HOME 海外

2020.09.30

【海外】ラスト1回で勝敗決まる新方式「ファイナル・スリー」五輪、世陸で実施の可能性
【海外】ラスト1回で勝敗決まる新方式「ファイナル・スリー」五輪、世陸で実施の可能性


世界陸連(WA)が発信するいくつかの競技会での新形式導入について議論が起こっている。

その最たるものは、新形式、通称「ファイナル・スリー」だ。これは今年のダイヤモンドリーグ(DL)ストックホルム大会の走幅跳で初めて実施されたもの。5回までの試技で上位3人のみが6回目の試技に挑むことができ、最後の跳躍で出した記録で順位がつけられる。これはよりエンタテインメント性を重視したレギュレーションとして採用された。

DLストックホルムでは、2回目と3回目に8m13を跳んでいたT.モントラー(スウェーデン)は6回目の記録が8m06だったため、6回目に8m09を跳んだZ.ヴィッサー(南アフリカ)に敗れ、その日最も良い記録を出していたにもかかわらず2位という結果となっていた。

この新形式が五輪、世界選手権で採用される可能性が浮上しており、一部選手からは批判の声も起こっている。2019年の11月1日に出された2020年版のルール(一部2020年1月31日に改訂)以降にルールが改められたわけではないが、2020年9月28日にWAが変更点のリストを発表し、その中に「世界選手権および五輪は、新たな形式での競技実施を許可される大会からもはや除外されない」(Technical Rule 1 (was IAAF rule 100) – World Championships and Olympic Games no longer excluded from competitions where events may be held in an alternative format)という一文があった。

つまり、これまでは、エンタテインメント性を重視する新形式での大会実施について五輪・世界選手権は対象外となっていたが、その改変について明示されたというわけだ。

Technical Rule 1 の条文は
「すべての競技会で、テクニカルルールとは異なる形式で競技を実施してよい。ただし選手が現行ルールよりもより多くの権利を得るようなルールを適用してはならない」となっており、28日付のWAのリストによって、新形式による競技が実施できる大会として五輪、世界選手権が排除されないことが改めて確認された。
(In all competitions, events may be held in a different format from that provided under the Technical Rules but rules giving more rights to the athletes than they would have obtained applying the actual Rules, may not be applied.)
HPはこちら

広告の下にコンテンツが続きます

これを受け、16年リオ五輪女子棒高跳金メダリストのK.ステファニディ(ギリシャ)は9月29日に自身のツイッターで「これはひどい。IOCが私たちのスポーツをコントロールする範囲が大き過ぎる」(This is terrifying. It’s quite incredible the extend to which the IOC is controlling our sport.)
と投稿し、強い反発をあらわにした。※ステファニディは「IOCが陸上にイノベーションを強要しているから起こっていることだ」とツイッターで持論を展開しているが、IOCとの関係がルール作成に及ぼした影響についての事実関係は明らかでない。

「ファイナル・スリー」についてはDLストックホルム大会後の8月22日に、C.テイラー(米国)が会長を務めるアスリートアソシエーションが「ストックホルム大会に出場した者を含む約87%の選手が、この形式に反感を感じている」として不満を表明している。

※すべてWAのHPより編集部訳

世界陸連(WA)が発信するいくつかの競技会での新形式導入について議論が起こっている。 その最たるものは、新形式、通称「ファイナル・スリー」だ。これは今年のダイヤモンドリーグ(DL)ストックホルム大会の走幅跳で初めて実施されたもの。5回までの試技で上位3人のみが6回目の試技に挑むことができ、最後の跳躍で出した記録で順位がつけられる。これはよりエンタテインメント性を重視したレギュレーションとして採用された。 DLストックホルムでは、2回目と3回目に8m13を跳んでいたT.モントラー(スウェーデン)は6回目の記録が8m06だったため、6回目に8m09を跳んだZ.ヴィッサー(南アフリカ)に敗れ、その日最も良い記録を出していたにもかかわらず2位という結果となっていた。 この新形式が五輪、世界選手権で採用される可能性が浮上しており、一部選手からは批判の声も起こっている。2019年の11月1日に出された2020年版のルール(一部2020年1月31日に改訂)以降にルールが改められたわけではないが、2020年9月28日にWAが変更点のリストを発表し、その中に「世界選手権および五輪は、新たな形式での競技実施を許可される大会からもはや除外されない」(Technical Rule 1 (was IAAF rule 100) – World Championships and Olympic Games no longer excluded from competitions where events may be held in an alternative format)という一文があった。 つまり、これまでは、エンタテインメント性を重視する新形式での大会実施について五輪・世界選手権は対象外となっていたが、その改変について明示されたというわけだ。 Technical Rule 1 の条文は 「すべての競技会で、テクニカルルールとは異なる形式で競技を実施してよい。ただし選手が現行ルールよりもより多くの権利を得るようなルールを適用してはならない」となっており、28日付のWAのリストによって、新形式による競技が実施できる大会として五輪、世界選手権が排除されないことが改めて確認された。 (In all competitions, events may be held in a different format from that provided under the Technical Rules but rules giving more rights to the athletes than they would have obtained applying the actual Rules, may not be applied.) HPはこちら これを受け、16年リオ五輪女子棒高跳金メダリストのK.ステファニディ(ギリシャ)は9月29日に自身のツイッターで「これはひどい。IOCが私たちのスポーツをコントロールする範囲が大き過ぎる」(This is terrifying. It’s quite incredible the extend to which the IOC is controlling our sport.) と投稿し、強い反発をあらわにした。※ステファニディは「IOCが陸上にイノベーションを強要しているから起こっていることだ」とツイッターで持論を展開しているが、IOCとの関係がルール作成に及ぼした影響についての事実関係は明らかでない。 「ファイナル・スリー」についてはDLストックホルム大会後の8月22日に、C.テイラー(米国)が会長を務めるアスリートアソシエーションが「ストックホルム大会に出場した者を含む約87%の選手が、この形式に反感を感じている」として不満を表明している。 ※すべてWAのHPより編集部訳

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top