目指しています。それにはエース3人が自分の力を発揮できることと、エース以外にも信頼できる選手が増えることが必要。その役割を果たすのが、自分だと考えています」と決意を語る。
「トラックはそんな得意ではないので、タイム的な目標は特にありません。箱根の予選会では総合70番以内、本戦では次はしっかり区間上位で勝負して、シード権獲得に貢献したいと思っています」
生まれ育った沖縄県では箱根駅伝の放送がなかったのもあり、大学に入るまではそこまで箱根への強い想いはなく、「自分の限界に挑戦する気持ち」で走り続けてきた具志堅。しかし、今やチームにとって欠かせないピースとなり、勝負の3年目を迎えようとしている。

勝負の3年目を迎える具志堅
◎ぐしけん・いっと/2004年7月16日生まれ、沖縄県うるま市出身。高江洲中→コザ高→専大。自己記録5000m14分24秒70、10000m29分29秒31、ハーフマラソン1時間2分14秒。
文/田中 葵

“地元”で6人抜きの快走
2月9日に沖縄県・宮古島市で行われた「宮古島大学駅伝ワイド―ズミ2025」で、終盤まで3位争いを繰り広げた専大が4位に食い込んだ。その立役者となったのが、地元・沖縄県出身の具志堅一斗(2年)だ。 「大会1週間前に学生ハーフで全力を出していたので、調整というよりは疲労を抜くことだけで精一杯でした」と言う状態ながら、各校の主力が集まる最長の3区(20.1km)を1時間1分00秒で走破。9位から6人抜きの快走で、区間賞を獲得した。 「今までのレースでは、どちらかというとイーブンで押していくことしかできませんでした。今回はアップダウンの激しい厳しいコースの中で、最初から前を追って突っ込んでいき、最後までしっかり粘ることができたので、良かったです」 2024年度はまさに飛躍のシーズンとなった。5月の関東インカレでは、2部ハーフマラソンに出場して14位で、「一時は10番前後で勝負できたので自信になりました」。その後は、チームのロード特化型強化プランで継続した練習を積み、10月の箱根駅伝予選会では、チーム4番手を占めて2位通過に貢献した。1月の本戦でも7区13位と粘り、往路最下位から順位を1つ押し上げた。 「初めての箱根駅伝は気づいたら、残り3kmくらいになっていて、『もう終わってしまう』というくらい、あっという間でした。2年生という立場もあって、プレッシャーよりも楽しめたと思います」 成長の要因は、トレーニングの継続にあると分析する。「高校時代は故障が多い時期もありました」と具志堅。その頃に母親が多方面に問い合わせて探してくれたトレーナーが所属する整骨院に通い、フォーム改造やトレーニングに着手する。 それによって、「故障しにくい身体の基盤を作ることができて、それが大学に入った昨年の継続した練習につながっています。その成果が今季出てくれたかなと感じています」と振り返る。 箱根後は「成人式もあって、帰省期間がズレたりして難しい部分もありました」が、2月2日の日本学生ハーフマラソン選手権では、1時間2分14秒の自己ベストをマーク。「帰省した時に多くの人に、箱根を走ったことを褒めてもらったりして、また頑張ろうと気持ちを切り替えることができました」と、気持ちを切らすことない。 その後の宮古島大学駅伝、さらには2月16日の青梅マラソン30kmで8位に入るなど、連戦も苦にすることなく、安定した走りを見せている。「高校で14分30秒を切れたら続ける」
沖縄県うるま市出身。高洲江中時代はサッカー部に所属していたが、3年時に陸上経験のある担任の先生に誘われ、サッカー部の後輩とともに出た陸上大会で3位に。その後も何回か大会に出場したが、高校進学に向けては、当時の志望していた高校には陸上部がなかった。 「その頃にはサッカーよりも陸上のほうが勝負できると思っていたので、どうするか悩んでいました」。だが、1月には全国都道府県対抗男子駅伝に出場(2区46位)を果たしたことで、受験出願直前で、自宅から通学可能で陸上部のあるコザ高への進学を決めたという。 高校でも先輩を含めて部員が少なく、県高校駅伝では1、2年時は他の部活から助っ人を借りて出場。3年時は他校との合同によるオープン参加で出場した。 当時について、「先輩の力を借りて練習することがあまりできず、思い描いていた陸上生活ではありませんでした」と振り返るが、家族の協力もあって指導を受けたトレーナーの下で着実に力をつけた。 