◇Athlete Night Games in FUKUI(8月15、16日/福井・9.98スタジアム)
日本グランプリシリーズのAthlete Night Gameの2日目に行われた男子110mハードルで、村竹ラシッド(JAL)がついに大仕事をやってのけた。日本人初、アジア歴代2位、世界歴代11位タイとなる12秒92(+0.6)。世界でまだ26人しか到達していない12秒台に足を踏み入れた。
スタートから飛び出した村竹。スタンドにいた山崎一彦コーチは「その次点で声が出ちゃいました」。ハードルを越えるごとに加速していく。「すごく感覚が良くて、乗せて行けました。スピード感がまったく違った。新感覚。これは出るなと」。
グングンと差を広げてフィニッシュ。その瞬間が刻まれる。フィニッシュタイマーをちらりと見ると確信し、サイドスタンド前まで駆け抜けた。12秒92。両手を広げ、雄叫びを上げてアピールする。世界の頂点にまた一歩近づいた瞬間でもある。
今季はダイヤモンドリーグを主戦場としていたこともあり、「アベレージが13秒15くらいだったので、13秒ゼロ台は出しておきたかった」。それをはるかに上回る快記録に「120点つけてもいいんじゃないかな」と笑顔を見せる。
12秒台を本当の意味で意識したのは昨年の日本選手権。「準決勝ですごく良い感覚だった」。あの日から、見えない“障害”と一つずつ跳び越えてきた。昨年はパリ五輪で日本人初入賞の5位。いよいよ世界の頂点を狙える位置に来た。
ただ、ここはあくまで“世界一”へのスタートライン。「今日初めて12秒台を出せたのは大きな自信になりますが、1回で終わらせちゃダメ。安定して出せるように分析していって、世界選手権でも12秒台を出してメダルを目指します」。
このあと、初出場となるダイヤモンドリーグ・ファイナルを経て、いよいよ勝負の国立競技場へと舞い戻ってくる。
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