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2024.12.16

狙い通りのレースで鶴ヶ島藤が逆転優勝 エース・植松遼「5人が最高の位置で持ってきてくれた」/全中駅伝・男子
狙い通りのレースで鶴ヶ島藤が逆転優勝 エース・植松遼「5人が最高の位置で持ってきてくれた」/全中駅伝・男子

24年全中駅伝男子で優勝の立役者となった鶴ヶ島藤・植松遼

◇第32回全国中学校駅男子(12月15日/滋賀・希望が丘文化公園:男子6区間18km)

第32回全国中学校駅伝が12月15日、滋賀県の野洲市と湖南市にまたがる希望が丘文化公園で開催され、男子は初出場の鶴ヶ島藤(埼玉)が57分17秒で初優勝を果たした。

1区を任されたのは1年生の齋藤駿。「僕たちのチームは信頼できる先輩ばかり。15位以内でタスキを渡せたらいいと思っていました」と狙い通りに14位でつなぐ。

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「最初は飛ばしすぎずに徐々に詰めていこうと思っていました」と2区のハサヌディン知輝(3年)は前方の集団に追いつく区間2位の力走。11人抜きでトップと8秒差の3位につけた。

3区からは激しい先頭争いを展開。古西祐翔(3年)は「悪い走りではなかった」と区間10位で順位をキープしたが、連覇を狙う京山(岡山)と坂(広島)に先行を許して、18秒を追う展開になった。4区では3000mで出場選手中トップとなる8分31秒84の記録を持つ細江(静岡)の柘植源太(3年)が区間賞の快走。4人を抜いてトップに立ち、2位に30秒差をつけた。その中でも鶴ヶ島藤の塚原泰志(2年)は「先輩たちがやってくれると思って、最低限の走りはできたと思います」と区間6位でつなぎ、後続に託す。

5区の久野温正(3年)はタスキをもらってすぐに2位浮上。「なるべくキャプテン(植松遼)にいい位置でつなげるように」と終盤に細江との差の8秒にまで一気に詰め寄った。

そして、タスキを受けたアンカーの植松遼(3年)。今年の全中3000mで5位入賞を果たしている絶対的エースだ。「無風だったら20秒差、風が強かったら30秒差なら逆転できる」と今井隆生監督はレース前にプランを練っていた。

それだけに8秒差は願ってもない展開。「前の5人が最高の位置で持ってきてくれたので、『やるしかない』と思って走りました」と1キkm手前で先頭に立つと、その後も快調な走りで後続を引き離して笑顔でフィニッシュテープを切った。植松は9分07秒の区間新記録を樹立。「区間新記録は出ると思っていなかったので、最後に良い記録を残せたのでうれしいです」と笑顔が弾けた。

チームを率いた今井監督は教員を休職して駿河台大に進み、当時31歳で2022年の第98回箱根駅伝を走った実績を持つ。大学卒業後は教員に復帰して、教え子を日本一に導いた。

優勝した瞬間には感極まって男泣き。「みんなが1秒を大事にした走りの結果が、最後に優勝まで持ってこられたので、子どもたちのがんばりがひとつの形になったと思います」と選手たちを讃えた。

だが、ここがゴールではない。「その先の長い人生の中でどういう風に成長していくかというところがすごく大事だと思います」とさらなる成長を願っていた。

我孫子(千葉)は主力を欠きながらも2位と健闘。5区まで首位を走った細江が3位で続き、前回優勝校の京山は連覇こそ逃したが6位入賞と奮闘した。

文/馬場 遼

◇第32回全国中学校駅男子(12月15日/滋賀・希望が丘文化公園:男子6区間18km) 第32回全国中学校駅伝が12月15日、滋賀県の野洲市と湖南市にまたがる希望が丘文化公園で開催され、男子は初出場の鶴ヶ島藤(埼玉)が57分17秒で初優勝を果たした。 1区を任されたのは1年生の齋藤駿。「僕たちのチームは信頼できる先輩ばかり。15位以内でタスキを渡せたらいいと思っていました」と狙い通りに14位でつなぐ。 「最初は飛ばしすぎずに徐々に詰めていこうと思っていました」と2区のハサヌディン知輝(3年)は前方の集団に追いつく区間2位の力走。11人抜きでトップと8秒差の3位につけた。 3区からは激しい先頭争いを展開。古西祐翔(3年)は「悪い走りではなかった」と区間10位で順位をキープしたが、連覇を狙う京山(岡山)と坂(広島)に先行を許して、18秒を追う展開になった。4区では3000mで出場選手中トップとなる8分31秒84の記録を持つ細江(静岡)の柘植源太(3年)が区間賞の快走。4人を抜いてトップに立ち、2位に30秒差をつけた。その中でも鶴ヶ島藤の塚原泰志(2年)は「先輩たちがやってくれると思って、最低限の走りはできたと思います」と区間6位でつなぎ、後続に託す。 5区の久野温正(3年)はタスキをもらってすぐに2位浮上。「なるべくキャプテン(植松遼)にいい位置でつなげるように」と終盤に細江との差の8秒にまで一気に詰め寄った。 そして、タスキを受けたアンカーの植松遼(3年)。今年の全中3000mで5位入賞を果たしている絶対的エースだ。「無風だったら20秒差、風が強かったら30秒差なら逆転できる」と今井隆生監督はレース前にプランを練っていた。 それだけに8秒差は願ってもない展開。「前の5人が最高の位置で持ってきてくれたので、『やるしかない』と思って走りました」と1キkm手前で先頭に立つと、その後も快調な走りで後続を引き離して笑顔でフィニッシュテープを切った。植松は9分07秒の区間新記録を樹立。「区間新記録は出ると思っていなかったので、最後に良い記録を残せたのでうれしいです」と笑顔が弾けた。 チームを率いた今井監督は教員を休職して駿河台大に進み、当時31歳で2022年の第98回箱根駅伝を走った実績を持つ。大学卒業後は教員に復帰して、教え子を日本一に導いた。 優勝した瞬間には感極まって男泣き。「みんなが1秒を大事にした走りの結果が、最後に優勝まで持ってこられたので、子どもたちのがんばりがひとつの形になったと思います」と選手たちを讃えた。 だが、ここがゴールではない。「その先の長い人生の中でどういう風に成長していくかというところがすごく大事だと思います」とさらなる成長を願っていた。 我孫子(千葉)は主力を欠きながらも2位と健闘。5区まで首位を走った細江が3位で続き、前回優勝校の京山は連覇こそ逃したが6位入賞と奮闘した。 文/馬場 遼

【動画】全中駅伝で優勝した埼玉・鶴ヶ島藤のフィニッシュ

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