HOME 国内、大学

2024.09.21

甲南大が女子400mR44秒58で2連覇!「華依さんと走る最後のインカレ」でチーム一丸/日本IC
甲南大が女子400mR44秒58で2連覇!「華依さんと走る最後のインカレ」でチーム一丸/日本IC

日本インカレ女子4×100mRで2連覇を飾った甲南大(左/岡根和奏)

◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)3日目

日本インカレの3日目が行われ、女子4×100mリレーは甲南大がパフォーマンス学生歴代3位の44秒58で2連覇を達成した。

前回は100mで藏重みう、岡根和奏、奥野由萌が史上初の表彰台独占を果たし、その勢いで初制覇へと駆け上がった。だが、今回は岡根、奥野が2年連続2位、3位を確保したものの、藏重は準決勝で敗退。予選では44秒85を出した青学大に次ぐ2番手(44秒93)と、昨年のような流れは作れていない。

それでも、ただ1人の4年生、1走の青山華依が好ダッシュから一気にムードを引き寄せる。2走の奥野へのバトンパスはお互いがぶつかりそうになるぐらいに詰まったが、奥野が持ち味の加速力を発揮してカバーした。

3走の藏重も個人の悔しさをぶつける快走。見事なコーナーワークで混戦から一気に抜け出すと、アンカーの岡根が100m覇者の青学大・石川優の追い上げを許さず、フィニッシュラインを駆け抜けた。

タイムは前回大会の予選で出した学生歴代2位のチーム記録にあと0.06秒、学生記録(44秒51=福岡大/2021年)にあと0.07秒届かなかったが、前回チャンピオンの重圧に打ち勝っての連覇に、4人は喜びを爆発させた。

広告の下にコンテンツが続きます

青山は他の3人への、そして3人は青山への思いを胸に臨んだ。

1年時に東京五輪4×100mリレーに出場した青山は、その走りでも、そして精神的にもチームの大黒柱。だが、2年の冬季に左膝に大ケガを負い、手術と長期のリハビリで昨シーズンをほぼ棒に振った。前回優勝のメンバーにも、青山の名前はない。

そして、青山にあこがれて入学した奥野、藏重、岡根の3人は、先輩が苦しんできたその姿、背中を見つめてきたからこそ「青山さんと一緒に走る最後のインカレ」(奥野)に全力を注いだ。

奥野が「やっぱり華依さんは頼もしかったです」と言えば、藏重も「私の志望動機が華依さんと一緒に走るということ。最後に走れてうれしかったです」。岡根も「しっかり優勝することを目指していたので達成できてうれしいですし、華依さんと優勝できて本当に最高です」と続けた。

そんな後輩たちの言葉に、青山の目に涙があふれる。言葉を詰まらせながらも、「本当に甲南のメンバーみんなに支えられました。すごく楽しいレースで終えられて、最高です」。

あと少し届かなかった学生記録は、10月の日本選手権リレーで「しっかりと出したい」と岡根。だがその前に、チームで勝ち取った「連覇」の余韻に浸った。

◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)3日目 日本インカレの3日目が行われ、女子4×100mリレーは甲南大がパフォーマンス学生歴代3位の44秒58で2連覇を達成した。 前回は100mで藏重みう、岡根和奏、奥野由萌が史上初の表彰台独占を果たし、その勢いで初制覇へと駆け上がった。だが、今回は岡根、奥野が2年連続2位、3位を確保したものの、藏重は準決勝で敗退。予選では44秒85を出した青学大に次ぐ2番手(44秒93)と、昨年のような流れは作れていない。 それでも、ただ1人の4年生、1走の青山華依が好ダッシュから一気にムードを引き寄せる。2走の奥野へのバトンパスはお互いがぶつかりそうになるぐらいに詰まったが、奥野が持ち味の加速力を発揮してカバーした。 3走の藏重も個人の悔しさをぶつける快走。見事なコーナーワークで混戦から一気に抜け出すと、アンカーの岡根が100m覇者の青学大・石川優の追い上げを許さず、フィニッシュラインを駆け抜けた。 タイムは前回大会の予選で出した学生歴代2位のチーム記録にあと0.06秒、学生記録(44秒51=福岡大/2021年)にあと0.07秒届かなかったが、前回チャンピオンの重圧に打ち勝っての連覇に、4人は喜びを爆発させた。 青山は他の3人への、そして3人は青山への思いを胸に臨んだ。 1年時に東京五輪4×100mリレーに出場した青山は、その走りでも、そして精神的にもチームの大黒柱。だが、2年の冬季に左膝に大ケガを負い、手術と長期のリハビリで昨シーズンをほぼ棒に振った。前回優勝のメンバーにも、青山の名前はない。 そして、青山にあこがれて入学した奥野、藏重、岡根の3人は、先輩が苦しんできたその姿、背中を見つめてきたからこそ「青山さんと一緒に走る最後のインカレ」(奥野)に全力を注いだ。 奥野が「やっぱり華依さんは頼もしかったです」と言えば、藏重も「私の志望動機が華依さんと一緒に走るということ。最後に走れてうれしかったです」。岡根も「しっかり優勝することを目指していたので達成できてうれしいですし、華依さんと優勝できて本当に最高です」と続けた。 そんな後輩たちの言葉に、青山の目に涙があふれる。言葉を詰まらせながらも、「本当に甲南のメンバーみんなに支えられました。すごく楽しいレースで終えられて、最高です」。 あと少し届かなかった学生記録は、10月の日本選手権リレーで「しっかりと出したい」と岡根。だがその前に、チームで勝ち取った「連覇」の余韻に浸った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top