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2025.11.21

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「箱根路が育む挑戦」箱根駅伝シンポジウム開催!小山直城「出場した思い強かった」葛西潤「誰かのためにと走った」
「箱根路が育む挑戦」箱根駅伝シンポジウム開催!小山直城「出場した思い強かった」葛西潤「誰かのためにと走った」

第102回箱根駅伝シンポジウムの様子

第102回箱根駅伝まで約40日となった11月21日、大会の機運を高めるイベント「第102回箱根駅伝シンポジウム」が、都内で開催された。

今回のメインテーマは「世界を駆ける~箱根路が育む挑戦~」。昨年のパリ五輪、9月の東京世界選手権と連続出場した、マラソンの小山直城(Honda)、10000mの葛西潤(旭化成)、山梨学大監督で2007年大阪世界選手権マラソン6位入賞の実績を持つ大﨑悟史氏がパネリストとして出席し、箱根駅伝を主催する関東学連副会長の大後栄治氏がコーディネーター、日本テレビの梅澤廉アナウンサーが司会を務めた。

冒頭に関東学連の植田恭史会長が「参加している大学、参加している選手それぞれにドラマあります。お正月にはどんなドラマが生まれるのか、楽しみに待ちたいと思います」とあいさつ。今回のテーマについて、「箱根駅伝のスローガン『箱根駅伝から世界へ』のもと、箱根を走り、世界で活躍した、あるいは活躍している方々にお話を聞きます」と説明し、シンポジウムがスタートした。

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今年1月の本戦の振り返りでは、初めて指揮官として運営管理車に乗った大﨑監督は、「一番近いところから箱根駅伝を見られるので、運営管理車っていいなと思っていました」と話して会場の雰囲気を温める。予選会を3位通過し「昨年度より強くなっている自信はありましたが、そんな時ほど足元をすくわれる。終わるまではホッとできませんでした」と振り返る。

母校・東農大が2年ぶりに出場を決めた小山は「母校が箱根路を走るのは本当にうれしいです」と笑顔。ニューイヤー駅伝翌日から始まる本戦は、「今回は現地で応援に行くので、電車で1~5区を回ります」と宣言した。その後、母校・創価大が優勝候補に挙がっている現状について「ついに優勝候補に挙がるまできましたね」と答えた葛西は、当日の予定を聞かれると「一緒に行きますか?」と小山の話題に乗って観客を笑わせる。

この後はテーマに沿って展開していく。1つ目は「箱根駅伝の思い出」。小山は「予選会」を挙げた。「1年から4年まで予選会を皆勤しています。ミスができない大会なので、緊張感がすごかったことを強く残っています」。

2年だった2017年、関東学生連合の4区として経験。「箱根駅伝に出場したいという思いが強かったので、連合でも出場できたのは本当に良い思い出になっています」。

葛西は創価大時代に4年連続で出場。2年だった2021年は3区を務めて往路優勝に貢献すると、4年だった2023年は7区で区間賞を獲得した。「チームのため、支えてくれる人のため、誰かのためにとすごく自問自答しながら走った記憶があります」と振り返る。4年時は足の痛みを抱えている状況で、「立っている時にも痛みがあった」と明かした。

大﨑監督は3年、4年の2度10区を走り、3年時に区間賞、4年時は区間2位。「アンカーだったので、応援が本当にすごくて、身震いしました」と言う。だが、総合は3位、6位と優勝に届かなかったことから、特に4年時は「レース後の報告会では言葉が詰まって、話せなかった。それだけ箱根に懸けて本気でやったことが涙になったんだなという思いがあります」。

2つ目のテーマは「世界の舞台で戦って感じたこと」。

小山は東京世界選手権について、「8位入賞を目指していましたが23位という結果は本当に悔しかったですし、たくさんの中から選んでいただいたので、本当に申し訳ない気持ちでした」と話す。

葛西は22位とパリ五輪(20位)から順位を落としたが、「東京はスローの中で何度か前に出られた。ハイペースだったパリがもしスローだったら、前に出られたかどうか。パリの経験があったから前に出ることができたんだと思います」と振り返る。

大﨑監督はは、「燃え尽きた部分があったので、大学でやめようと思っていました」と当時の思いを明かす。だが、「社業が忙しくて、息抜きで走っていたら、走るのが楽しくなった」ことが競技続行、マラソンで世界の6位へとつながっていったという。だからこそ、今の学生たちには「箱根駅伝で燃え尽きてほしくない、先を見てやってほしいと伝えています」。

