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2023.12.28

箱根駅伝Stories/不動の絶対王者・駒大 最強4年生世代が牽引「チームに何ができるかを常に考えている」
箱根駅伝Stories/不動の絶対王者・駒大 最強4年生世代が牽引「チームに何ができるかを常に考えている」

最強軍団を牽引する駒大の4年生たち(チーム提供)

新監督にして適材適所が光る藤田采配

駒大の強さを表す言葉は尽きないが、「4年生」ともう1つ何かをあげるなら、藤田敦史新監督の采配がある。

大八木弘明総監督から「現場主義」を継承。出雲、全日本を制して早くも「優勝監督」に名を刻んだが、藤田監督自身はは「まだまだ新米監督です。大八木総監督が長年かけて作り上げたものを引き継ぎ、いじるところは何もありませんでした」と低姿勢だ。

2015年度から8年のコーチ時代は裏方に徹してきた新監督らしい一面だが、出雲、全日本でほぼ完璧なオーダーを完成させ、リザーブ選手全員も走れる状態に持っていった手腕は、「継承」だけで説明できるものではない。

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出雲、全日本は誰が見ても「オーソドックス」な編成。裏を返せば、奇をてらった配置をする必要もない戦力を整えた。その中でにじませた藤田カラーが、全日本での1区赤津の起用だ。

1年前に8区区間賞を取った花尾が出走できる状態に戻っていたが、花尾に無理をさせないことと、赤津の練習が充実していた点などを考慮。大八木総監督が「赤津を1区にし、花尾を外す決断については、私に相談するのではなく、すでに藤田監督が決断していました」とその裏側を明かす。

そして見事に赤津が区間賞を獲得。全区間トップ中継の完勝につながった。

箱根駅伝へ向けて16人のエントリー選手を絞る際には、「復調待ち」の経験者より、現時点で充実している選手を入れた。シビアな選択に向き合っている。

「(リザーブを含め)誰が走ってもおかしくない」(藤田監督)という状態を出雲、全日本で作り、なおかつ復調した経験者、新たに成長を示した新鋭を組み入れた、箱根エントリーの16人。今まさに誰が走ってもおかしくない。

1区が誰なのか。2区はだれなのか。2種目のU20日本記録保持者にして箱根初登場の佐藤はどこに入るのか。「どこでも走れる」篠原はやはり当日変更に備えるのか。5、6区の特殊区間は、前回から変わるのかどうか。

変幻自在。どんな先入観も覆してきそうな采配が見られるかもしれない。

駒大の藤田敦史監督

文/奥村 崇

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

力みなぎる4年生

2022年度から学生三大駅伝の無敗ロードを突き進む。駒大は今年度も難なく出雲駅伝と全日本大学駅伝を制し、向かうところ敵なしだ。 昨年度は、出雲が2区で、全日本では3区で、箱根は4区で先頭に立ち、その後はリードを広げてフィニッシュへ向かった。 今年度はその上を行く。出雲も全日本も1区で区間賞を取り、そのまま先頭を譲らなかった。昨年度の箱根駅伝往路の小田原中継所以降、21度の中継・フィニッシュ機会すべてでトップを譲っていない。影をも踏ませぬとはこのことだ。 前回の箱根駅伝優勝メンバーから、10000m世界選手権代表の田澤廉(現・トヨタ自動車)、ハーフマラソン前日本人最高記録保持者の山野力(現・九電工)らが抜けた穴は大きいはずなのだ。 しかし、代替わりする前から、大八木弘明総監督(当時・監督)は「来年度はもっと強くなるよ」とどこ吹く風。 それもそのはず、今年度の4年生は、選手層が分厚く力がみなぎっている。この学年の箱根駅伝経験者は8人。うち6人がエントリーされた。 主将の鈴木芽吹は10000mで2年ぶり自己新。安原太陽はワールドユニバーシティゲームス5000m銀メダル。赤星雄斗は全日本5区2位と、充実の前回Vメンバー。11月に上昇をアピールした花尾恭輔、白鳥哲汰、金子伊吹は「復活」の舞台へ備える。そこに全日本1区区間賞の赤津勇進が加わった。エントリー16名中、7名を占める4年生がチームの重心だ。 この世代について今年4月に就任した藤田敦史監督は「チームに何ができるかを常に考えている。この世代が4年生で良かった」と絶大なる信頼を寄せている。 4年生の牽引があるから、下級生がのびのびと個性を伸ばしていける。躍動する3年の篠原倖太朗、2年の佐藤圭汰、山川拓馬、伊藤蒼唯らに話を聞くと、4年生たちの雰囲気作りに感謝し、競技者としての尊敬も常に持っている。今の4年生が田澤や山野らに抱いていた気持ちのように――。

新監督にして適材適所が光る藤田采配

駒大の強さを表す言葉は尽きないが、「4年生」ともう1つ何かをあげるなら、藤田敦史新監督の采配がある。 大八木弘明総監督から「現場主義」を継承。出雲、全日本を制して早くも「優勝監督」に名を刻んだが、藤田監督自身はは「まだまだ新米監督です。大八木総監督が長年かけて作り上げたものを引き継ぎ、いじるところは何もありませんでした」と低姿勢だ。 2015年度から8年のコーチ時代は裏方に徹してきた新監督らしい一面だが、出雲、全日本でほぼ完璧なオーダーを完成させ、リザーブ選手全員も走れる状態に持っていった手腕は、「継承」だけで説明できるものではない。 出雲、全日本は誰が見ても「オーソドックス」な編成。裏を返せば、奇をてらった配置をする必要もない戦力を整えた。その中でにじませた藤田カラーが、全日本での1区赤津の起用だ。 1年前に8区区間賞を取った花尾が出走できる状態に戻っていたが、花尾に無理をさせないことと、赤津の練習が充実していた点などを考慮。大八木総監督が「赤津を1区にし、花尾を外す決断については、私に相談するのではなく、すでに藤田監督が決断していました」とその裏側を明かす。 そして見事に赤津が区間賞を獲得。全区間トップ中継の完勝につながった。 箱根駅伝へ向けて16人のエントリー選手を絞る際には、「復調待ち」の経験者より、現時点で充実している選手を入れた。シビアな選択に向き合っている。 「(リザーブを含め)誰が走ってもおかしくない」(藤田監督)という状態を出雲、全日本で作り、なおかつ復調した経験者、新たに成長を示した新鋭を組み入れた、箱根エントリーの16人。今まさに誰が走ってもおかしくない。 1区が誰なのか。2区はだれなのか。2種目のU20日本記録保持者にして箱根初登場の佐藤はどこに入るのか。「どこでも走れる」篠原はやはり当日変更に備えるのか。5、6区の特殊区間は、前回から変わるのかどうか。 変幻自在。どんな先入観も覆してきそうな采配が見られるかもしれない。 [caption id="attachment_124895" align="alignnone" width="800"] 駒大の藤田敦史監督[/caption] 文/奥村 崇

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