2021.07.31
◇福井インターハイ(7月28日~8月1日/福井・福井県営陸上競技場)
インターハイ3日目。抜群の存在感を放ったのが、大会初日に女子400mを自己新の54秒42で制したタネル舞璃乃(埼玉栄3埼玉)だった。
400mハードル決勝。400mでも競り合った東大阪大敬愛(大阪)のエース・河内瀬桜(3年)と、フィニッシュ前まで激しいバトルを演じ、最後は僅差でタネルが河内を振り切った。優勝記録57秒98は、高校歴代6位の好記録だった。
「インターハイでの個人2冠が目標だったので、驚きとうれしさでいっぱいです。タイムも57秒台を目指していたので良かった」を笑顔がこぼれるタネル。1年時はリレーでインターハイに出場(※昨年は大会中止)しているものの、個人では初で、「全国の強い選手と競うことができて本当に楽しかったです」と充実感いっぱいだった。
最終学年を控えたこの冬季から取り組み始めた400mハードルで、まさか全国の頂点に立てるとは思ってもみなかった。フィニッシュ後、仲間から渡された部旗に身を包み記念写真に納まりながら一番に脳裏をよぎったのが支えてくれた両親、先生、そして仲間への感謝の気持ちだったという。
ハードルもやったことがなく「取り組み始めた最初は不安もありました」と打ち明けるタネル。それでも、「ハードル練習をやるようになって腕振りの力みが取れるなど、スピード強化にもつながりました」と成長の要因を口にする。
4月に出場した初レースは61秒63。なかなか60秒の壁を突破することができず、それがかなったのは6月に入ってから。59秒59をマークすると、そこからの進歩は劇的だった。6月末のU20日本選手権で59秒07まで記録を伸ばし2位と健闘。7月には100mでも11秒90と大幅に自己記録を更新し、そのスピードを生かして400mハードルも58秒95と58秒台に突入。自信を持って決戦の地・福井へと乗り込んできていた。
「400mでは優勝できましたが目標の53秒台に届かなかったので、400mハードルは2冠と合わせ記録も狙っていました」と話すように、前半から積極的なレースを展開。5台目まで16歩、そこから8台目まで17歩、残り2台を18歩でという切り替えも、「これまでになくスムーズにいきました」と、レースを振り返る。
今後も2種目に取り組む予定で、「どちらもまだまだ課題が多い。スピード強化を図りつつ、相乗効果で成長できればと思います」。これまで数々のトップ選手を育成してきた顧問の清田浩伸先生も「底が知れない」と評価する逸材。インターハイをステップにさらに飛躍しそうだ。
◇3日目の優勝者(一部優勝コメント)
男子400mH
高橋遼将(中京大中京3愛知) 51秒69
「49秒台を出して勝ちたいと思っていましたが勝ててほっとひと安心です」
男子4×100mR
洛南(京都) 40秒41
男子5000m競歩
古賀文也(大牟田3福岡) 20分45秒63
「積極的に攻めて攻めて、限界の所まで粘って最後に上げました。素直にうれしいです」
男子砲丸投
小森 直吏(身延3山梨) 16m95
「3年前の全中でランキング1位で臨みながら10位に終わった悔いを晴らすことができました」
女子400mH
タネル舞璃乃(埼玉栄3埼玉) 57秒98
女子4×100mR
中京大中京(愛知) 45秒97
女子走幅跳
吉田花鈴(摂津3大阪) 6m16(+2.5)
「記録的には満足していませんが、優勝できうれしいです」
女子円盤投
友利晟弓(那覇西3沖縄) 45m40
文/花木 雫
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.05.06
ダイヤモンドリーグ・ドーハに三浦龍司、田中希実、ディーン元気がエントリー!
-
2024.05.06
-
2024.05.06
-
2024.05.06
-
2024.05.06
-
2024.05.03
2024.04.12
40年以上の人気シューズ”ペガサス”シリーズの最新作!「ナイキ ペガサス 41」が登場!
-
2024.04.26
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.05.07
【竹澤健介の視点】葛西潤と五島莉乃に感じた「意志」と冷静さ 太田智樹の安定感、前田和摩の潜在能力に驚き/日本選手権10000m
静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムを舞台に開催された第108回日本選手権10000m。男子は葛西潤(旭化成)が27分17秒46、女子は五島莉乃(資生堂)が30分53秒31と、ともに日本歴代6位の好タイムで初優勝を飾 […]
2024.05.06
【高平慎士の視点】男子4×100m、4×400m「収穫ある4位」五輪シードレーン獲得、後手に回ってメダル争いの価値/世界リレー
バハマ・ナッソーで開催された2024世界リレー(5月4日、5日/日本時間5日、6日)で男子の4×100mと4×400mがパリ五輪出場権を獲得した。初日の予選で、4×100mは38秒10で1着通過して五輪切符を決めると、決 […]
2024.05.06
ダイヤモンドリーグ・ドーハに三浦龍司、田中希実、ディーン元気がエントリー!
5月10日に行われるダイヤモンドリーグ(DL)ドーハ大会のエントリーリストが発表された。 男子3000m障害に日本記録保持者の三浦龍司(SUBARU)が登録。世界記録保持者のラメチャ・ギルマ(エチオピア)、ブダペスト世界 […]
2024.05.06
男子は銭海峰が1時間19分05秒でトップ 女子はベテラン・劉虹が快勝/WA競歩ツアー
5月5日、世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドのコルゼニフスキ・ワルシャワ競歩カップがポーランドで開催され、男子20km競歩では銭海峰(中国)が1時間19分05秒で、女子20km競歩はリオ五輪金メダリストの劉虹(中国)が […]
2024.05.06
米国が4種目を制覇! 男子4×400mはボツワナが2分59秒11で初優勝/世界リレー
5月4日、5日の両日、バハマ・ナッソーで世界リレーが開催され、米国が5種目中4種目で優勝を飾る圧倒的な強さを見せた。 男子4×100mではアンカーに世界選手権100m王者のN.ライルズを起用。1走から3走も全員が100m […]
Latest Issue 最新号
2024年5月号 (4月12日発売)
パリ五輪イヤー開幕!