3つ目のテーマは「箱根駅伝が育む高みへの意識」。箱根駅伝に取り組んだことで、今に生きていることについて語り合う。

小山は「スタミナ強化」を挙げる。特に朝練習について、「今は個別でのジョグが中心ですが、大学時代は集団で12~15kmを走る。それはスタミナ強化の土台作りになりました」。

葛西が挙げたのも土台作り。「箱根駅伝もそうですが、トラックでも、ちゃんと足を作らないと走れない。ちゃんと土台が作れたことが今につながっていると思います」と話した。

大﨑監督は、先を目指す選手とのかかわりについて「できるだけ余力を残すように心掛けています」。故障をせずにトレーニングを継続すること。「私も余力を残しつつ、いろいろな大会に出て、まだいけるという思いが出てきました」と、自身の経験を基に語る。

その後、102回大会の見どころでは、小山は「山」、葛西「目まぐるしい順位変動」、大崎監督「優勝争い、シード争い、1人1人の箱根への思い」と記入。大後副会長は「群雄割拠」を挙げる。小山は「山の神を観たい」と言えば、葛西も「やっている側は大変だと思いますが、観ている側は大混戦が一番おもしろい」と話した。

最後に、102回大会に期待することについて、それぞれの思いを語った。

「優勝争いは楽しみ。そして、2年ぶりに母校が出場するので、母校を応援するとともに、全員が頑張っている姿を見ると、自分も力になります」(小山)

「順位変動がたくさんあるレースが見れたら、すごく見応えがある。その中で母校が上位に行ってくれればうれしいです」(葛西)

「他大学さんも本気で準備していきます。一人ひとりが本気で臨んだことが、ドラマのようにいろいろな人に伝わる。みなさんにそれが伝わるような走りができればと思っています」(大﨑監督)

大後副会長が「箱根駅伝の面白さ、素晴らしさは走る選手だけじゃなく、放送する日本テレビの製作の方々、沿道の警察、ボランティアの走路員、審判の方々が6000人ぐらいいる。そういった方々にも目を向けていただき、ますます大会が成熟していく大会になればと思っています」と締めくくり、盛況の中で幕を閉じた。

