2023.08.03
◇全国高校総体(インターハイ:8月2日~5日/北海道・札幌厚別公園競技場)
北海道インターハイの1日目が行われ、女子400mは前回5位の宮地利璃香(市船橋3千葉)が、赤坂美結(山形中央3山形)との最終盤の競り合いを制し、54秒24で初優勝を飾った。
「本当にうれしいです。去年はマイル(4×400m)リレーで優勝しましたが、今年は最上学年として、個人でも優勝したいと思っていました。佐藤葵唯先輩(現・青学大)のような先輩になるためにも、ここで絶対に1位を取らないと、みんなに流れを作ってあげられないと思って走りました」
午前に行われた予選で全体トップのタイム(55秒21)をマークした宮地。通過ラインが過去最速の55秒01と高水準になった準決勝も、自身初の54秒台となる54秒41の自己ベストでトップ通過を果たした。
「楽しんで走れば絶対に良い記録は出るし、楽しまないと陸上の楽しさがわからないと思うので、予選は何かをぐちゃぐちゃ考えるより、まずは楽しんでやろうと臨みました。準決勝は速い選手が内側にいたので、正直2着かなと思ったのですが、競った時に行けると感じました。やっと54秒台が出せて良かったです」
多士済々のメンバーがそろった決勝は、「周りの選手もグイグイ来るので、最初からしっかり自分のレースをして、でも、最後の50mまで持つように前半であまり前腿を使わずに走る」というプランを描き、理想的な展開で最終コーナーをトップで入った。しかし、最後の直線で赤坂に逆転を許す。「少しあきらめかけた」という窮地で、再びトップの座を奪い返すことができたのは、「自分はたくさんの人に支えられている。自分の意志であきらめちゃいけない」という思いが働いたからだった。
赤坂とほぼ同時にフィニッシュした瞬間は、「勝ったかどうかわからなかった」。電光掲示板を見て、ようやく「自分が1位になれたんだ」と実感したという。しかし、そこで派手なガッツポーツを見せなかったのは、「仲間の前で喜びたかったから」だと宮地。「チームは総合優勝を狙っているので、ここで自分が8点取って、周りの選手にも『私も行ける』という気持ちにさせてあげられたなら良かったです」と、その表情は充実感に満ちていた。
赤坂も自己ベストの54秒28で2位に入った。「宮地さんの調子がどんどん上がっているのがわかっていたので、決勝では1対1で戦うことになるかなと想定していました。でも、0.04秒差が大きいというか、そこを超えられなかったのが悔しいです」と肩を落とした。
前回4位の瀬田陽菜(東海大相模3神奈川)が54秒79で3位に。前回大会や南関東大会からしのぎを削ってきた宮地に対し、「素直におめでとうという気持ちです」と言いつつ、「先生にトロフィーを渡してあげたかった。徳島インターハイの雪辱は果たせませんでしたが、今度はリレーでチームのためにがんばりたいです」と、次なる戦いに気持ちを切り替えた。
文/小野哲史
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.12
世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に
2024.12.12
月刊陸上競技2025年1月号
-
2024.12.11
2024.12.07
不破聖衣来が10000mに出場し12位でフィニッシュ 完全復活へ実戦積む/エディオンDC
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.12
世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に
12月11日、世界陸連は5月から10月にかけて誕生した世界記録を正式に承認したことを発表した。 10月27日の日本選手権35km競歩(山形・高畠)で、川野将虎(旭化成)が樹立した2時間21分47秒も世界記録として認定。同 […]
2024.12.12
月刊陸上競技2025年1月号
Contents W別冊付録 箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望 大会報道 福岡国際マラソン 吉田祐也 日本歴代3位の激走 涙の復活劇 全日本実業団対抗女子駅伝 JP日本郵政グループ 4年ぶりV 地域実業団駅伝 中学 […]
2024.12.11
やり投・北口榛花2025年は「みんなで一緒にもう一度最高の感動を味わいたい!」タニタ健康大賞受賞でコンディション作りも明かす
健康総合企業の株式会社タニタが12月11日、日本人の健康づくりに貢献した個人・団体を顕彰する「タニタ健康大賞」を発表し、女子やり投のパリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)が選ばれ、同日に贈賞式に出席した。 「競技中でも […]
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
日本陸連は12月11日、2026年に開催される愛知アジア大会のマラソン代表選考方針を発表した。 「国際競技会に通用する『勝負強さ』と『スピード』を有するとともに本大会において最大限に持てる力を発揮できる競技者を選出し、メ […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会