HOME 学生長距離

2023.12.21

箱根駅伝Stories/2区でライバルと対峙する城西大・斎藤将也「今回は勝ちに行きたい」
箱根駅伝Stories/2区でライバルと対峙する城西大・斎藤将也「今回は勝ちに行きたい」

全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得するなど、今季好調の城西大・斎藤将也

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

同郷の國學院大・平林清澄に完敗

前回大会、1年生ながら2区に抜擢された斎藤将也は、先頭と29秒差の11位でタスキをもらった。3秒後ろからは國學院大の平林清澄がスタート。同郷の福井県出身。すぐに並走が始まる。大舞台で実現した「ライバル対決」に斎藤は気持ちが高ぶった。

意気込んで走り始めた花の2区。しかし、2人の並走は5kmも続かなかった。斎藤は平林に離されると、他校のエースたちのハイペースの波にのまれていく。横浜駅前、権太坂と必死に走るが、20km以降の『戸塚の壁』でついにペースダウン。1時間8分46秒で区間15位、順位を4つ落とし15位で戸塚中継所にたどりついた。

「完全に力負けでした。周りは強い選手ばかりで、行ける所まで行きましたが……。最後の坂でやられてしまいました」

あれから1年。斎藤はエース区間でリベンジするために練習を重ねてきた。冬は十分に走り込み、春先のトラックシーズンを迎えた。3月のTOKOROZAWAゲームズ3000mで7分59秒01、4月の金栗記念5000mで13分51秒21、兵庫リレーカーニバル10000mで28分33秒42と自己新を連発。スピードは一段と磨かれた。

夏合宿では昨年より距離は踏めた。しかし、1週間ほど足の違和感でスピード練習を回避。その分距離走を重ね、夏以降にスピードに移行した。

「出雲8位、全日本5位、箱根3位」という目標を掲げた城西大の駅伝シーズン。出雲で斎藤は1区を任される。しかし、3km付近に先頭集団の中で転倒。直後は脚を引きずるようなフォームとなり心配されたが、大事には至らず区間10位。チームは過去最高の3位に入る。

「出雲で転んでしまった分あまり疲労が残らなかった」という斎藤は、全日本4区では順位を8位から2位に上げる走りで区間賞を獲得。チームはまたも過去最高の5位に入った。そのわずか1週間後には日体大長距離競技会10000mで27分59秒68をマーク。「少し疲労があり、脚が持つか不安だった」というが、前の組までにチームメートも全員自己新を連発。それも好結果の要因になった。

最高の状態で2度目の箱根を迎える。城西大は往路優勝も見据えている。斎藤の2区出走は濃厚だ。最低ラインは1時間7分30秒、よければ6分台を狙う。「前でタスキを渡されても、後ろで渡されても、常に先頭を狙っていく。区間3番が目標」。前回は力負けした平林と再び対決する可能性も高い。「今回は勝ちに行きたい」。リベンジへ気合十分だ。

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

同郷の國學院大・平林清澄に完敗

前回大会、1年生ながら2区に抜擢された斎藤将也は、先頭と29秒差の11位でタスキをもらった。3秒後ろからは國學院大の平林清澄がスタート。同郷の福井県出身。すぐに並走が始まる。大舞台で実現した「ライバル対決」に斎藤は気持ちが高ぶった。 意気込んで走り始めた花の2区。しかし、2人の並走は5kmも続かなかった。斎藤は平林に離されると、他校のエースたちのハイペースの波にのまれていく。横浜駅前、権太坂と必死に走るが、20km以降の『戸塚の壁』でついにペースダウン。1時間8分46秒で区間15位、順位を4つ落とし15位で戸塚中継所にたどりついた。 「完全に力負けでした。周りは強い選手ばかりで、行ける所まで行きましたが……。最後の坂でやられてしまいました」 あれから1年。斎藤はエース区間でリベンジするために練習を重ねてきた。冬は十分に走り込み、春先のトラックシーズンを迎えた。3月のTOKOROZAWAゲームズ3000mで7分59秒01、4月の金栗記念5000mで13分51秒21、兵庫リレーカーニバル10000mで28分33秒42と自己新を連発。スピードは一段と磨かれた。 夏合宿では昨年より距離は踏めた。しかし、1週間ほど足の違和感でスピード練習を回避。その分距離走を重ね、夏以降にスピードに移行した。 「出雲8位、全日本5位、箱根3位」という目標を掲げた城西大の駅伝シーズン。出雲で斎藤は1区を任される。しかし、3km付近に先頭集団の中で転倒。直後は脚を引きずるようなフォームとなり心配されたが、大事には至らず区間10位。チームは過去最高の3位に入る。 「出雲で転んでしまった分あまり疲労が残らなかった」という斎藤は、全日本4区では順位を8位から2位に上げる走りで区間賞を獲得。チームはまたも過去最高の5位に入った。そのわずか1週間後には日体大長距離競技会10000mで27分59秒68をマーク。「少し疲労があり、脚が持つか不安だった」というが、前の組までにチームメートも全員自己新を連発。それも好結果の要因になった。 最高の状態で2度目の箱根を迎える。城西大は往路優勝も見据えている。斎藤の2区出走は濃厚だ。最低ラインは1時間7分30秒、よければ6分台を狙う。「前でタスキを渡されても、後ろで渡されても、常に先頭を狙っていく。区間3番が目標」。前回は力負けした平林と再び対決する可能性も高い。「今回は勝ちに行きたい」。リベンジへ気合十分だ。