第102回箱根駅伝まで約40日となった11月21日、大会の機運を高めるイベント「第102回箱根駅伝シンポジウム」が、都内で開催された。 今回のメインテーマは「世界を駆ける~箱根路が育む挑戦~」。昨年のパリ五輪、9月の東京世界選手権と連続出場した、マラソンの小山直城(Honda)、10000mの葛西潤(旭化成)、山梨学大監督で2007年大阪世界選手権マラソン6位入賞の実績を持つ大﨑悟史氏がパネリストとして出席し、箱根駅伝を主催する関東学連副会長の大後栄治氏がコーディネーター、日本テレビの梅澤廉アナウンサーが司会を務めた。 冒頭に関東学連の植田恭史会長が「参加している大学、参加している選手それぞれにドラマあります。お正月にはどんなドラマが生まれるのか、楽しみに待ちたいと思います」とあいさつ。今回のテーマについて、「箱根駅伝のスローガン『箱根駅伝から世界へ』のもと、箱根を走り、世界で活躍した、あるいは活躍している方々にお話を聞きます」と説明し、シンポジウムがスタートした。 今年1月の本戦の振り返りでは、初めて指揮官として運営管理車に乗った大﨑監督は、「一番近いところから箱根駅伝を見られるので、運営管理車っていいなと思っていました」と話して会場の雰囲気を温める。予選会を3位通過し「昨年度より強くなっている自信はありましたが、そんな時ほど足元をすくわれる。終わるまではホッとできませんでした」と振り返る。 母校・東農大が2年ぶりに出場を決めた小山は「母校が箱根路を走るのは本当にうれしいです」と笑顔。ニューイヤー駅伝翌日から始まる本戦は、「今回は現地で応援に行くので、電車で1~5区を回ります」と宣言した。その後、母校・創価大が優勝候補に挙がっている現状について「ついに優勝候補に挙がるまできましたね」と答えた葛西は、当日の予定を聞かれると「一緒に行きますか?」と小山の話題に乗って観客を笑わせる。 この後はテーマに沿って展開していく。1つ目は「箱根駅伝の思い出」。小山は「予選会」を挙げた。「1年から4年まで予選会を皆勤しています。ミスができない大会なので、緊張感がすごかったことを強く残っています」。 2年だった2017年、関東学生連合の4区として経験。「箱根駅伝に出場したいという思いが強かったので、連合でも出場できたのは本当に良い思い出になっています」。 葛西は創価大時代に4年連続で出場。2年だった2021年は3区を務めて往路優勝に貢献すると、4年だった2023年は7区で区間賞を獲得した。「チームのため、支えてくれる人のため、誰かのためにとすごく自問自答しながら走った記憶があります」と振り返る。4年時は足の痛みを抱えている状況で、「立っている時にも痛みがあった」と明かした。 大﨑監督は3年、4年の2度10区を走り、3年時に区間賞、4年時は区間2位。「アンカーだったので、応援が本当にすごくて、身震いしました」と言う。だが、総合は3位、6位と優勝に届かなかったことから、特に4年時は「レース後の報告会では言葉が詰まって、話せなかった。それだけ箱根に懸けて本気でやったことが涙になったんだなという思いがあります」。 2つ目のテーマは「世界の舞台で戦って感じたこと」。 小山は東京世界選手権について、「8位入賞を目指していましたが23位という結果は本当に悔しかったですし、たくさんの中から選んでいただいたので、本当に申し訳ない気持ちでした」と話す。 葛西は22位とパリ五輪(20位)から順位を落としたが、「東京はスローの中で何度か前に出られた。ハイペースだったパリがもしスローだったら、前に出られたかどうか。パリの経験があったから前に出ることができたんだと思います」と振り返る。 大﨑監督はは、「燃え尽きた部分があったので、大学でやめようと思っていました」と当時の思いを明かす。だが、「社業が忙しくて、息抜きで走っていたら、走るのが楽しくなった」ことが競技続行、マラソンで世界の6位へとつながっていったという。だからこそ、今の学生たちには「箱根駅伝で燃え尽きてほしくない、先を見てやってほしいと伝えています」。 3つ目のテーマは「箱根駅伝が育む高みへの意識」。箱根駅伝に取り組んだことで、今に生きていることについて語り合う。 小山は「スタミナ強化」を挙げる。特に朝練習について、「今は個別でのジョグが中心ですが、大学時代は集団で12~15kmを走る。それはスタミナ強化の土台作りになりました」。 葛西が挙げたのも土台作り。「箱根駅伝もそうですが、トラックでも、ちゃんと足を作らないと走れない。ちゃんと土台が作れたことが今につながっていると思います」と話した。 大﨑監督は、先を目指す選手とのかかわりについて「できるだけ余力を残すように心掛けています」。故障をせずにトレーニングを継続すること。「私も余力を残しつつ、いろいろな大会に出て、まだいけるという思いが出てきました」と、自身の経験を基に語る。 その後、102回大会の見どころでは、小山は「山」、葛西「目まぐるしい順位変動」、大崎監督「優勝争い、シード争い、1人1人の箱根への思い」と記入。大後副会長は「群雄割拠」を挙げる。小山は「山の神を観たい」と言えば、葛西も「やっている側は大変だと思いますが、観ている側は大混戦が一番おもしろい」と話した。 最後に、102回大会に期待することについて、それぞれの思いを語った。 「優勝争いは楽しみ。そして、2年ぶりに母校が出場するので、母校を応援するとともに、全員が頑張っている姿を見ると、自分も力になります」(小山) 「順位変動がたくさんあるレースが見れたら、すごく見応えがある。その中で母校が上位に行ってくれればうれしいです」(葛西) 「他大学さんも本気で準備していきます。一人ひとりが本気で臨んだことが、ドラマのようにいろいろな人に伝わる。みなさんにそれが伝わるような走りができればと思っています」(大﨑監督) 大後副会長が「箱根駅伝の面白さ、素晴らしさは走る選手だけじゃなく、放送する日本テレビの製作の方々、沿道の警察、ボランティアの走路員、審判の方々が6000人ぐらいいる。そういった方々にも目を向けていただき、ますます大会が成熟していく大会になればと思っています」と締めくくり、盛況の中で幕を閉じた。

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