5000mでは、高2の秋に14分28秒82をマークし、「高校で陸上を辞めることも考えていましたが、大学から勧誘された時に、『高校で14分30秒を切れたら続ける』と思っていたので、続けることにしました」と、専大へ進むことを決めた。 チーム内には10月の箱根駅伝予選会でフリー走を任され、1月の本戦でも1~3区を担当した新井友裕(3年)、ダンカン・マイナ(1年)、上山詩樹(2年)、が残る。しかし、この2年で着実に力をつけた具志堅も、それに近づく存在となりつつある。 それでも自らを、「エースタイプではない」と分析したうえで、「チームとしては、箱根のシード権を目指しています。それにはエース3人が自分の力を発揮できることと、エース以外にも信頼できる選手が増えることが必要。その役割を果たすのが、自分だと考えています」と決意を語る。 「トラックはそんな得意ではないので、タイム的な目標は特にありません。箱根の予選会では総合70番以内、本戦では次はしっかり区間上位で勝負して、シード権獲得に貢献したいと思っています」 生まれ育った沖縄県では箱根駅伝の放送がなかったのもあり、大学に入るまではそこまで箱根への強い想いはなく、「自分の限界に挑戦する気持ち」で走り続けてきた具志堅。しかし、今やチームにとって欠かせないピースとなり、勝負の3年目を迎えようとしている。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"]
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.08.25
ダイヤモンドリーグ・ファイナルのエントリー発表 北口榛花が4年連続、村竹ラシッドは初
2025.08.25
日本選手権の失格取り消しとなった佐藤風雅所属のミズノ「真摯に対応していただいた」
-
2025.08.25
-
2025.08.25
-
2025.08.25
2025.08.19
15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会
-
2025.08.24
2025.08.16
100mH・福部真子12秒73!!ついに東京世界選手権参加標準を突破/福井ナイトゲームズ
-
2025.08.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.25
ダイヤモンドリーグ・ファイナルのエントリー発表 北口榛花が4年連続、村竹ラシッドは初
世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)のレギュラーシリーズが終了し、スイス・チューリヒで行われるファイナルのエントリーが確定した。 女子やり投の北口榛花(JAL)は4年連続の進出。シーズンベストは64m63だが、 […]
2025.08.25
100m・菅野翔唯が10秒31で優勝! 女子200m・野見山寧祢、女子400m・今峰紗希もV/日韓中ジュニア交流競技会
◇第33回日・韓・中ジュニア交流競技会(8月25・27日/中国・内モンゴル自治区)1日目 各国の高校生世代が集う「日・韓・中ジュニア交流競技会」が行われ、男子100mは菅野翔唯(東農大二2群馬)が10秒31で優勝した。 […]
2025.08.25
日本選手権の失格取り消しとなった佐藤風雅所属のミズノ「真摯に対応していただいた」
日本選手権の男子400m決勝で1着入線のあと、曲走路においてラインの内側を走行したとして失格の判定が下っていた佐藤風雅(ミズノ)の競技結果が再審議の結果、失格が取り消されて優勝となったことについて、所属先のミズノがコメン […]
2025.08.25
佐藤風雅の失格取り消しについて日本陸連が経緯説明「踵がラインを踏んでいる」は「踏み越えていない」再発防止へルール理解の徹底図る
日本陸連は8月25日、第109回日本選手権(7月4日~6日)の男子400m決勝でトップでフィニッシュした佐藤風雅(ミズノ)が失格と裁定されたことについて、ジュリーによる再審議の結果、取り消しとなったことを発表した。 その […]
Latest Issue
最新号

2025年9月号 (8月12日発売)
衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99