『物語』を作るような選手に

小学校3年から野球を始め、高学年になるにつれ持久力がつき、走ることが好きになった。中学時代も野球部だったが、全中駅伝や都道府県対抗駅伝に出場。敦賀気比高校に進み本格的に陸上を始めた。 箱根駅伝は中学時代からよく見ていた。「一番印象に残っているのは神野大地さん(青学大/現・セルソース)の山での逆転シーン。今でも頭の中にあります。神野さんのように『物語』を作るような選手になりたいと思いました」 偶然なのか縁なのか、敦賀気比高校の監督は青学大出身の米澤豪さん。83回大会に関東学連選抜の10区を走った元箱根ランナーだ。斎藤は平林のいた美方高に進む道もあったが、「強いところに行って勝ってもおもしろくないと思った」。敦賀気比高では、1学年上に田中悠登(青学大3年、全日本大学駅伝8区3位)、高村比呂飛(日体大3年、関東インカレ1500m優勝)、2学年上には山本雷我(国士大4年)といった、今の学生陸上界をけん引する選手がそろっていた。 斎藤は先輩たちと競り合いながら成長する。全国高校駅伝には3年連続で出場。特に3年時には1区を走り、29分16秒(区間11位)。「高校3年間でいちばん調子がよくて、練習も一番できていました。想定タイム以上に走れて、陸上をやってきてよかったなと思えました」と振り返る。 駒大の強さが際立つ今季だが、斎藤は城西大の戦力にも自信を持つ。「チームの雰囲気もいいし、みんな仕上がっている」。エース区間では自分の役割を果たすつもりだ。 まだ2年生。いずれは箱根の総合優勝を狙っている。「自分の代はヴィクター(・キムタイ)や桜井(優我)、鈴木(健真)、大沼(良太郎)が強い。ヴィクターには在学中に一度は倒したい。来年以降入る新入生も含めて、強い城西大にしたい」。まずは100回目の箱根で爆走を誓う。 [caption id="attachment_123823" align="alignnone" width="800"] 満を持して2度目の2区に挑む(チーム提供)[/caption] さいとう・しょうや/2003年10月22日生まれ。福井県大野市出身。164cm・50kg。福井・陽明中→敦賀気比高。5000m13分51秒21、10000m27分59秒68、ハーフ1時間3分18秒 文/荒井寛太

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.07.27

女子競歩の岡田久美子は調整順調「メダルを狙える位置。新たな挑戦でワクワクしている」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 2016年リオ、21年東京に続く3大会連続の五輪代表となる女子競歩の岡田久美子(富士通)は「いよいよだなという気 […]

NEWS 女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

2024.07.27

女子走幅跳日本記録保持者・秦澄美鈴 目標は決勝進出「自己ベストを狙っていきたい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 女子走幅跳に出場する秦澄美鈴(住友電工)は「緊張しています」と言いながらも「シーズン初めに比べて調子が上がってい […]

NEWS 混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

2024.07.27

混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪

パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 男女混合競歩リレー代表の川野将虎(旭化成)は前回の東京大会に続くオリンピック。「前回から3年間。一つの集大成」と […]

NEWS 北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

2024.07.27

北口榛花「新たな歴史を作れるよう」田中希実「それではみんなで、よーいどん!」日本代表コメント集/パリ五輪

100年ぶりにフランス・パリを舞台に五輪が開幕した。陸上競技は8月1日から11日までの日程で行われる。開幕に合わせて日本オリンピック委員会(JOC)は日本代表の意気込みコメントを発表した。 2大会連続出場で女子主将を務め […]

NEWS 中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

2024.07.27

中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム

7月26日、中大多摩キャンパス競技場で「Summer Night Run Festival in CHUO」が行われ、男子3000mで岡田開成(中大1)が7分55秒41とU20歴代4位のタイムをマークした。 同大会はこれ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年8月号 (7月12日発売)

2024年8月号 (7月12日発売)

W別冊付録
パリ五輪観戦ガイド&福岡インターハイ完全ガイド

page top