◇アジア選手権(5月27日~5月31日/韓国・クミ)
2年に一度開かれるアジア選手権が終了し、日本選手団が帰国してメディアの取材に応じた。
女子5000mで2大会連続メダルとなる銅メダルを獲得した山本有真(積水化学)は「自分の力がついてきたなと実感できる大会でした」と笑顔で振り返った。
前日の3000m障害を制したN.ジェルト(カザフスタン)が序盤から独走し、14分58秒71で2冠を達成。その中で2位争いを展開した山本は前回女王としての意地を見せ、メダルラインを死守した。
「2年前は今年よりもレベルが高くなく、勝ててしまったレース。自分の中でやり切ったという感じがありませんでした。今回は14分台の選手もいて、(前回優勝争いをした)インドのチャウダリー選手もすごく力をつけている中で、自己ベストに近いタイムで走れた。今回の銅メダルのほうが『自分で勝ち取った』という達成感がすごくあります」
そこには、積水化学入社後から取り組んだトレーニングの成果もある。身体作り、接地や腕振りをはじめとした動き作りを地道に継続。名城大時代と比較して「動きはすごく変わっていて、腰も後傾せず、腕振りもしなやかになっている。ピッチも全然違います」。
今年は2月の全日本実業団ハーフマラソンの10kmの部を走るなど、長い距離も例年以上に取り組んだ。さらに、約2年半ぶりの自己ベストをマークした金栗記念5000m(15分12秒97)、日本人トップの3位を占めた5月のセイコーゴールデングランプリ3000m(8分50秒64)、今大会の前のポイント練習に取り入れた「300m+100m×5セット」でハイペースを維持する力も磨かれている。3月に野口英盛監督が取り入れたそうで、「『あれが効いている』と言っていて、恒例になってきていているのでちょっと怖いんですが」と苦笑いを浮かべつつ、自身も手応えを感じている様子だ。
2年前はアジア選手権優勝から、同年のブダペスト世界選手権、さらには24年パリ五輪へとつながった。今回も「ワールドランキングで安全な位置に行けたと思うので、あとは日本選手権に集中するだけ」と山本。7月の国立で、「3番以内をしっかりと取って、日本の長距離界は田中希実さん(New Balance)、廣中璃梨佳さん(日本郵政グループ)と、私の名前も並ぶような走りをしたい」と言葉に力を込めた。
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